何故日本人はモルダウが好きなのか?コレを聴けばすぐ解る!
というわけで今回は斉藤和義の「モルダウの流れ」です。
少し視聴できます。
何故日本人はモルダウが好きなのか?これを聴けば一発です。もはや説明不要なレベル。
「モルダウの流れ」は2006年リリースのアルバム「俺達のロックンロール」に収録されています。
当時15周年のベスト盤発売もあり、雑誌やネットニュースなどで紹介される機会は多かったものの、一般的な知名度といえば「歩いて帰ろう」「歌うたいのバラッド」くらいのもので、いわばロキノン系アーティストの兄貴分のような存在でした。
その後CMソングなどで徐々にTVなどで取り上げられるようになり、2011年家政婦のミタの主題歌の「優しくなりたい」で紅白歌合戦にも出場しました。
「優しくなりたい」MV。 バックで鳴り続けるエレキギターのアルペジオが印象的な曲です。16分音符のアルペジオですが、音自体は3音でループさせているので不思議なスピード感というかポリリズム的なカオス感というかそんなのが出ています。
これはちょっと違いますが、
柴咲コウの「INVITATION」。 4拍子の曲ですが、サビのメロディは4分音符3つでループするため、曲のリズムと歌メロのリズムのズレが不思議な雰囲気を醸し出しています。フワっとした切なさとスピード感のある名曲です。超好き。
「優しくなりたい」を最初聴いた時は「弾くの大変そうな曲やな」と思いましたが、エレキには勝手に音を繰り返してくれる「ディレイ」という機能があるのですね。
凛として時雨の「DISCO FLIGHT」。 これもエレキのディレイによるイントロが印象的な曲です。当時は色々と度肝を抜かれた曲です。かっこいい。
話を戻して、そんな斉藤和義のブレイク前にリリースされたアルバムの一曲「モルダウの流れ」です。
この曲、原曲のモルダウをキーは変えているものの、普通にギターサウンドでカバーしています。しているだけなのですが、
思いっきりフォークソングです。どフォークです。
原曲はチェコの曲なのですが、フォークロック風に歌われると「ゴダイゴかな?」て感じです。
原曲の「モルダウ」はチェコを流れる、美しくも壮大なモルダウ川を美しいオーケストラサウンドで表現した曲ですが、斉藤和義の「モルダウの流れ」はどう聴いても「神田川」です。泥臭いです。白鳥も飛んできそうにありません。
こうしたアレンジで聴くと、「モルダウ」の旋律はフォークソングに通じる哀愁があり、日本人の心に染み付いた感性に共通するものがあるという事が解ります。元々フォークソングは民族音楽がベースにあるジャンルでもあるので、フォークソングとの相性も良いのでしょう。
また「モルダウ」は民謡ベースのメロディもあり、有名なメロディもチェコの童謡「コチカレゼディーロウ(こぎつねコンコンの歌)」をモチーフにしています。民族音楽のメロディアスさは、やはり日本人にとっても馴染み深く聴きやすいです。
有名なブラームスのハンガリー舞曲第5番。これもジプシー音楽のアレンジと言われています。
この斉藤和義の「モルダウの流れ」、4分程度の短い曲ですが、中盤のポルカとその後主題が長調に転調する展開も含めしっかりと原曲を再現しています。
中盤のポルカは大胆に曲調が変化し、その後明るく転調する事もあり後半はプログレッシブ・ロックのようです。フォークの叙情感が偶然なのかプログレの叙情感と重なる…。笑
原曲をしっかりと再現しておきながら、原曲とは全く違う印象を与える名カバーです。聴き応えがあります。
何故かプログレフォークになってしまっているので、アルフィーやゴダイゴが好きな人にも何故かオススメできてしまいます。
このサウンド、どこまで確信犯なのでしょうか・・・詳しい人いたら誰か教えてください。
モルダウのメロディ
原曲のモルダウはホ短調です。
短調と長調では使用する音が一部異なるため、その異なる部分が「短調らしさ」を放っているとも言えます。
ホ長調とホ短調の違いは「ソ」「ド」「レ」です。ホ長調だとこの3音が♯になります。
こっちがホ短調。
こちらがホ長調です。「ソ」「ド」「レ」が#になっています。
つまりメロディだけで言えば、♯ではない「ソ」「ド」「レ」を使用している部分、
また♯ではない「ソ」「ド」「レ」から他の音へ移動する部分がマイナーな雰囲気を出している事になります。
モルダウのメロディではどこに該当するかというと、赤文字の部分です。
ボヘミアのかわよモルダウよ すぎしひのこと いまもなお
半分以上を締めており、また盛り上がる部分がマイナー調になっている事が解ります。
またメロディの動きも階段状になっている事が多く、シンプルなメロディでもあります。ハ長調に転調させると、「ドレミファソソソ ララララソ ソファファファファミファミ レレレレド」となります。うーん。シンプル!さすが童謡ベース。
旋律のリズムもスキップをするようなリズム、いわゆるシャッフルリズムであり、流れるような曲調ではありますがテンポの良いメロ運びです。
モルダウが哀愁を帯びた日本人好みのメロディである理由の一つがここにあります。
こちらの記事とこちらの記事でも、同じくモルダウのカバー曲を紹介しています。
全く仕上がりの異なる「モルダウ」、是非聴いてみてください。
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