ヘンデル

オラトリオ「メサイア」より「ハレルヤ」/globe「DON’T LOOK BACK」

今回紹介するのはglobe「DON’T LOOK BACK」2000年に発売された曲です。

歌唱映像

時期的には、ベストアルバム「CRUISE RECORD 1995-2000」の次の次くらいのシングル曲です。売れに売れたglobe&小室哲哉ですが、徐々に実験的な曲の比率が多くなっていきました。

 

前衛作家としての小室哲哉

元々「ただの売れ線」ばかりをつくる人ではありません。

例えば安室奈美恵の「You’re my sunshine」なんかもかなり独特な展開の曲でした。

初めと終わりは全く別の曲のように違うリズムと調。本編的なポジションである真ん中の部分も、AメロBメロで盛り上げるだけ盛り上げておいてサビに突入せず間奏に入ってしまいます。

素直に「long time ago~」からそのまま「I’m Your sunshine~」とサビに突入すれば良いのに…。

Bメロで煽って間奏に突入するパターンは、よく曲の2番に使用されますが、Bメロ→サビの流れを1度も使用せずにこの手法を使うのは何とも珍しい…。とにかく不思議な曲展開です。

 

構成が左右対称的で、美しいといえば美しく実際個人的には大好きな曲です。

主題→展開×2→再現 ともいえるので、ソナタ形式とも言えます。

 

(※実際はCM用にゆったりテンポの曲を作った後、シングル用に作り直した曲はテンポが速くなってしまっていて、どうしよう?→2つ繋げちゃえ! という経緯のようです。)

 

 

そして「DON’T LOOK BACK」この曲の後globeはいわゆる「トランス・ミュージック」に傾倒する事になり、「DON’T LOOK BACK」はglobeのオルタナティブな部分が最も出ている、前衛的な曲となります。曲時間も1曲9分近くあります。

 

この「DON’T LOOK BACK」で引用されているのは、いわゆる「ハレルヤ・コーラス」です。

とても有名な曲です。

 

 

主題はどれ?

「DON’T LOOK BACK」は全部で9分近くもある曲ですが、何とも掴みどころのない曲となっています。

まず、主題(メインとなるメロディ)はどれだ?となります。

 

出だしに短いメロディが歌われますが、いきなりイントロが2分。その後乱暴な打ち込みリズム&ギターリフに乗せて早口な歌メロが乗るテクノミクスチャーロックのような曲調になります。その後唐突に初めに登場したメロディが流れますが、すぐ「DON’T LOOK BACK!」の掛け声と共にハレルヤが流れ出します。

主題と思われたメロディは1番が終了した後歌われなくなり、前半で姿を消してしまいます。しかも切ないメロディと言えど、サビというにはパンチに欠ける…。

2番以降は新しいメロディが登場しますが、それがまた前半以上に盛り上がらないメロディ。ラストは一気に1オクターブ音程が上がり、無理やり盛り上げて曲は終わってしまいます。

 

ポップスを想像して聴くと、「どこが聴きどころ?どこを楽しみにして聴けばよいの?」と困惑してしまうこと間違いなしです。

 

また「DONT’ LOOK BACK」「DONT’ LOOK BACK」「DONT’ LOOK BACK」とマークが何度も語りかけるバックでハレルヤコーラスが流れる様はかなり啓発的でなんというか宗教っぽモゴモゴ

 

案の定徐々に人気が落ちていたglobeはこの辺りを境に一気にマイナーアーティストとなってしまいます。

 

しかしこの「DON’T LOOK BACK」、ただの変な曲ではありません。スゴイんです。

 

この曲の主題ですが、やはり冒頭のメロディでしょう。「2回しかでてこないよ?ラストも出てこないよ?」いやいやそんな事はありません。

 

タイトル・そして歌詞と呼応する”主題”

冒頭のメロディ、実は2番以降変化したメロディのバックで、シンセが対旋律として奏でています。なので実際は1曲の大部分をしっかりと主題が占めているのです。

 

そしてタイトルの「DON’T LOOK BACK」。「振り返るな!」という意味ですが、歌詞の概要は「未熟な自分たちのせいでうまく行かなかった恋愛関係」から前に進もう、という感じです。曲の1番のラストで「DON’T LOOK BACK!」と歌った後から、「もう過去は振り返らない!」と言わんばかりに、主題の歌メロはその後歌われる事は無くなります。

 

解釈①:主題のメロディは冒頭部分ではニ短調ですが、その後登場する際は長調に転調しています。

これは「暗く過去を引きずっていた自分から前向きな自分に生まれ変わった」事を表現しているものと思われます。

 

解釈②:しかし曲の後半では、変化した歌メロのバックで、まだシンセが冒頭と同じ主題を奏でています。

これはもう振り返らない!と思っていながらも吹っ切ることができていない複雑な心情を表しているとも考えられます。

 

中々深い曲解釈ができる「DON’T LOOK BACK!」改めてじっくり聴いてみてはいかがでしょうか。

 

 数少ない「DON’T LOOK BACK」収録のベストアルバム。その後のトランス期の曲まで収録されておりオススメ。売れなくなってからが面白いglobe。

 

 

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こちらの記事では、同じく「ハレルヤ」を引用した曲を紹介しています。

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原曲の「メサイア」についても少し詳しく紹介しているので、合わせてお読みください。

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1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。