台湾の3人組女性グループS.H.E(エスエイチイー)。彼女達の楽曲「不想長大(Don’t wanna grow up)」は、モーツァルトの交響曲第40番とベートーヴェンの交響曲第5番『運命』の、共に第1楽章をサンプリングした曲です。
交響曲第40番の旋律を主に使用していますが、『運命』の旋律も間奏で登場します。有名な運命の動機も曲の随所に出現します。派手なストリングスが特長的なR&Bナンバー。
この曲の1年前に、韓国のアイドルグループ東方神起も交響曲第40番を使用したR&B曲をリリースしています。台湾で韓国のポップスはとても人気があるそうなので、影響を受けている可能性は高いと思われます。
2005年の7thアルバム『Once Upon a Time』収録。5曲目の「月桂女神」は浜崎あゆみ「Dearest」のカバーという事ですが、原曲のBメロを主題にして構築されており、カバーというにはかなり微妙な別の曲。という感じです。作曲者も別人がクレジットされています。月桂樹のモチーフ(浜崎あゆみのアルバム『I am…』のジャケット)を含め、「Dearest」にインスパイアされて制作した楽曲・もしくは類似性を指摘されて後から公表したパターンでしょうか。
このS.H.E。音楽活動は実質終了しているようですが、台湾のアイドルグループの中では大変知名度が高く、日本でも比較的知られています。また数多くのクラシック引用曲を発表しています。以下に紹介。
チャイコフスキー:《白鳥の湖》より「情景」⇒「Remember」
2002年2nd『Youth Society』収録。
ケテルビー:「ペルシャの市場にて」⇒「波斯貓(Persian Cat)」
2004年5th『Magical Journey』収録。
グリーグ:「山の魔王の宮殿にて」⇒「宇宙小姐 Miss Universe」
sweetboxの元ヴォーカルJADEのソロアルバム収録曲「crush」のカバー。
2008年9th『我的電台 FM S.H.E』収録。
ベートーヴェン:「エリーゼのために」⇒「花又開好了(Blossomy)」
2012年11th『Blossomy』収録。
同じく台湾のガールズグループPopu Ladyのクラシック引用曲もこちらの記事で紹介しています。合わせてどうぞ。