ラヴェル

ボレロ/mihimaru GT「帰ろう歌」

mihimaru GT「帰ろう歌」。

MVです。

2004年リリース。

 

ラヴェルの「ボレロ」を引用しています。

原曲のラヴェル「ボレロ」。

 

ひたすら前向きでゴージャスなボレロのフレーズに対して、「帰り道」をテーマにした歌詞やサビで見せるポップで少し切ないメロディが上手く対比されているというか、日常が非日常に変貌する感じを出しているというか、とにかく味があります。

 

曲の冒頭で「退屈から抜け出したら~」と歌った後にボレロのメロディが始まる所など、退屈な日常を楽しくするための効果として、あえて非現実感のある雰囲気の「ボレロ」を引用していると考えられます。

 

この楽しい感じにちょっと寂しい雰囲気を乗せるところがmihimaruGTの凄い所です。

mihimaruGTの代表曲と言えばとにかくアゲアゲな「気分上々↑↑」ですが、本来「帰ろう歌」のようなほんのり哀愁を帯びたポップソングにこそ個性があったアーティストです。

 

3rdシングル「願~negai~」。 どこかちょっぴり寂しい前向きソング。mihimaruGTの本領発揮です。

「いつまでも響くこのmelody」。ジャズやブラスバンドの超有名曲「IN THE MOOD」をそのままサンプリングしています。ちょっとやり過ぎ感もありますが、悪くないです。

 

サンプリングとラヴェルの「ボレロ」

HIP HOPでは、2~8小節程度の長さのフレーズをバックトラックとして何度もループさせながらラップを行う手法が多く使用されます。そのフレーズがオリジナルではなく、どこかからか引用していたりする場合に「サンプリング」と呼ばれます。

 

原曲の「ボレロ」も、同じメロディを何度もループさせながら、少しづつ発展させていきます。そういった意味では原曲も既にHIP HOP的と言えます。きっと「帰ろう歌」のトラックメイカーは、「ボレロ」の繰り返す主題を聴いているうちに、自然と「ボレロ」にラップを乗せるイメージが浮かんできたのではないでしょうか。

 

「ボレロ」と「ミニマルミュージック」

また「ボレロ」は主題のメロディを10分以上に渡りずっと繰り返していくという構成を取ります。これは後に「ミニマル・ミュージック」というジャンルとなって誕生します。

 

こちらの記事ではサティの「ジムノペディ」とミニマル・ミュージックとの関係性についても触れています。

「ミニマル」と「ミヒマル」とても語感が似ています。これは偶然でしょうか。偶然でしょうね。

 

「ヒップポップ」ユニットmihimaru GT

mihimaruGTはデビュー当初から、ラップ等のヒップホップとポップ・ミュージックを融合させた「ヒップポップ」というコンセプトを掲げて活動していたグループです。

 

ヒップホップシーンもアングラからポップス寄りのもの(セルアウトとか呼ばれたりします)まで幅広いアーティストが数多く登場した頃でしたし、globeをはじめダンスミュージック風ポップスにラップを取り入れる手法も以前から多くありました。

 

しかし明確に「ヒップホップとポップスの中道」という立ち位置を掲げての活動は珍しく、実際スタンダードなポップスにヒップホップのエッセンスを加えるという匙加減はmihimaru GT独自のバランス感覚でした。

 

そしてmihimaru GTデビューの2年後、もう一人「ヒップポップ」を謳ったアーティストが登場します。安室奈美恵です。

小室サウンドから脱却ししばらく方向性を模索した後、大胆に路線変更し再び大ブレイクを果たした安室奈美恵ですが、その時リリースしたアルバムが「Queen of HipPop」です。

 

安室奈美恵のHipHop/R&Bサウンドをポップス風味に味付けした「HipPop」サウンドは大成功を収めました。

 

mihimaru GTが掲げた「ヒップポップ」は、時代を先取りしていたコンセプトだったと言えるでしょう。

 

そして「Queen of HipPop」の安室奈美恵は奇遇にも、その後ラヴェルの「ボレロ」を引用した曲をリリースします。「Dr.」という曲です。

 

こちらの記事で安室奈美恵の「Dr.」と「ボレロ」の関係性を解説しています。

 

 

調の違う2バージョン

帰ろう歌には2つのバージョンがあります。オリジナルの「帰ろう歌」も原曲のボレロより音程を下げた調になっていますが、「帰ろう歌 take07」は更にキーを下げています。キーを下げることで落ち着いた雰囲気になり、またボレロのメロディーがやや引っ込んだような印象にになり全体的な曲のバランスは良くなっています。しかしやはりボレロの迫力は1段下がる…。

お好みでお選びください。聴き比べてみるのも面白いです。

「TAKE07」の視聴ができます。 ベストアルバムに収録されているのは概ね「TAKE07」バージョンのようです。

 

ABOUT ME
syro
1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。