今回紹介するのはroxie philharmonyの「交響曲第7番 王魂よ、光あれ」です。
roxie philharmonyは「ヴィジュアル系ロイヤルシンフォニー」を謳っており、ヴィジュアル系バンドサウンドとクラシックサウンドを混ぜたような曲調のCDを制作しています。
曲ごとに様々なボーカルが登場し、楽器の数も多彩です。作詞作曲を全て行う主催者以外は全員ゲストメンバーという編成で、指揮者&楽団(ボーカル含)というコンセプトのようです。
以前の曲はもっとオーケストレーション中心の曲も多かったですが、今回のCDはギターサウンドを前面に出した曲が目立ちます。
「交響曲」と銘打っていますが、一般的な交響曲とは違います。
百聞は一見にしかず。
実際は曲の合間合間にピアノのインスト曲が入ります。
歌唱曲の合間のインスト曲
アルバムの合間に多くのインスト曲を入れるというのはHIPHOPのアルバム等でも良く用いられる手法です。
曲単体ごとに独立しがちなアルバムに全体的な統一感を持たせると同時に、曲間に繋がりを持たせる事で「好みの1曲だけ聴く」ではなく全体を聴かせる効果があります。
またクラシックにおいても、歌のパートと楽器のみのパートが入り交ざるものも多いです。
例えばベートーベンの交響曲第9番もそうです。第4楽章のラストのみ合唱パートが入ります。
またオペラやオラトリオなどストーリーのある歌ものクラシック曲は、おおよそ初めに「序曲」という歌無しのいわゆるオープニングテーマがあり、その後歌手が登場します。
モーツァルト「フィガロの結婚」序曲。
またオペラは途中にバレエが入る部分があり、通してみると長時間かかるオペラにメリハリをつけています。
これはオペラ本編よりも有名なインストバレエ曲。
サン=サーンスのオペラ「サムソンとデリラ」の終盤に挟まれる「バッカナール」という曲です。吹奏楽で演奏されたり、フィギュアの安藤美姫選手が演技のBGMに使用したりと有名な曲です。有名になるのも納得のスーパーかっこいい曲です。バレエと合わせてみると更に良い。
いろんな「序曲」もそうですが、インストパートが本編の歌唱曲よりも有名、というのも良く有ることなのです。決して蛇足ではない。という事を強く強調したいです。
緩徐楽章
またroxie philharmonyの「交響曲第7番 王魂よ、光あれ」のインストはいわゆる「緩徐楽章」の役割も担っています。緩徐楽章というのはいわゆる箸休め曲のようなものであり、クラシックの交響曲や協奏曲はだいたい中盤の第2楽章や第3楽章がゆったりした緩徐楽章となっています。通して聴くと長丁場になる曲の場合、途中に一息入れる時間が必要なのです。
モーツァルトのピアノ協奏曲20番の第2楽章。
私が世界一好きな曲の緩徐楽章です。第1楽章が最高なのですが、いい曲は緩徐楽章も美しい。有名なパートです。
ベートーベンの交響曲第7番第2楽章。
緩徐楽章で一番好きなのはこれ。奇遇にも同じ交響曲第7番。
「交響曲第7番 王魂よ、光あれ」は全部で21曲、70分以上になる作品ですが、ギターやメロディの起伏が激しく、多彩な曲調のボーカル曲が揃う中、インストが多彩な曲をまとめると同時に、程よいアクセントとなっています。静かな曲があるからこそ、その後の激しい曲がより一層映えるのです。
「交響曲第7番 王魂よ、光あれ」のピアノ独奏曲は中盤~終盤に多く配置されており、全体の構成がよく練られている事が伺えます。
グランド・フィナーレ
「交響曲第7番 王魂よ、光あれ」の構成の話をしてきましたが、中盤~終盤にかけてインスト曲が増えると同時に、ボーカル曲の曲調もストレートでドラマティックな曲が増えていきます。序盤~中盤は比較的実験的な曲や盛り上がりきらずに終わる曲も多いですが、特にラストの4曲は激しく、且つ泣ける曲揃いです。
山場を迎えるラスト直前の第20楽章。
このタイミングで初登場のボーカルが出てくるという演出もニクいです。
クラシックでは第1楽章が一番キャッチーな作品も多いですが、ラストの楽章に山場を持ってきている曲も多いです。
例えばベートーベンの交響曲第7番第4楽章。
ドカンと盛り上がるフィナーレです。奇遇にも同じ交響曲第7番。あれ??
様々な歌い手が次々と登場し、インストパートが重要な役割を果たしながら中盤~終盤にかけて一気に盛り上がる「交響曲第7番 王魂よ、光あれ」。全曲通して聴くための工夫が随所に凝らしてあります。是非全曲通して聴いてみましょう。
今の所この通販サイトでDL販売のみ取り扱っているようです。