私が大好きなジャンルのドラムンベース。何と言っても独特のスピード感と、繰り返しからの緊張&緩和によるカタルシスが中毒性のあるジャンルです。
代表的なアーティスト等は他の詳しい方に譲るとして、私が一番好きなのはHigh Contrast。”リキッド・ファンク”というジャンルで語られる事も多いです。個性的なベースライン&ドラムパターンと騒がしくないキレイなサウンドが特徴。
私がドラムンベースを知るきっかけになったのはAsian Dub Foundationの「Flyover」。アジア感満載の高速ドラムン歌曲。
今回はRemix曲などは抜きにして、オリジナルの日本人アーティストによるドラムンベースなヴォーカル曲を紹介していきます。どの曲もスピード感あふれる良い曲ばかりです。
邦楽アーティスト
ニルギリス「Walküre」
他の楽曲でLondon Elektricityとコラボしたこともあり、彼らの影響を強く感じる曲。抒情的かつ劇的な曲展開が素敵。
NIRGILISはデビュー時のオルタナポップからマッシュアップ&純J-POP期を経て、最後に明快なダンスミュージック&ポップネスに辿り着きました。そんな後期のNIRGILISの作風を象徴する名曲。
ちなみに代表曲「sakura」はオリジナル曲とアメイジンググレイスのマッシュアップ曲。アメイジング・グレイスがサビの対旋律として登場します。また「恋のレジスタンス」という曲でもドラムンベースをしています。
中島美嘉「LEGEND」
エレクトロニカ&ドラムンベースな一曲。動画で流れる部分の直後からドラムパターンが入ってきます。ヒットしていない曲にこそ中島美嘉の本領があります。COLDFEET編曲。
hiro「ME AND YOU (Riding Waves)」
同じくCOLDFEET編曲。収録アルバム「Naked and True」は、他にも葉山拓亮、伊秩弘将等による様々なアプローチのダンスポップナンバーが並ぶ良い作品。
ICONIQ「LADIES」
m-floのTaku Takahashiプロデュース。軽快なリズムの正統派ドラムンベース&ポップな隠れた名曲。m-floでもリミックスとかじゃなくてこんなガチなのどんどんやれば良いのに。
Ram Jam World feat.Lisa「Planet Earth」「melody」
m-floのLISAをヴォーカルに据えたドラムンベース曲。名曲です。英詩で展開に起伏のある「Planet Earth」、日本語でハードに駆け抜ける「melody」の2バージョンあるので、お好みでどうぞ。
長谷川白紙「毒」
渋谷系やジャズのオシャレ感と、DTMの普及により増加した音数が多く発想豊かな今どきのアレンジ・さらにエイフェックス・ツインのようなアヴァンギャルドさやダンスミュージックの手法を混ぜ込んだ、カオスなポップソングが特徴的な新進気鋭アーティスト。
2018年リリースのアルバム『草木萌動』収録。変態サウンドマニアにはラストの「はみ出す指」がおススメ。
石崎ひゅーい「さよならエレジー」
俳優の菅田将暉に提供しヒットした楽曲のセルフカバー。某TV番組で、原曲との違いについて「語尾の歌い方を男らしい菅田将暉と対照的に女々しい感じにした所に拘った」といった旨の発言をしていましたが、どう聴いても語尾の歌い方よりもドラムが思いっきり変貌している。暴走寸前のエモーショナルな人力ドラムンフォーク。
RADWINPS「カタルシスト」「会心の一撃」
BUMP OF CHICKENよりも多彩な楽曲が魅力のRADWINPS。「カタルシスト」はHIPHOP&ドラムンベースに挑戦している新境地の曲。クールに盛り上がる後半の展開が白眉モノ。
「会心の一撃」もドラムンベース風のスピード感のある楽曲。
ゲスの極み乙女。「フランチャイズおばあちゃん」
ヒップホップやプログレ・ジャズ等と現代ロックを融合させた個性的なサウンドのバンド。
ダンスミュージック的アプローチの強い「フランチャイズおばあちゃん」ではドラムンベースのリズムが取り入れられています。
個性的なメンバーの中でも、普段はサウンド面において比較的存在感の薄いドラムが活躍するエレクトロロック曲。
2020年リリースのアルバム『ストリーミング、CD、レコード』収録。
ゲスの極み乙女。は他にも「crying march」「もう切ないとは言わせない」「僕は芸能人じゃない」等疾走感のある曲で度々ドラムン風のリズムが登場します。
女王蜂「火炎」
奇抜なアートワークが目を引くロックバンドですが、流行を取り入れつつもチャレンジングでキャッチーな楽曲も魅力です。この曲は和のリズムを取り入れているドラムパターンが個性的ですが、サビへの盛り上げ方やベースの動きはまさしくドラムンベース。
SOPHIA「ミサイル」
優等生的なルックスや歌メロとは対照的に、クセの強いヴォーカルと思いつきで作っているような奇抜なアレンジが特長のV系ポストロックバンド。
この曲もドラムンベース風のリズムに合わせて、シンプルなギターリフと同じようなフレーズのベースリフが延々と繰り返されるアレンジ。更に歌メロが2種類しか無く、一方でSEは多彩な個性的な楽曲。低音と高音を強調させて聴くと結構本格的なドラムンベースに変貌します。
CICADA「standalone」「stilllike」
エレクトロ・ミュージックとJPOP/HIPHOPの要素を掛け合わせたキュートな女性Voのバンド。ドラムもベースも生楽器。クセが無くオシャレで隙間の多いm-floみたいな感じ。
「standalone」は複雑なビートにジャジーなピアノが乗っかるスピード感のある曲。「stilllike」は空間的広がりと清涼感のあるドラムンベーストラックの楽曲。
2016年リリースの『Formula』収録。バンド名は「シケイダ」と読みます。
Eidy「Cloud9」
ピアノ&ギターに打ち込みを加えた、アコースティック&エレクトロニカユニット。
16分音符のドラムループに低音ピアノとアバンギャルドな音色のアコギが加わった、古臭いような最先端のような不思議なオンリーワンのサウンド。ギターの音色がかなり変態的です。なんじゃこりゃ。ピアノも変だけど。超かっこいい。
収録アルバム『GEMINI』は自主製作CDであるため現在は入手困難です。メジャーデビューに期待しましょう。
ピチカート・ファイヴ「大都会交響楽」
オーケストラサウンドとドラムンベースを合わせた個性的な曲。この派手でクオリティが高いトラックに力を抜いたヴォーカルを乗せるセンスがいわゆる渋谷系。
1997年。
その名はスペィド「スペィド vs 世界で二番目の男たち ~カーチェイス編~」
“お色気スパイ歌謡”がコンセプトのユニット。本曲はカーチェイスのスピード感をドラムンベースで表現したジャジーな楽曲。ちょっとスパイ映画音楽風のベースリフもカッコいい。
柴咲コウ「memories pocket-メモポケ-」「Fantasista」「サカナカナ」
中島美嘉同様、ヒット曲以外でも作家の職人技が光るアーティスト。透明感の強い雰囲気がドラムンベースサウンドとの相性ピッタリ。実は多くのドラムンベース曲をリリースしている、影の第一人者。
個人的おススメ曲は「サカナカナ」。ストリングス&ウッドベースをフィーチャーした、爽やかだけれど憂いのある柴咲コウの本領発揮な曲。間奏も超ドラマティック。
Yunomi「惑星ラビット」
和風EDMな作風の、大江戸原宿系Future Bassアーティスト。後半の間奏で大江戸感が出ている。
2017年。
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