日本のシンフォニックメタルバンドANCIENT MYTH(エンシェント・ミス)。
モーツァルトのオペラ《魔笛》の中の一曲、「夜の女王のアリア(復讐の炎は地獄のように我が心に燃え)」をカバーしています。
2021年リリースの5thアルバム『ArcheoNyx』収録。
ElupiAのベーシストが参加しているとの事です。ElupiAの楽曲にも「夜の女王のアリア」をオマージュした楽曲があります。
ANCIENT MYTHにとってほぼ10年ぶりとなるオリジナルアルバムである本作『ArcheoNyx』ですが、オペラチックな高い音程での歌唱の比率が増え、曲にメリハリが付きました。
低音でマイナーメロディを効かせ、高音で幻想的な雰囲気を演出しています。日本人らしいメロディはそのままにサウンドも大幅にパワーアップし、かなり垢ぬけた印象です。今までの作品の中でも間違いなく一番良いです。
そんなパワーアップ/イメージチェンジを象徴している曲の一つが、「夜の女王のアリア」のカバーです。高音のコロラトゥーラの難易度が高い事で有名ですが、むしろ他の高音曲よりも綺麗に声が出ています。
スピード感のあるメタルサウンドも含めて、クオリティの高い気合の入った良カバーです。
クラシックカバーというのは原曲が好きなクラシックファンに聞かれる可能性もあるため、往々にして妙なプレッシャーがかかる事があるようです。ドビュッシーの「月の光」を引用しているアイドルのtipToe.の楽曲でも、イントロのピアノを滅茶苦茶練習したと作曲家の方が述べていました。確かに違和感ない演奏。
ANCIENT MYTHの『ArcheoNyx』、高い声も良いですが、やはり地中を潜るような低音の歌メロが効いてます。こちらは同アルバム収録の「Chaos to Infinity」。
「Der Hölle Rache kocht in meinem Herzen」とはVoが全く異なる表情を見せ、低音で起伏の少ないマイナーメロディと管楽器群が勇ましさを感じさせるシンフォニックメタル。中島みゆきmeetsメタルみたいな感じで独特の迫力があります。
同じく低音の女性VoによるメロディックメタルなGRAND FINALEの1st『Descent With Modification』も私は大好きで、こういう雰囲気が好物みたいです。
モーツァルトの原曲はこちら。