スターダストプロモーションのアイドル、私立恵比寿中学の2014年リリースのシングル「ハイタテキ!」。
ベートーヴェンの交響曲第9番 第4楽章と、ラヴェルのボレロをサンプリングしています。
作詞作曲はJUDY AND MARYのギター&作曲担当だったTAKUYA。JUDY AND MARYでもキャッチーでありながら個性的な作曲とギターが特徴的でした。
曲タイトルの「ハイタテキ」は歯痛的と排他的をかけており、”虫歯”と”恋愛”を並行して歌う曲に、更にもう一捻り加えた脳天気に見えて深みのある歌詞です。必見。”歯医者”と”敗者”もかかってます。
イントロで取って付けたように登場する「歓喜の歌」は、コミカルさを演出しているものと思われます。私立恵比寿中学は”キングオブ学芸会”を謳っており、チープなシンセ音でありきたりな「歓喜の歌」を引用する事で”学芸会っぽさ”が出ています。
どちらかというとイントロで早速流れる「歓喜の歌」に気を取られがちですが、センスを感じるのは「ボレロ」のパートです。大胆に転調しボレロに移る部分がとても爽快感がありかっこ良く仕上がっています。
クラシックパートのバックで流れるギターがまた凄い。2番の後の間奏がこの曲の最大の見せ場です。オンリーワンです。必見。
間奏の後のラップパートでもバックに「ボレロ」が流れています。
ボレロは原曲も同じメロディを繰り返す構成となっており、ワンフレーズをループさせるヒップホップサウンドととても相性が良いです。
こちらの記事でも「ボレロ」をサンプリングしてラップをする曲を紹介しています。
JUDY AND MARYでもキャッチーな曲の裏でおかしなギターを弾いていたTAKUYAですが、この「ハイタテキ!」でもそのエキセントリックぶりは健在です。
特徴的なのはAメロの2番目のコード。「乙女は孤独で純情よ 色気バーサス」の部分。
キーはGメジャーなのに出て来るはずのない”B”が出てきます。しかもその周辺は全てベタベタなコード進行なので余計に違和感がすごい。しかしこの違和感がフックになっており、ヤミツキになります。この部分だけ転調しているようにも聴こえますが…。
違和感をAメロの3小節目にぶつけてくる発想がまた独創的です。まだ曲は始まったばかりですよTAKUYAさん。
その後はしっかりBメロで弾みを付けて、ストレートでどこか切ないサビへと展開します。しっかりアイドルソングしています。とてもいい曲です。
ギターが変な曲特集
「ハイタテキ!はギターが変」という話をしたところで、私の大好きなギターが変な曲を何曲か紹介します。それぞれ曲名からリンクで視聴できます。どのバンドも根本的にギタリストがおかしいです。そしてどの曲も収録アルバムは名盤です。
JUDY AND MARY「motto」。 どキャッチーなメロの裏で有り得ないほど空気を読まないギターが騒音のように鳴り響いています。自分で作曲してるのにこれだからまた凄い。
トルネード竜巻「言葉のすきま」 透明感のあるボーカルと綺麗なメロディの後ろに変態が紛れ込んでいます。ただしこのバンドは他のメンバーも相当変です。
東京カランコロン「カラフルカラフル」 名前からは想像のつかないおかしなギター。最近の曲は聴いていないけれど現在はどうなっているのでしょうか。
フランク・ザッパ ”空気を読まないギタリスト”の先祖のような方です。リンク先で代表曲が聴けます。
ももいろクローバーよりもやや地味でサブカル寄りのコンポーザー&作風な私立恵比寿中学ですが、 ベストアルバムは程よいキャッチーさとマニアックさを併せ持っておりおすすめ。一番気に入っているのは”アンチ《桜ソング》”の「梅」とデビューシングルの「仮契約のシンデレラ」。
「仮契約のシンデレラ」はエリーゼのためにを引用しており、こちらの記事で紹介しています。こちらも能天気に見えて深い曲です。
[…] 交響曲第9番「歓喜の歌」・ボレロ/私立恵比寿中学「ハイタテキ!」スタ… […]
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