クラシックカバーアルバム全曲レビュー

MOSAIC.WAV「MOSAIC.LASSIC ~ふたりのはっぴー☆あいらんど~」

いわゆる「電波ソング」「アキバ系ソング」系音楽ユニットMOSAIC.WAV。テレビアニメ『すもももももも〜地上最強のヨメ〜』OPテーマ「最強〇×計画」が有名。

本作は2015年リリースのクラシックカバーミニアルバム。

曲目リスト(青色◎は特に良かった曲)

01.◎ふたりのはっぴー☆あいらんど〜for C.A.Debussy〜(ドビュッシー「喜びの島」「亜麻色の髪の乙女」「アラベスク第1番」「月の光」「夢」他?)
02.恋愛初歩のノクターン(ショパン「ノクターン 作品9の2」「幻想即興曲」「英雄ポロネーズ」「別れの歌」他??)
03.【ANIME BGM】ヴィヴァルディさん(ヴィヴァルディ「四季」より「春」「秋」)
04.◎Caro mio ben(トンマーゾ・ジョルダーニ「カロ・ミオ・ベン」)
05.気づいたら貯金が(エリック・サティ「ジムノペディ第1番」)
06.ふたりのはっぴー☆あいらんど〜for C.A.Debussy〜(Off Vocal)
07.恋愛初歩のノクターン(Off Vocal)
08.Caro mio ben(Off Vocal)
09.気づいたら貯金が(Off Vocal)
—BONUS TRACK—
10.気づいたら電車が(気づいたら貯金が ピアノver.)

01.◎ふたりのはっぴー☆あいらんど〜for C.A.Debussy〜(ドビュッシー「喜びの島」「亜麻色の髪の乙女」「アラベスク第1番」「月の光」「ベルガマスク組曲-プレリュード」「夢」他?)

とにかく音数を詰め込むキラキラアキバ系ピコピコポップ。タイトルを見た瞬間に嫌な予感しかしないヤンデレソング。

イントロは「喜びの島」。冒頭のトリルを8bitで再現した結果、ファミコンBGMあるあるの「和音が鳴らせない代わりの高速アルペジオ」っぽくなってしまっている。これがやりたかっただけじゃ…。

Aメロが「亜麻色の髪の乙女」でサビが「月の光」と「ベルガマスク組曲第1番 プレリュード」、後半のCメロが「夢」のメロディなのは解ったけど、他にもドビュッシーの曲が使用されているのだろうか。たぶんBメロの「ビッグブリッヂの死闘」風のアルペジオが「アラベスク1番(それとも水の反映?)」かな?歌詞にヒントが隠されている事が多い。

 

選曲がちょっとおかしい。電波ソング要素満開な曲だけど、ドビュッシーのメロディが一番電波を飛ばしている。他の曲と比べても明らかにマニアックな選曲。何か思い入れがあるのだろうか。

並みいるポップス系アーティストが敬遠し、インストやごくシンプルなカバーでお茶を濁してしまうドビュッシーを真っ向勝負でここまで料理している歌ものカバーは初めて聴いたので関心してしまった。サビをプレリュードのメロディで纏める所なんかめちゃめちゃ上手い。

というかそもそも実質”元祖電波音楽職人”と言っても過言ではないドビュッシー。結果いい感じに化学反応を起こした、どこまでも掴みどころの無い極彩色×印象派のヘンテコソング。

あえて調性を逸脱するドビュッシーの音楽と、常識からの逸脱を表現する暴走電波ソングが相性バッチリなのがよく解る。

02.恋愛初歩のノクターン(ショパン「ノクターン 作品9の2」「幻想即興曲」「別れの歌」「英雄ポロネーズ」他??)

70年代のようなコテコテに古臭いシンセとコーラスが煽るアップテンポのポップソング。イントロは幻想即興曲の中間部。

原曲の流れるようなリズムを使って字余りっぽい歌い方にしてみたり、8分音符を連発する所にサウンドのユニゾンを当ててキメを作ったりと、原曲の主旋律のリズムを利用して、浮つきハイテンション恋愛ソングにきちんと昇華している。

同じメロディの繰り返しになってしまう中で、ちょうど良い所で語りパートが入り、その後英雄ポロネーズや別れの曲の引用が入る。色々仕掛けがあって意外と飽きない。

歌詞にショパンの曲名が次々入ってくるので、どこかに旋律が隠されてるんじゃないかと探してしまう。ご丁寧にインストバージョンまで収録してくれているのは確信犯。ショパンは苦手なのに…。

 03.【ANIME BGM】ヴィヴァルディさん(ヴィヴァルディ「四季」より「春」「秋」)

ヴィヴァルディの2曲とサザエさんのBGMをミックスしたインスト。【ANIME BGM】とあるので何かに使用したのだろうか。色々大丈夫だろうか。

 04.◎Caro mio ben(トンマーゾ・ジョルダーニ「カロ・ミオ・ベン」)

I’veとロバート・マイルズを合わせたようなゲーソン風トランス。おふざけ無しのガチソング。選曲が良く、普通にカッコいい。後半は徐に爆走ハードロックに変化する。超劇的。今までは(特に前曲が)アレだったのもあって、ついギャップ効果で感動してしまう。

でもやっぱりこういう真面目な曲になるとヴォーカルの歌唱力が気になるなぁ。

 05.気づいたら貯金が(エリック・サティ「ジムノペディ第1番」)

物が落ちる音や水泡がはじけるような音等、様々な音をサンプリングしたミニマルテクノトラック。音は徐々に増えていく。ちょっと後半騒がしすぎる気もするけど良くできている。歌詞は貧乏生活で有名なサティリスペクトだろうか。

総評

チープで派手なサウンドと可愛らしく拙い女性ヴォーカルは共通しているものの、「電波ソング」と一言では括れない、バリエーション豊かな5曲。クラシック以外にも作り手の幅広い音楽的バックボーンが垣間見えます。

特筆すべきは一曲目のドビュッシーのカバー。今まで誰もやれなかった事をやってる。

ABOUT ME
syro
syro
1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。