クラシック編

ストラヴィンスキー:組曲「プルチネルラ」

「火の鳥」「春の祭典」「ペトルーシュカ」など、現代音楽的でありながらも親しみやすいバレエ曲を数多く作曲している、20世紀に活躍したロシアの作曲家ストラヴィンスキー

今回紹介するのは、そんなストラヴィンスキー有名作品とは一味違う異色のバレエ音楽、組曲「プルチネルラ」です。


組曲「プルチネルラ」は、バレエ『プルチネルラ』の楽曲を再構成した全20分程度の組曲となっています。

組曲「プルチネルラ」は、18世紀前半に活躍したイタリアの作曲家であるペルゴレージの楽曲をアレンジした曲がメインで構成されています。

ペルゴレージはちょうどバロック音楽時代と古典派音楽時代の境目に位置する作曲家であり、その作風も二つの音楽性を折衷させたようなものとなっています。解りやすく言うとバッハとモーツァルトを合わせたような感じです。

そんなペルゴレージを20世紀の音楽家であるストラヴィンスキーがアレンジする事で、昔の時代の作風の音楽に現代的な色彩が加わり、独自の雰囲気を醸し出しています。

このような音楽は新古典主義というジャンルで括られますが、組曲「プルチネルラ」はそんな新古典主義の音楽の中でも、とりわけバロック音楽のメロディの美しさと現代音楽の混沌を併せ持った、親しみやすくも面白い曲になっています。

 

そんな組曲「プルチネルラ」、オーボエやフルートが奏でる主旋律はまさしくバロック音楽という雰囲気ですが、所々に華やかで美しい古典派音楽風のフレーズやリズム・和音等が登場します。またしばしば登場する、メロディーよりも音の派手さや金管楽器の音色で魅せる演出はロマン派及び現代音楽的でもあります。

 

始めの見せ場は、冒頭からしばらく続くザ・バロック音楽な雰囲気から、突然古典派の雰囲気が顔を出し、一瞬不思議な現代音楽風のフレーズも垣間見える3曲目の「スケルツィーノ・アレグロ&アンダンティーノ」。上記動画の5:30~辺りから始まりますが、是非初めから通して聴いてみましょう。とても面白いです。

 

そしてラストの「メヌエット&フィナーレ」も圧巻です。バロック音楽のようにもロマン派音楽のようにも聴こえるメロディですが、オーボエやフルートが主役となってゆったりした旋律を演奏するスタイルはザ・バロック音楽といった雰囲気です。とは言え他の楽器編成やリズムの取り方は明らかに新しい時代のクラシックであり、やがてロマン派のようなド派手なオーケストラサウンドにバロック風のトランペットを加えた、ごった煮のフィナーレを迎えます。

バロック時代の音楽をほぼそのまま再現した冒頭の「シンフォニア」「セレナータ」から紆余曲折を経てこのフィナーレに辿り着く様は、とても感慨深いものがあります。音楽の歴史の変遷を見ているようでもあります。

 

そんな、古風なクラシックから現代的なクラシックまでを内包し一つの組曲にした「プルチネルラ」。どの時代の音楽が好きな方でも楽しめる曲となっており、同時に今まで聴く機会の少なかった時代の音楽に触れるきっかけを与えてくれる曲でもあります。

ストラヴィンスキーの代表作と「プルチネルラ」を収めたCD。ストラヴィンスキーを十分楽しめる、充実した選曲の一枚。

ABOUT ME
syro
1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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