モーツァルト

オペラ≪魔笛≫より「夜の女王のアリア」/ ElupiA「Sorceress! The Hypnotizing Forest (Third Movement)」

日本のシンフォニック・メタルバンドElupiA

「Sorceress! The Hypnotizing Forest (Third Movement)」 という楽曲で、モーツァルトのオペラ《魔笛》中のアリア「夜の女王のアリア」を引用していると思われます。

ちなみに曲名にある”Third Movement”というのは”第三楽章”の意味で、「The Hypnotizing Forest」という魔女の住む森をテーマにした組曲となっています。

 

 

有名なコロラトゥーラの部分をアレンジして引用しているものと思われます。おそらく”魔女のテーマ”というような使われ方をしています。

原曲の夜の女王のアリア 「復讐の心は地獄のようにわが胸に燃え」。

原曲は同じような旋律を徐々に音高を下げながら反復進行する手法をとっていますが、Elupiaの曲は逆に徐々に音高を上げながら進行します。

 

そんなElupiAの楽曲「Sorceress! The Hypnotizing Forest (Third Movement)」。
2014年リリースの『Departure』が初収録のようですが、

個人的には再録のフルアルバム『Clock O’ Desert』を勧めます。2016年リリース。ElupiAはこのアルバムを最後に活動休止してしまいます。

 

こちらはアルバムのトレイラー動画。「Sorceress! The Hypnotizing Forest (Third Movement)」の「夜の女王のアリア」をモチーフにしていると思われる部分も一部登場します。2:05~の部分。

ラストのバラードなんか、ほとんどガチのオペラアリアです。

 

こちらはアルバム収録曲「Slumbering History」のMV。中盤からの展開がとてもドラマティック。

このElupia、系統としてはNIGHTWISHから始まったオペラ風シンフォニック・メタルという事になるのでしょうが、数多のNIGHTWISH系バンドの中でも、かなりオペラティックです。

 

ヴォーカルの発声ももちろんですが、物語を紡ぐような曲があったり、歌メロの流れなどクラシックをベースにしているような部分があったりと、かなりクラシック要素を取り入れています。とはいえインダストリアルロック曲やポップス的な曲もあり、オペラ&バンドサウンドをベースに多彩な曲が並びます。

 

シンフォニックメタルなのにピアノのウェイトが大きい点も、オペラ感を強くしています。鍵盤奏者が二人いるという、独特な編成によるものです。

 

 

ちなみに今回紹介している曲は第三楽章に位置しますが、第一楽章は1stミニアルバムWILDERNESSに収録されています。第一楽章も7分以上に亘って物語を紡ぐ、シアトリカルなロック曲です。

 

 

活動休止してしまったElupiAですが、バンドの中心人物だったYuvicaが2019年に新プロジェクトEVILLEN(エヴィレン)を立ち上げ、アルバム『ACROPHOBIA』をリリースしています。

ElupiAの方向性は残したまま、よりシネマティックになり、かなり垢抜けた感のある作品になっています。ElupiAのセルフカバーも一曲収録。

 

 

モーツァルトの「夜の女王のアリア」ですが、オペラティック・メタルの先駆者であるNIGHTWISHも引用しています。こちらの記事で紹介しています。

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syro:生まれも育ちも長崎市です。二児の子育て中。 趣味はインドア全般。音楽以外ではスマホ収集とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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