結成25周年を記念して、主要メンバーだったサウンドプロデューサーのGEOとヴォーカルJADEが復帰し、新たに新ヴォーカルSaint Vivを加えリリースされた新作。
2020年リリース。
新たに参加しているSaint Vivは代表曲「EVERYTHING’S GONNA BE ALRIGHT」リリース時のVoだったティナ・ハリスを彷彿とさせるような歌声です。
楽曲は以前のように、管弦楽を交えたメロディアスなR&Bポップス×EDMを踏襲しながらも最近の流行の音も取り入れており、隙間が多く音への拘りを感じるアレンジとなっています。
『Da Capo(初めに戻る)』のアルバムタイトルも相まって、原点回帰を強調した作品です。
ですが、その「EVERYTHING’S GONNA BE ALRIGHT」のセルフカバーを除くと、クラシック曲の引用はゼロ(多分)。
「Everything’s Gonna Be Alright – Da Capo」。低音を強調したアレンジがいい感じです。
『Da Capo』にはクラシック・サンプリングこそありませんが、オリジナルのオーケストレーションやクワイアなどを取り入れたサウンドは昔のsweetboxらしさと目新しさを両立させており、クラシックを使用していなくともsweetboxらしさは健在です。
ブックレットのコメントで映画音楽への思い入れを語っているGEOですが、『Da Capo』の楽曲にもまた、映画音楽を意識したようなサウンドが数多く見受けられます。
こちらはアルバム収録のオリジナル曲「Coming Home」のClassic Version。カノンとのマッシュアップ。
最近の洋楽ではピチカートをシンセで再現したようなプラック音が積極的に使われていますが、それを逆手に取ったアレンジ。プラックサウンドがダンスビートと生ストリングスを分離させず繋ぎ合わせる役割を担っています。
ちなみにこちらがプラック音をフィーチャーしたエド・シーランのShapes of You。スチールパンの音色に似ているためか、カリプソ・トロピカルにも聴こえます。
ラストにはボーナストラックとしてAAAの「恋音と雨空」のカバーも収録されています。J-POPとしては薄味な後期AAA楽曲も、洋楽風にアレンジすると丁度良い塩梅です。
余談ですが、アルバムタイトルは『ダ・カーポ』なのに、ジャケットにデカデカと描かれている音楽記号は思いっきり「ダル・セーニョ」のセーニョ記号です。
ダ・カーポは”一番初めに戻る”。”ダル・セーニョは”途中まで戻る”です。sweetboxの黎明期が半ば黒歴史化している事を暗示しているのでしょうか…?
記号に「S」も入ってるしsweetboxのロゴとして似合っていると考えるのが素直な解釈。