今回紹介するのはスペインのロック・オペラ作品『Legado De Una Tragedia, Vol. 3』。
アーティスト名は、webサイトによってEdgar Allan PoeだのLegado de una TragediaだのJoaquín Padillaだの書かれていますが、
どうやらJoaquín Padillaという人物が手掛けたLegado de una Tragediaという名の音楽プロジェクトで、初期の作品はエドガー・アラン・ポーに基づいたストーリーであるためにEdgar Allan Poeという副題も付く、という感じのようです。
今のところ5枚のアルバムがリリースされており、その中でも3枚目のアルバムです。2016年リリース。
曲調は本物の大編成管弦楽団を従えたシンフォニックメタル。OPERA MAGNAを更に映画音楽やオペラに寄せたような感じです。そういえばOPERA MAGNAにもエドガー・アラン・ポーを題材にしたアルバムがあったな…。そして同じく3作目が最高なオーケストラル・メタルだったな…。
話を戻して、こちらはアルバム『Legado de una Tragedia III』中の一曲「La Bestia de Ojos Dentados」。
作品のクレジットを見ると、OPERA MAGNAやMago De Oz・Dark Moorのメンバーなどが参加しているらしく、スパニッシュメタルのオールスターズといった感じ。しかしweb検索しても日本語のページはほとんど出てこず、少なくとも日本ではあまり知られていないようです。
他のアルバムはバンドサウンドがメインだったり逆にオーケストラオンリーで起伏に乏しかったり、デジタルサウンドが前に出ていたりして、正直微妙な出来というのが個人的な感想です。知名度が低いのはそのためでしょうか。
ですが、この『Legado De Una Tragedia 3』だけは全てにおいて高次元でまとまっている、奇跡の一枚といえる作品です。
とにかくオーケストラサウンドが豪華。そんじょそこらのシンフォニックメタルとは格が違います。更にヴォーカルも多様で退屈しません。メロディも良く展開も起伏がある。バラードもありますが、ただのバラードでは終わらない展開をみせ、しかも決して竜頭蛇尾ではなく、アルバム後半で最高潮を迎えます。
アルバムの長さは70分程度ですが、オペラらしくきちんと2幕に分かれておりCD2枚組となっています。
バンドサウンドも轟音爆走一辺倒ではなく、ハードロック的アプローチも多くメリハリがあります。
総じて私の理想の音楽作品にかなり近いです。
いわゆるクサメロが好きな方はこちらをどうぞ。OPERA MAGNAの JOSE BROSETAがVoで参加している「Epitafio del Destino」。
豪華なオーケストラサウンドから情熱的で激しいメロディアスハードのパートを経て、サビではヴォーカルスイッチ&転調とともに合唱付きのシンプルなマイナーメロディで一気に疾走し始めます。ガッツポーズ間違い無し。その後の展開もとても劇的。8分近い曲ですが、ラストまで退屈せずに楽しめます。
ちなみにこのアーティスト、私はまず5枚目のアルバム『Britania』のリリースを知って聴いてみたものの、バンドサウンド皆無で起伏にも乏しくピンとこない⇒4枚目『El Secreto de los Templarios』は逆に普通のメタル作品でピンとこない⇒1stはサウンドがややチープでピンとこない⇒あと一枚だけ聴いてみるか…でようやく出会えた作品。諦めないで良かった…。
この作品が気に入った人はこちらもおススメ。同じように絢爛豪華でカッコいいオーケストラル・ロック。