ドイツのHIPHOPデュオDown Low。「The Moldau」は、スメタナの連作交響詩『我が祖国』の中の一曲、「モルダウ」をサンプリングした楽曲です。
2006年リリースの6thアルバム『Return of the Trendsetter』収録。
原曲はこちら。初めの主題が超有名ですが、Down Lowの「The Moldau」は、ヴァースで冒頭の旋律を、フックで第一主題をサンプリングしています。
原曲では、冒頭では小さな流れである川が、やがて合流し大きな流れとなります。そんな大きな流れを第一主題で表現しています。
一方Down Lowの「The Moldau」も、源流の冒頭部をサンプリングしているヴァースはソロでのラップパートとなっており、本流の第一主題をサンプリングしたフックはメンバー達による合唱パートとなっています。
なにげに、「一つ一つの小さな流れが、やがて大きな流れになる」という原曲の流れを再現した引用になっています。そしてそんな演出通り、合唱フックはマイナー調ながら、結構アガります。カッコいい。個人的にかなり気に入った曲です。
連作交響詩『我が祖国』の作曲者スメタナはチェコの作曲家であり、チェコの自然や文化を音楽で表現したのが『我が祖国』です。
「モルダウ」のモチーフとなったモルダウ川(ヴルダヴァ川)はチェコを流れる川ですが、源流はドイツ国境付近から始まり、その後本流は他の川と合流した後、やがてドイツ方面へと流れ出る事になります。
というわけで、ドイツのアーティストであるDown Lowにとってモルダウ川は馴染み深いものなのかもしれません。
連作交響詩『我が祖国』については、こちらの記事で詳しく話をしています。合わせてご一読ください。
このDown Low、ベートーヴェンのピアノソナタ『月光』第一楽章をメロウにサンプリングした曲もあります。「Moonlight」。
こちらはエンリオ・モリコーネ作曲の映画『Once Upon a Time in the West』のテーマソングをサンプリング。「Once Upon A Time」