サティのジムノペディ。
ピアノで奏でられるこの美しい旋律は誰しも聞いたことがあるでしょう。よく眠れるジムノペディ。
ドビュッシーによる管弦楽編曲版も良いです。ピアノ単独だと静寂が強調されますが、オーケストラだと切なくも温かみのあるメロディがより強調されます。泣けるジムノペディ。
今日紹介するのは、ウェールズ出身の歌手、シャルロット・チャーチによるカバー、「From my first moment」です。
フィギュアスケートの坂本花織選手が今年(2018年)のショートプログラムの曲に使用しています。
ややスパニッシュ風のクラシックギターに乗せてしっとりと歌い上げます。アコースティックなギターバージョンも良いもんですね。
2001年リリース。Amazonで視聴できました。収録アルバムへもリンクしています。
収録アルバム「Enchantment」の全曲紹介記事も書いています。ぜひ合わせてお読みください。
シャルロット・チャーチはクラシカル・クロスオーバー歌手として1998年にデビューしました。ちょうどサラ・ブライトマンの「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」が流行った後です。
葉加瀬太郎とかで有名なアルバム「image」にも参加しているので知っている人もいるでしょう。
数枚アルバムを出した後、思い切った方向転換をしオリジナル曲を歌うようになりました。
路線変更後はロックやポップス・ファンクなど様々な曲を歌っています。
圧巻はYOUTUBEでもMV公開されている「Water Tower」。
これホントめちゃめちゃ良いです。正直ポップス歌手になって人気はなくなりましたが、この曲は凄い。
最近のポップスらしさと程よい上品さを併せ持ち、そして前衛的な展開とアレンジ。
「Water Tower」収録のアルバム。全体的にビョークっぽいですが、ビョークよりもアルバム中のバリエーションが豊かで聴きやすいです。緊張と緩和の音楽。
サティから始まる「静かな音楽」の歴史
サティはあまり曲調がクラシックらしくないのですが、実際、伝統的なクラシックから外れていく現代音楽や他のジャンルの音楽に大きな影響を及ぼしたと言われています。
今回はその中でも「静かな音楽」への影響を紹介します。
皆さんはリラックスしたいときや眠れない時、どんな曲を聴くでしょうか。
サティのジムノペディはリラックスや入眠にピッタリです。暑苦しくない音楽。隙間の多い音楽。リズム音のない音楽。音の数や楽器の数が少ない音楽。メロディが展開せず繰り返す音楽…。
こういった音楽ジャンルの先駆けがサティ、と言われています。
サティの後に登場したのはスティーブ・ライヒ。同じメロディを何度も繰り返しながらちょっとずつ変えていく、「ミニマルミュージック」。
その後はブライアン・イーノ。日常的な音(街のざわめきや水の音、風の音など)を使いながら、「無音」よりも更に落ち着く音楽を追求した「環境音楽」。
そして様々な音が出せるシンセサイザーを利用して「安らげる音」を追求した「アンビエント・テクノ」。エイフェックス・ツイン等が有名です。
私はこの「静かな音楽」がとても大好きで、寝る前や一休みする時・抑うつ状態になった時などによく聴きます。
いずれも超ド定番ではあるのですが、
ライヒ「18人の音楽家のための音楽」
イーノ「Ambient 4: On Land」
エイフェックス・ツイン「Selected Ambient Works Volume II」
Global Communication「76:14」
辺りは本当にリラックスできます。
「76:14」は是非ともこの2枚組Editionを勧めたいです。新品はプレミア付いてますが中古でも平気な人はぜひ。Disc2のB面集がまた良いんです!
これらの音楽が生まれなかった可能性もあるのかと考えると、本当にサティ様様です。
ちなみにクラシックでリラックスというといわゆる「癒やしのモーツァルト」などが挙げられますが、モーツァルトの癒やしは流麗な旋律によるものなので、今回紹介している「静かな音楽」とは趣を異にします。
クラシックでこういった「静かな音楽」を探したければ、逆に昔に遡るべきです。
タリスの「めでたし清らかなおとめ」
とかおすすめ。
ちなみに髙橋大輔選手の同シーズンのフリープログラム曲はこちらの記事で紹介しています。浅田真央選手も使用したラフマニノフの「鐘」を大胆にアレンジしたすごい曲です。
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[…] こちらの記事ではサティの「ジムノペディ」とミニマル・ミュージックとの関係性についても触れています。 […]
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