クラシックカバーアルバム全曲レビュー

BIGMAMA「Roclassick ~the Last~」

バイオリン奏者を擁する日本のロックバンド、BIGMAMA

全3部作から成る、クラシックアレンジアルバム「Roclassik(ロックラシック)」シリーズのラストを飾る3枚目。

2019年リリース。

 

曲目

“青色◎”は特に良かった曲。

1.◎誰が為のレクイエム (ヴェルディ『レクイエム「怒りの日」』)
2.◎高嶺の花のワルツ (チャイコフスキー『くるみ割り人形より「花のワルツ」』)
3.LEMONADE (モーツァルト『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』)
4.◎ワルキューレの非行 (ワーグナー『ワルキューレの騎行』)
5.TURKEY OUTSIDER (モーツァルト『トルコ行進曲』)
6.あなたの声で僕の名を呼んで (クリスティアン・ペツォールト『メヌエット』)
7.the Last Song (ショパン『別れの曲』)

 

◎1.誰が為のレクイエム (ヴェルディ『レクイエム「怒りの日」』)

原曲も出オチ感の強いヴェルディのレクイエム。この曲も取って付けたようなレクイエムのイントロからオリジナルの曲調に展開していくけれど、奇数拍でキメキメの原曲とは対照的な16ビートの特徴的なドラムパターンが、レクイエムのパートからオリジナルのパートに継承される事で統一感を出している。

そしてブリッジ部分とアウトロで忘れた頃に再登場するレクイエムのフレーズ。特にブリッジで転調と同時にレクイエムの旋律が登場する場面がカッコいい

3分半程度の短い曲だが繰り返す部分が少なく、四つ打ちになったりバイオリンメインになったりとアレンジも多彩。

バイオリンアレンジも、クラシカルになったり美しく派手なアニソン風になったり無骨な対旋律のロック風になったりとバリエーションが多い。ラストサビのバイオリンだけアレンジャーじゃなくメンバーのアレンジとかなのだろうか。

ヴェルディの原曲同様、目くるめく展開であっという間に過ぎていく曲。

 

2.◎高嶺の花のワルツ (チャイコフスキー『くるみ割り人形より「花のワルツ」』)

音数を絞った、まさかの洋楽風トロピカンハウスに、ファンクというかシティポップというかそんな感じのオシャレなカッティングギターを乗せた4拍子のトラック。

かなり思い切ったアレンジ。よく花のワルツをこんな風にしたな…。Crean Banditの影響?

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3.LEMONADE[feat. 長屋晴子] (モーツァルト『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』)

緑黄色社会のヴォーカルとデュエット。ダンスミュージック&16ビートのギターで前作の流れを引き継ぐ曲調だが、全体的に80年代ポップスのような古臭いアレンジ。

所々で取って付けたように原曲のフレーズが登場するが、もうこれモーツァルトとか要らないのでは…という印象の曲。一応歌メロも、原曲に似たような動きをする部分もある。

 

4.◎ワルキューレの非行 (ワーグナー『ワルキューレの騎行』)

普段のBIGMAMAの曲調に近いサウンド。ロックサウンドにバイオリンとシーケンス音が乗っかる曲。ワルキューレの騎行の一番冒頭の部分をループさせて使用している。

原曲のゆったりした3拍子をバタつかせて6拍子にアレンジ。ほんのスパイス程度に効かせたクラシックが良い感じ。

2番のAメロでは、原曲のメロディをリズムを変えて、バイオリンで対旋律として使用する。これも超カッコいい。

 

5.TURKEY OUTSIDER (モーツァルト『トルコ行進曲』)

ディレイを効かせたギターとシーケンス音・打ち込み風のドラムが印象的な、オリジナルのダンサブルなパートと、トルコ行進曲のフレーズをクラシカルにギターで奏でるパートが交互に登場する。

更に、ラストにトルコ行進曲の続きの部分を引用してもう一展開する面白い曲。

 

6.あなたの声で僕の名を呼んで (クリスティアン・ペツォールト『メヌエット』)

どキャッチーなメロディを活かしたポップソング。ちょっと民謡の風味も混ぜて壮大な雰囲気にアレンジ。

四つ打ちメインのドラムも含めて、ライブで盛り上がりそうな曲。オートチューンも使用。

 

7.the Last Song (ショパン『別れの曲』)

原曲を再現するピアノから壮大に展開する王道のロックバラード。と思いきや中盤の間奏はかなりカオスでアヴァンギャルド。その後は再びシンプルな曲調に戻り幕を閉じる。

それにしてもアルバム全体を通してスネアの音が打ち込み感が強くて古臭い。最近こういうのが流行ってるのだろうか。

 

総評

BIGMAMAらしいバイオリンを混ぜたギターロックサウンドに加え、EDM等最近の洋楽の風味を取り入れたアレンジ。過去作よりもアップデートされた音

クラシック曲を大ネタとして使う曲もあればエッセンス程度に使用する曲もあり。

ダジャレ感の強い、ふざけた曲タイトルに騙されてはいけない。過去作からの路線はそのままにサウンドをアップデートさせた、良質のクラシックアレンジアルバム。

ちなみに初回盤は「Roclassick」「Roclassick2」から厳選した7曲を収録したディスクとの2枚組でベスト盤的内容です。初めて聴く人はこれで良いのではないのでしょうか。

roclassickシリーズ前作のレビューはこちら。

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syro
1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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