スメタナ

連作交響詩《わが祖国》より「モルダウ」/平原綾香「Moldau」

数多くのクラシックカバー曲を発表している平原綾香。

今回はその中から「Moldau」です。

シングル「ミオ・アモーレ」のカップリング曲としてリリースされました。

上記Amazonリンクとここのリンクでそれぞれ視聴ができます。

 

 

 

連作交響詩「わが祖国」

連作交響詩「わが祖国」は、長年オーストリアの支配下にあったチェコの音楽家スメタナが作曲しました。チェコの自然や文化の美しさを1連の交響詩として描いており、またチェコの独立を願って愛国心を込めた曲でもあると言われています。

 

「モルダウ(ブルタバ)」という曲名も、当時支配されていたオーストリアの公用語のドイツ語と、自身のルーツであるチェコ語でそれぞれ川の名前を読んでいます。

 

モルダウ。何度聴いても美しい。

モルダウのメロディは、チェコの民謡「コチカレゼディーロウ」をベースにしており、曲のラストには「コチカレゼディーロウ」をそのまま引用して幕を閉じます。日本では「こぎつねコンコン」の歌として知られているコチカレゼディーロウ。

 

そんなモルダウですが、全6曲、計70分程度の連作交響詩「わが祖国」の2曲目にあたります。

「わが祖国」は6曲の交響詩を通して、チェコの文化や自然・歴史・神話などを紹介していくコンセプトとなっていますが、その中にチェコ国民が独立し自由を手に入れる未来も暗喩している曲と言われています。「わが祖国」のおよそ40年後、チェコスロバキアは念願の独立を果たすこととなります。

 

 

「モルダウ」ばかりが有名な「わが祖国」ですが、他の曲も名曲揃いです。

個人的にオススメなのは「モルダウ」に続く3曲目の「シャールカ」。チェコの伝説である「乙女戦争」を題材にした曲です。

演奏動画です。

 

劇的な冒頭の後は、穏やかな場面が続きますが、圧巻は壮絶のラスト。上記動画の8:00辺りから。女戦士たちがお酒で敵兵を酔わせた後、一気に騙し討ちをする場面です。

スーパードラマティックな曲展開です。数あるクラシック曲の中でも有数の劇的旋律。CD音源でも鳥肌が立ちます。スゴい。

 

 

ところで皆さん、普通のポップスのアルバムを聴く時、一枚の中でどんな流れがあるでしょうか。

明るく壮大な1曲目の次に、有名でキャッチーなシングル曲。その次は激しくスピード感のある曲へと続き、穏やかな曲を挟んで、最後はスケールの大きい曲で締める…。

こんなアルバム身近にありませんか?

 

スメタナの「わが祖国」もまさしくこんな構成です。全70分程度で、ちょうどCD1枚分にあたる全6曲のコンセプト・アルバム。是非まるっと通して聴いてみて欲しい曲です。

私も持ってるノイマン指揮&地元のチェコフィルハーモニー管弦楽団による演奏。間違いないです。

 

「わが祖国」はいわゆる「後期ロマン派」にあたり、美しいザ・クラシック的音楽と、複雑&前衛的な現代音楽の間にある時代です。

 

「わが祖国」も所々に前衛的な曲展開がみられますが、メロディがキャッチーなので聴きやすいです。取っつきにくい現代音楽への入り口としても最適です。

「わが祖国」が気に入ったなら、次は民謡風クラシックであるドヴォルザークの「スラブ舞曲」や、同じく後期ロマン派のR・シュトラウス辺りを聴くのが良いでしょう。有名な交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」や、もっと短くて聴きやすい交響詩「ドン・ファン」がオススメ。

 

交響詩「ドン・ファン」。

R・シュトラウスの中で私が一番好きな曲です。超かっこいい。

 

その後バルトーク辺りから現代音楽への扉を開いていきましょう。

 

新境地の「モルダウ」

平原綾香の「Moldau」はピアノ1本のアレンジで構成された曲です。

ピアノのオシャレなコード進行のおかげで、「モルダウ」の民謡臭さが無くなっており、スタイリッシュでジャジーな新境地の「モルダウ」です。

歌詞も原曲の持つ強烈な哀愁を失恋のテーマに置き変えた、失恋のモルダウになっています。哀愁のメロディとソナタ的な展開に平原綾香の太い声が合わさり、どことなく昭和歌謡的な雰囲気も作り出しています。バーでも流せるモルダウ。

 

原曲のメロディはそのままに(転調はしていますが)、歌詞とコードで雰囲気をガラっと変えている面白いカバーです。

2枚のクラシックカバーアルバムに収録されています。収録曲の好みで選びましょう。

 

 

当サイトでは、平原綾香のカバーとは全く異なる2曲のモルダウカバー曲も紹介しています。

同じ原曲でもここまで異なるのか…と我ながら大変興味深く書かせていただきました。

是非合わせてご覧ください!

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ABOUT ME
syro
1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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