ヴィヴァルディ

協奏曲集《四季》/LOS CANARIOS「Ciclos」

スペインのプログレッシブ・ロックバンドLOS CANARIOS(ロス・カナリオス)

1974年発売のアルバム「Ciclos(シクロス)」は、ヴィヴァルディの協奏曲集《四季》を全曲カバー・アレンジした、全73分の超大作です。

1974年というと、ピンク・フロイドやイエスなどの有名バンドの代表作が一通り発表された後。プログレッシブ・ロックの円熟期とも言える時期です。そんな年にリリースされたLOS CANARIOSの「Ciclos」。

ヴィヴァルディの《四季》を全曲アレンジ・カバーしながらも、オリジナルの要素もふんだんに取り入れた超大作です。曲ごとに様々に表情を変えながら、ノンストップで73分続きます。

 

「Ciclos」は、《四季》の移ろいを、人の一生になぞらえて表現していると言われています。

 

冒頭は現代音楽風プログレのイントロから女性歌手の独唱を経て、赤ん坊の泣き声と共に「春」の第一楽章が始まります。スタンダードなバンドアンサンブルによる「春」はとても美しくドラマティックです。リズムや展開はアレンジされておりしっかりとしたプログレです。

 

「春」が終わると、今後は宗教音楽チックなパートに移ります。原曲も宗教音楽風な出だしの「夏」。厳かな混声合唱に合わせて、個性的なシンセの音がクラシカルな音色を奏でます。その後も緊張感のあるアンサンブルを見せるプログレパートと、宗教音楽風のパートが交互に登場します。多彩なシンセの音色と、クラシカルなギターが印象的な「夏」。

 

「秋」はスタンダードなプログレパート。いつものメロトロンにいつものギター・ドラム。キング・クリムゾンとU.K.を合わせたようなサウンド。「秋」でも混声合唱が登場しますが、こちらはフォークやロックのハーモニーを取り入れており、クイーンのような雰囲気もあります。おもちゃのような音を奏でるシンセも聴いていて楽しいです。

 

ラストの「冬」は今までのサウンドの集大成のような音。「冬」の美しいメロディを、時にはギターで、時には渋いヴォーカルやコーラスで歌い上げます。ラストは冒頭で登場した女性ヴォーカルが再び現れ、幕を閉じます。

細かい歌詞やコンセプトは解りませんが、おそらく巡り巡る四季と、命の連鎖や輪廻、破壊と再生等を重ね合わせているのでは無いでしょうか。

 

 

流石の長さなので冗長さは全くない、とは言えませんが、円熟したクオリティの高いプログレサウンド・馴染みのある美しい《四季》のメロディ・多彩な歌声と楽器群・大仰なコンセプト・が揃った、質の高い大作プログレッシブ・ロックと言えるでしょう。

スペインのバンドらしく、情熱的で熱いアプローチも多く聴いていて楽しい音楽になっています。

 

往年の有名プログレバンドが出してきた音の集大成、と言った感じでもあるので、イエスやELPなど有名バンドで何かしらお気に入りがある方はもちろん、大作プログレ入門としてもおススメできる1枚です。

 

ABOUT ME
syro
1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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