今回紹介するのは、アメリカのミュージシャン、ジョン・グラント(John Grant)の曲、「Pale Green Ghosts」です。
ラフマニノフの前奏曲嬰ハ短調「鐘」を引用しています。
2013年リリースのアルバム「Pale Green Ghosts」のタイトルトラック。
フィギュアスケートの髙橋大輔選手が、今シーズン(2018年度)のフリープログラムの曲として使用しています。
フィギュアで使用されている音源はこちら。冒頭に生オーケストラによる原曲の再現が追加されています。
フィギュアで使用されているバージョンは、こちらのライブCDからのもの。オーケストラで原曲をじっくり再現した後、覆いかぶさるようにエレクトロビートが登場する瞬間が鳥肌モノです。最高です。
どちらの音源も、めちゃくちゃカッコいいです。シュールなテクノサウンドの合間に鳴り響く管楽器。妖しくも味のあるヴォーカル。ストリングスが重なる部分はインダストリアルゴシックっぽいです。
ノイズ混じりの不穏なダンスビートをメインに、シンプルなフレーズを繰り返しながらも隙間をたっぷり用意するアレンジは、宗教音楽的でもあります。
ジョン・グラントは、元々Czarsというオルタナ・ロックバンドに所属していたとの事ですが、流石の音作りです。普通ラフマニノフの「鐘」をこんな組み合わせにはしません。
スティングといいヨンシーといいジョン・グラントといい、オルタナ・ポストロックバンドからのソロデビュー歌手は面白い曲を作る人が多いですね。そもそもオルタナ/ポストロックをやっている時点でバンドという枠組みからはほぼ外れかかっているわけで、脱退する事で一気に枷が外れて自由になり、作風も独自性が進むのでしょう。
ラフマニノフの原曲はこちら。
原曲の前奏曲嬰ハ短調「鐘」は、浅田真央選手がバンクーバー・オリンピックで管弦楽編曲版をフリープログラムで使用した事で有名になりました。
ただでさえ重苦しいこの「鐘」、管弦楽編曲によりボス戦BGMのような雰囲気にパワーアップします。そんな管弦楽編曲版の「鐘」をリズミカルにアレンジし独自の雰囲気を作り出しているジョン・グラントの「Pale Green Ghosts」。これは名曲ですよホント。
ヴォーカルの声質や曲の雰囲気的には、オーストラリア出身アーティストのDead can Danceが一番近いように感じます。
ジョン・グラント及び「Pale Green Ghosts」が気に入った方は聴いてみてはいかがでしょうか。
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