歌手兼声優の高垣彩陽。音大で声楽を学んだ経歴もあり、クラシックに造形の深いアーティストです。
そんな彼女の楽曲『記憶の湖』は、ドビュッシーのアラベスク第1番をオマージュした楽曲です。
2015年リリースの2ndアルバム『individual』収録。ピアノの音色とコラール風のコーラスが印象的な、美しくも温かみのあるバラードナンバー。作詞作曲は、クラシック・クロスオーヴァー曲を数多くリリースしている歌手のカノン。
クラシックの引用に関してはこちらのインタビューでコメントされています。
ドビュッシーによる原曲はこちら。冒頭の美しくミステリアスなアルペジオが印象的な楽曲。ですが…。
アラベスク第1番??どこで使ってる???という感じの『記憶の湖』ですが、おそらく有名な主題部ではなく、中間部(上動画の1:22~辺り)の旋律を、ピアノ伴奏及びサビ冒頭のメロディで使用しているものと思われます。珍しい~!!
アラベスク第1番の中間部(イ長調)で何度も登場する、「ミレミド♯」の動機。
この音型を半音下げて、『記憶の湖』の変イ長調に合わせると、イントロ冒頭及びサビ冒頭のメロディの「ミ♭レ♭ミ♭ド」になります。
原曲から半音下げた意図は何でしょう?。本人の声域の問題でしょうか??
長調の楽曲は一般的に明るめの曲調となる事が多いですが、その中でも♯が多いイ長調はとりわけ明るい雰囲気を醸し出し、♭の多い変イ長調はどちらかというと幻想的でロマンティックな雰囲気になるといったような説が多くみられます。
試しに『記憶の湖』のサビを、半音上げたイ長調で弾いてみると、何となく明るい雰囲気になるような印象があります。楽曲のドラマ性や憂いを演出するための移調かもしれません。
高垣彩陽は他にもクラシック曲を使用した楽曲を歌っています。こちらの記事で紹介しています。


他アーティストによる、アラベスク第1番の主題部の方を引用したポップス曲はこちら。

