いつの時代も、音楽は悩める人間の助けとなってきました。
クラシックにおいては、聖書の内容や教義を歌に乗せた宗教音楽。
そして現代も巷にあふれる応援ソング。
尾崎豊やCoccoなどリアルな等身大の悩みを吐露する音楽。
椎名林檎やまふまふのような、ちょっと病んだり荒んだりしている世界観の曲。
Soundhorizonや世界の終わり・My Chemical Romanceの「The Black Parade」のようなダークファンタジー。
そんな様々な「悩める(病んでいる)」人のための音楽の中でも、今回は【メンタルヘルス】をテーマにした音楽を紹介します。
いわゆる「頑張って生きよう」「時には休んでいいんだよ」のような単なる応援ソングや、「こんな世界無くなればいい」「死にたい」「私の居場所なんて何処にも無い」等の単なるネガティブソング、リストカットや依存的恋愛観のみをクローズアップしたようなメンヘラソングは除外し、
・作者が明確にメンタルヘルス(できれば具体的な病気)をテーマにしていると明言している
・作品中から具体的な病名を読み取る事ができる
のいずれかを満たすような作品を紹介します。
(躁)うつ病がテーマの曲
ジュリア・マイケルズ feat.セレーナ・ゴメス「Anxiety」
自身が罹患した自己免疫性の難病やその治療に伴い、全般性不安障害やうつ病を発症し活動休止したセレーナ・ゴメスの復帰作。自身の体験を元に作った曲です。
シンプルなアコースティックサウンドに乗せて、周囲に理解されない悩みを吐露する内省的な歌詞が並びます。「共感を得られない」気持ちをリスナーと共有する歌です。
現実社会で周囲に理解者がいなくとも、音楽を通して共感できる仲間を見つける事ができる、というメッセージが込められています。
2019年リリースの『Inner Monologue Part 1』収録。
ザ・キラーズ「Rut」
アメリカのロックバンド。
うつ病をテーマとした歌詞とMVになっています。患者を励まし、元気づけるような内容になっています。
2017年のアルバム「Womderful Wonderful」収録。孤児をテーマにしたタイトル曲「Wonderful Wonderful」を始めとして、アルバム全体を通してメッセージ性の強い曲が並びます。
Agust D「The Last」
韓国の男性グループBTS(防弾少年団)のメンバーSUGAのソロプロジェクト。
自身がうつ病と対人恐怖症を患い、闘病しながらの音楽活動の様子や精神科でカウンセリングを受ける様子などが語られています。トップアイドルが故の苦悩を描写した歌詞はとても興味深いものがあります。
soundcloudでミックステープとして全曲公開中のアルバム「Agust D」に収録。2016年リリース。
てらりすと「躁鬱の歌」
文字通り躁うつ病をテーマにした歌。1番ではうつ状態ですが、2番で突然躁転します。
安っぽいミュージカル調の曲に乗せて、感情をコントロールできない躁鬱病の主人公の心情を、シュール&コミカルに歌います。
2009年リリースのアルバム「そうそううつうつしてらんない」収録。
次ページは境界線パーソナリティ障害をテーマにした音楽作品を紹介