グリーグ

組曲《ペール・ギュント》より「ソルヴェイグの歌」/kamelot「Forever」

1991年結成のアメリカのバンドKamelot(キャメロット)

2001年リリースのアルバム「kalma」収録曲「Forever」でグリーグの「ソルヴェイグの歌」をカバーしています。

 

「Forever」ライブ映像。

イントロ及びサビに「ソルヴェイグの歌」のメロディを引用しています。

 

 

キャメロット

Kamelotはパワーメタルのジャンルに入るバンドです。数回来日した事もあります。メロディックで管弦楽器やインダストリアルな音もしばしば使用され、映画音楽(ゲーム音楽)のような雰囲気もあります。

ヴォーカルはハイトーンボイスというよりは渋めで色気のある声質であり、それが他のバンドとは一味違う個性となっています。メロディアスなのに暑苦しくない新鮮なヴォーカルです。私がとても気に入っているバンドの一つです。

 

 

私が一番好きな曲「Sacrimony(Angel of Afterlife)」MV。 転調マニアは必聴ラストのサビの転調がめっちゃ良いんです。ぜひぜひ最後まで聴いてください。

女性ヴォーカルをゲストに迎えた北欧メタル風の冷徹感あふれる曲です。3拍子と4拍子を行ったり来たりします。

ゲストボーカルは2番のブリッジでようやく登場しますが、間もなくその後のサビでコーラスに隠れてしまいます。間奏の後ラストのサビでようやく全貌を現す女性ヴォーカルですが、そのラストのサビでロ短調から一気に3音上がって変ホ短調に転調します。そしてサビを1回歌った後再び男性ヴォーカルにバトンタッチしロ短調に戻ってサビのメロディが繰り返されるのですが、この2連続の転調が圧巻です。こんなかっこいい転調聴いたこと無いっていうくらい一気に別次元に飛ばされる気持ちの良い転調です

 

ラストに半音ずつ上がるサビなどはしょっちゅうありますが、一気に3音上がった後に元に戻って繰り返すという展開が斬新です。しかもその3音下がるラストが一番盛り上がるという。

変ホ短調から3音下がってロ短調に戻る流れも工夫されており、変ホ短調から転調しながら1音ずつ下がって行き、ロ短調の基音である「シ」まで自然に辿り着く流れを作っています。

 

ラストのサビまでゲストヴォーカルをほとんどまともに使わないという構成も見事です。そのおかげでラストの展開が最高に劇的になります。

 

使用する鍵盤を見れば解りやすいのですが、

ロ短調

変ホ短調

ロ短調と変ホ短調で共通する鍵盤は「シ」「ファ♯(ソ♭)」だけで、他は全く重なりません。突然のヴォーカルスイッチと、一気に3音上がるうえに使用する鍵盤が全く異なる変ホ短調への転調が、別世界へ突然ワープしたかのような雰囲気を作り出しています。大名曲です。

 

「Sacrimony」収録のアルバム「SILVERTHORN」はヴォーカル交代直後のアルバムですが、声質に大きな変化はないため違和感なく聴けます。19世紀が舞台のストーリーアルバムとなっており、双子の兄弟の片割れが幼馴染の少女を事故で殺してしまい…。という話です。ミュージックビデオも物語の冒頭のストーリーを再現しています。ドラマティックなストーリーにドラマティックな曲。

 

 

ソルヴェイグの歌

組曲《ペール・ギュント》は冒頭のフレーズが超有名なピアノ協奏曲と並んで、グリーグの代表曲と言われる曲です。特に第1組曲の「朝」「山の魔王の宮殿にて」が有名です。

今回引用されている「ソルヴェイグの歌」は組曲《ペール・ギュント》のラストを飾る第2組曲の4曲目にあたる曲です。

「ソルヴェイグの歌」視聴はこちら。

 

「ソルヴェイグ」というのは、主人公ペール・ギュントが若い頃に故郷の村で出会った女性です。

自由奔放なペール・ギュントは旅に出ます。「ソルヴェイグの歌」は、ソルヴェイグが旅に出たペール・ギュントを想いながら歌う歌です。

ペール・ギュントは紆余曲折を経て、視力や財産等すべてを失って故郷へ帰ってきます。そんなペール・ギュントをソルヴェイグは優しく迎え入れます。ソルヴェイグの子守唄を聴きながら、ペール・ギュントは安らかに息を引き取る…。という内容です。

 

「ソルヴェイグの歌」は愛する人を待ちわびる女性の想いと故郷の温かみ、そして離別の寂しさを同時に内包した切なさ溢れる名曲です。

 

そんな「ソルヴェイグの歌」をKamelotはアルバムのオープニングナンバーとしてカバーしています。切ない短調のメロディを勇ましさに変えて歌うKamelotの「Forever」は原曲の持つ別の表情を見事に引き出している、とてもドラマティックな曲です。

 

また原曲は2/4拍子のシンプルなリズムですが、「Forever」での引用では4/4拍子の7小節にする事でバンドサウンドに厚みをもたせ、かつプログレ的アプローチにも成功しています。

ABOUT ME
syro
1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。