シンプルな音やメロディを繰り返す「ミニマル・ミュージック」のパイオニアとして知られるスティーブ・ライヒ。
手拍子のみで構成される『Clapping Music』、エレキギターをフィーチャーした『Electric Counterpoint』、ホロコーストを題材とした『Different Trains』、そして『18人の音楽家による音楽(Music for 18 musicians)』あたりが有名な曲と思われます。
しかし様々な実験的な音楽を試みてきたライヒの曲は、ともすれば「前衛音楽」として敬遠されがちです。
ベスト盤のようなものも発売されていますが、”実験的な小曲”集というような印象を受ける選曲ですし、ライヒの音楽の集大成とも言える『18人の~』は1時間程度の超大曲です。
そんなライヒの音楽。どこから手を付ければ良いのだろう…。代表作を聴いてみたけれど、いまいちピンと来ない…。と悩む方も多いのではないでしょうか。
そんな方に個人的に私がおススメしたいのが、今回紹介する「マレット楽器、声とオルガンのための音楽(Music for Mallet Instruments, Voices and Organ)」です。
様々な鍵盤打楽器が登場し、美しい音世界が広がります。加えてライヒのミニマル・ミュージックの醍醐味の一つといえる「繰り返しによる陶酔感」「単調な繰り返しの最中に突然起こる曲調の変化」を楽しめます。曲中に数回起きる、調やリズムの変化には独特のカタルシスがあります。
そして、作品の世界に没入でき、かつ長すぎない、20分弱程度のちょうど良い長さ。
「18人の~」に比べると穏やかな曲調でテンポも遅いので聴きやすく、リラックスや睡眠導入にも使えます。眠れない時や昼寝のお供におススメの一曲でもあります。
何も考えずに心を無にして音の流れに身を任せるも良し、一つの楽器に集中して耳を澄ませトリップするも良し、一気に別世界に飛ばされるような転調を待ちわびながらミニマル・ミュージックに浸るも良しな一曲です。
ライヒ入門としておススメの1枚。「マレット~」に並んで美しい音世界が広がる「管楽、弦楽と鍵盤のための変奏曲」、「マレット~」と合わせて「18人の音楽家による音楽」のプロトタイプともいえる「6台のピアノ」収録。
ちなみにライヒは鍵盤打楽器をよく楽曲に使用します。名古屋がモチーフになっている「Nagoya Marimbas(ナゴヤ・マリンバ)」なる曲も存在します。
私のサイトで紹介している曲でミニマル・ミュージック的な音楽をしているのはこちら。シンプルなビートの繰り返しが病みつきになります。
癒しやリラクゼーションを求めるなら、こちら。