バッハの「G線上のアリア」をサンプリングしたヒップホップ曲と言えば、何と言ってもSWEET BOXの「EVERYTHING’S GONNA BE ALRIGHT」です。
この曲が無ければクラシック曲のサンプリング文化は現在のようには浸透していなかったかもしれません。マストですよマスト。
ちなみにこの曲が収録されているアルバムはこちらの記事で紹介しています。ついでにご一読ください。
そんなG線上のアリアが17年の時を経てHIP HOPシーンに帰ってきました。何と声優さんの曲です。
収録CDのトレイラー映像。
ラストの3曲目で流れますが、3曲ともガチのトラックです。声優によるラップもキャラソンの域は超えておりなかなかのクオリティです。既存のHIPHOPアーティストの表現を踏襲しているようなラップもしばしばみられます。
サビで突然エミネム風になる1曲目が個人的にツボです。ミクスチャーロック風の2曲目もかっこいい。
ヒプノシスマイク?何それおいしいの?
「ヒプノシスマイク」というのは、アニメ?ではなく、漫画??でもなく声優によるラッププロジェクトです。基本的にはCD、ミュージックビデオ、ライブなど音楽関連媒体のみでの発信となっています。
しかし2019年からメディアミックスで漫画が連載開始されるようなので、きっと間もなくアニメ化もされるのではないでしょうか。現在大変人気のあるプロジェクトです。
きちんとストーリーや設定もあり、武力が無くなった世界で領土争いにラップバトルを使用し、それぞれの区画に代表が3人づつ存在する…。といった感じです。全部で12人のキャラ(歌い手声優)が登場します。
ヒプノシスマイクのクラシック・サンプリング曲第2弾は、こちらの記事で紹介しています。
https://classic-variations.com/3094.html
声優音楽ユニットの変遷
声優と音楽の関係にも歴史があります。
90年代では林原めぐみや椎名へきる、そして声優音楽ユニットの先駆けとも言えるTWO-MIXが有名です。TWO-MIXは高山みなみがボーカルとなんと作曲も手がけるユニットで、ガンダムWや自身が主演の名探偵コナンの主題歌などで活躍しました。ちなみに私の大大好きなアーティストです。
2000年代は何と言っても水樹奈々ですが、堀江由衣所属の声優ユニットAice5もデビューしました。
堀江由衣のLove Destiny。
アニソン×弦楽器の先駆けとも言える曲です。なにげにクラシック&ポップスを語る上で重要な曲。主題歌だったアニメ「シスタープリンセス」も、ロ●コンハーレム設定やキャラクターソング集など何かと先駆けていました。
また魔法先生ネギま!やテニスの王子様などでアニメキャラがアニメの世界観をベースに歌う「キャラクターソング」が定着してきます。テニプリキャラソン辺りが男性声優音楽ユニットの走りなのでしょうか。
そして涼宮ハルヒの憂鬱、らき☆すた、けいおん!と音楽をフィーチャーしたアニメが大ヒットし、それに続いてスフィアや第2期fripside、ゆいかおりなど数多くの声優ユニットが登場します。
ゆいかおり「君のYELL」。 私のお気に入りソング。
スフィアの「GENESIS ARIA」。 昭和アイドル歌謡風のBメロが煽る煽る。
これらの作曲はElements Gardenですが、話すと長くなるのでまたの機会にします。
アニメと音楽のコラボレーションも、アイドルマスター・ラブライブなど劇的に増えていきます。
この頃から男性声優ユニットも増えてきました。アニメ「うたの☆プリンスさまっ♪」から誕生したST☆RISH、GRANRODEO、OLDCOTEXなどです。やはりバンドサウンドなど男性的な曲が多く、声優本人の嗜好を反映させているものと思われます。
B’zリスペクトのGRANRODEO。
そもそもアイドルから声優へと移る人も多く、アイドル音楽と声優というのは切っても切れない関係にあります。
しかし今回のヒプノシスマイクのように、アニメでも漫画でもなく、音楽主導での声優ユニットで、しかもキャラデザインや設定がされている上にメディアミックス展開も行われるというのは、おそらく前代未聞ではないでしょうか。さらにこのラップスタイル。何かと斬新です。
クラシック×ラップ×アニソン
この手法はアニメ「クラシカロイド」が少し早くやっています。
こちらの記事で紹介した曲が収録されているアルバム中の一曲「シューベルトの魔王道」。
この動画の3曲目。1:30~。
詳細は解りませんが、このクラシック×ラップ×アニソンの手法、おそらくクラシカロイドから着想を得た部分もあるのではないのでしょうか。
「New Star」はG線上のアリアにヴォコーダーエフェクトをかけた歌うようなラップを乗せており、トラック自体も余白が多めですが工夫されたリズム&低音シンセという事で、G線上のアリア×HIPHOPを現代のサウンドに蘇らせています。
絶対的なアンセムである「EVERYTHING’S GONNA BE ALRIGHT」があるゆえ、あえて思いっきり今風のサウンドに寄せている「New Star」。なかなか良いです。
「New Star」収録のCD。
ちなみにこのヒプノシスマイク、他にもクラシカルな曲が存在します。
この動画の1曲目。迷宮壁という曲です。
オルガンのイントロは何かの曲の引用っぽいですが…。
それにしてもこのルックスとイケボからの「山田一郎」「山田二郎」「山田三郎」というキャラネーミングは女子的にありなのでしょうか??おそ松さんの”古臭い兄弟感”を踏襲しているのでしょうか。それとも実は実験体アンドロイドの試作品一号~三号だったとか何か伏線でもあるのでしょうか。
ヒプノシスマイクのクラシックサンプリング第2弾はヴェルディのレクイエム。こちらの記事で紹介しています。
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