クラシックカバーアルバム全曲レビュー

Simone Sommerland, Karsten Glück & die Kita-Frösche『Die 30 besten Kinderlieder mit Klassikmelodien』

ドイツの子ども向け音楽プロジェクト、Simone Sommerland, Karsten Glück & die Kita-Frösche(シモーネ・ソマーランド、カルステン・ラックとカエルこども園)によるクラシックカバーソングアルバム。

クラシックカバーアルバム以外にも20枚以上のアルバムをリリースしており、1stアルバム(童謡カバーアルバム)はドイツとオーストリアで60万枚を売り上げているそうです。

成人の男女+少年少女によるドイツ語歌唱。

2017年リリース。リンク先で全曲試聴できます。

 

 

曲目リスト(青色◎は特に良かった曲)

1. Heut’ tanzen alle Tiere (今日は動物が皆踊りだす)/チャイコフスキー:白鳥の湖-四羽の白鳥の踊り
2. ◎Das Mozart-Lied (モーツァルトの歌)/モーツァルト:トルコ行進曲
3. ◎He, ho, wir sind Piraten (ヘイホー、俺たちは海賊)/スメタナ:モルダウ
4. ◎Der Hamstertanz(ハムスターダンス)/J・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲
5. Tschuku tschu tschu (鉄道の歌)/ブラームス:ハンガリー舞曲第5番
6. Ode an den Kindergarten (幼稚園の頌歌)ベートーベン:交響曲第9番-喜びの歌
7. War einst ein Bauernsohn (かつては農夫の息子だった)/ヴェルディ「リゴレット」-女心の歌
8. Manapi, das Indianerkind (インディアンの子、マナピ)/ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」-第2楽章
9. ◎Felix, die Fledermaus (コウモリのフェリックス(モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク)
10. Der Frühling, der ist da (春が来た)/ヴィヴァルディ:「四季」-春-第1楽章アレグロ
11. Der Tierstimmen-Walzer (動物の声のワルツ)/J.シュトラウス2世:美しく青きドナウ
12. ◎Ich bin ein kleines Schlossgespenst (私は小さな城の幽霊)/チャイコフスキー:白鳥の湖-情景
13. Ein kleiner Räuber (小さな強盗)/ヴェルディ:ナブッコ、第3幕-ヘブライの捕虜たちの合唱
14. ◎Montag mach ich eine Mondfahrt (月曜日、月の旅へ)/ビゼー:カルメン組曲第1番
15. Das Lied vom Backen (ベーキングの歌)/オッフェンバッハ:地獄のオルフェ-カンカン
16. Ich bin der dicke Zirkusbär (私は大きなサーカスの熊)/グリーグ:ペールギュント組曲 第1番-山の魔王の宮殿にて
17. Der Drache und der Ritterssohn (ドラゴンと騎士の息子)/プロコフィエフ:ピーターと狼
18. Der Herbst (秋)/モーツァルト:ドン・ジョバンニ-お手をどうぞ
19. Mein Puppenhaus (私の人形の家)/ベートーベン:交響曲第7番-第2楽章??
20. Brüderchen, komm, nimm meine Hand (弟よ、私の手を取りなさい)/オッフェンバッハ:バルカローレ
21. ◎Schneewittchen bei den 7 Zwergen (7人の小人たちと白雪姫)/バッハ:バディヌリー
22. Wenn die Vögel singen (鳥が歌うとき)/ボッケリーニ:弦楽五重奏曲第5番 第3楽章、メヌエット
23. ◎Das Pilotenlied (パイロットの歌)/チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 第1楽章
24. ◎Weil wir Freunde sind (私たちは友達だから)/パッヘルベル:カノン
25. Wunderschöne Winterzeit (素晴らしい冬のひと時)/チャイコフスキー:くるみ割り人形-ブリキの兵士の行進
26. ◎Das Dornröschen-Lied (眠れる森の美女の歌)/フォーレ:ペレアスとメリザンド-シシリエンヌ
27. Heut’ wird ein schöner Tag (今日は良い日になるだろう)/グリーグ:ペールギュント組曲 第1番-朝の気分
28. Ich will noch nicht ins Bett (まだ寝たくない)/ベートーベン:エリーゼのために
29. Wenn du müde bist (疲れたら)/クレメンティ:段階的な6つのソナティナ第5番-第3楽章
30. Schlafe, mein Kindchen (眠りなさい、私の子ども)(モーツァルト:ピアノソナタ第11番 第1楽章

※本作は曲数が多いため、数曲レビューを割愛します。

 

1. Heut’ tanzen alle Tiere (今日は動物が皆踊りだす)/チャイコフスキー:白鳥の湖-四羽の白鳥の踊り

幼稚園や学校の合奏のような、多彩な楽器編成で楽しいカバー。シアトリカルな要素もあり。

2分であっさり終わる構成だけれど、リズムをとる楽器を弦楽器⇔ドラムと交互に交代させてみたり、合いの手のようなスキャットを挿入させてみたり、劇場の幕開けのような拍手が間奏部と後奏部に入ったりと芸が細かい。飽きさせない工夫が随所に。

子ども向けクラシック集の1曲目の選曲としてもなんか意外。普通長調でノリの良い曲から始めない?

2. ◎Das Mozart-Lied (モーツァルトの歌)/モーツァルト:トルコ行進曲

シンセドラムとちょっと重厚なシンセストリングスに合唱が加わり、ほんのりテクノ&ニューエイジの香りが漂う。

バスドラの休符の取り方がちょっと普通じゃない。結構複雑だし、こんなにタメる必要ある??

ヴォーカルの休符の取り方も独特。長調に転調する部分をサビにしているんだけれど、その直前10小節をたっぷりサビ前にしてピアノ演奏を聴かせる。

このサビ前のパートも、1番と2番で微妙に異なり、2番では近未来的な謎SEが遠くの方でこっそり鳴らされている。終盤に行くにつれて徐々に音数を増やしていく意図があるようだけれど、それにしてもこの音は何???

3. ◎He, ho, wir sind Piraten (ヘイホー、俺たちは海賊)/スメタナ:モルダウ

合唱によるフォークソングにアレンジ。6/8拍子である原曲のテンポを上げた事で、ノリノリのお祭りシャッフルリズムになってしまった。男性ヴォーカルメインでメロディアスな楽曲でノリも良く、アコーディオンや笛・ロックドラムなどが盛り上げるので、ちょっと大人しいコルピクラーニみたいになってる。いやドイツ語で海賊をテーマにしてるからエクリブリウムか。

後奏とかめっちゃクサい。

4. ◎Der Hamstertanz(ハムスターダンス)/J・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲

UKガラージのようなテンポの良いダンスビートがカッコいいなと思っていたら、ドラムが引っ込むAメロではベースギターがやたら動き回る。ベースの休符の取り方がファンクのそれ。無駄にカッコいい。

ハムスターが跳ね回る様を表現したSEや、要所でオカズを入れてくるギターもおいしい。ハムスターの動きを表現するために、ベースも動き回りながらハネているのだろうか。

5. Tschuku tschu tschu (鉄道の歌)/ブラームス:ハンガリー舞曲第5番

テンポを自由自在に上げ下げする演奏が特長的な原曲。この”テンポの緩急”というのは、まさしく子ども向けソングの定番十八番であり、全く違和感なく再現。

女性ヴォーカルメインで、アコーディオン&木琴&鉄道のSEでアレンジ。

6. Ode an den Kindergarten (幼稚園の頌歌)ベートーベン:交響曲第9番-喜びの歌

歓喜の歌をQueenのWe Will Rock Youのリズムで合唱。多分「こども園は楽しい」みたいな歌詞なんだと思う。こども園で楽しく手足でリズムを取りながら歌う様子が想像できる。

8. Manapi, das Indianerkind (インディアンの子、マナピ)/ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」-第2楽章

原曲の”新世界”とはアメリカの事で、原曲もインディアン等の民族音楽の影響があるという説もあり、そういった面を楽曲に落とし込んだ大陸系民族音楽風のカバー。

9. ◎Felix, die Fledermaus (コウモリのフェリックス(モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク)

かなり意外な始まり方をする、オリジナルのABメロが超ポップで抒情的。男性ヴォーカルの歌唱も穏やかで上手く、普通のシンガーソングライターの曲みたい。

原曲冒頭の有名な旋律は意外にも出番が少ないけれど、イントロや対旋律のスキャットコーラスとして効果的に使用されている。

10. Der Frühling, der ist da (春が来た)/ヴィヴァルディ:「四季」-春-第1楽章アレグロ

鳥のさえずりをサンプリングし、直球で春の訪れを歌う曲。オリジナルのCメロがこれまた超エモい。

大人のヴォーカル二人は、クラシックのメロディは明るくはっきりと歌唱し、オリジナルの歌メロでは歌手としての個性を出してくるのでギャップが面白い。

11. Der Tierstimmen-Walzer (動物の声のワルツ)/J.シュトラウス2世:美しく青きドナウ

様々な動物の本物の鳴き声をサンプリングしたカントリー風のトラックに乗せて、「猫はミャオ、犬はバウバウ」と擬声語の勉強をさせる曲。

原曲の終止のリズムに鶏の鳴き声を上手く合わせてみたりと芸が細かい。

12. ◎Ich bin ein kleines Schlossgespenst (私は小さな城の幽霊)/チャイコフスキー:白鳥の湖-情景


怪しい映画音楽のようなシアトリカルなアレンジ。

夜の虫にカラスに狼の鳴き声、更に幽霊が漂うようなSEやドアをノックしたり開いたりする音などを使用。少年の単独ヴォーカルなのも、夜の不気味さを上手く演出している。これは凄く良い。

13. Ein kleiner Räuber (小さな強盗)/ヴェルディ:ナブッコ、第3幕-ヘブライの捕虜たちの合唱

3拍子の原曲をリズミカルな2拍子に大胆にアレンジ。この曲をここまでポップにできるのか…。

そしてオリジナルと思われるサビのパートは、原曲カバーのパートとは全くテンポも雰囲気も異なり、別の2曲を交互に演奏しているみたいになってる。どう考えてもこの構成おかしくない??サビもどこかの引用なのか??

歌詞は解らないけれど、旧約聖書を題材としたオペラでヘブライ人の捕虜の歌という、何とも扱い辛い題材の曲で”小さな強盗”というテーマなのは大丈夫なのだろうか。

14. ◎Montag mach ich eine Mondfahrt (月曜日、月の旅へ)/ビゼー:カルメン組曲第1番

スペイン風のカルメン前奏曲を何故か横ノリレゲエのリズムにアレンジ。何故だ…?後半ではしっかりスティールパンも出てくる。

“前奏曲””序曲”の概念を月曜日という舞台設定で表現しているのが面白い。中間部のテーマをイントロ及び間奏に使用しているのも上手い。

そういえばキリスト教徒にとっては週の初まりは日曜日なんじゃなかったっけ?と思ったら、欧州では基本的に月曜日を週の始まりとして定めているらしい。へー。

15. Das Lied vom Backen (ベーキングの歌)/オッフェンバッハ:地獄のオルフェ-カンカン

意外に落ち着いたテンポにアレンジされており新鮮。このアレンジを聴く限り、「天国と地獄」=運動会のイメージなのはきっと日本だけなのだろう。

次ページは後半戦&アルバム総評!

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ABOUT ME
syro
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1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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