ギターロックにバイオリンを重ねるサウンドが魅力の日本のロックバンドBIGMAMA。
クラシック音楽をモチーフに制作した楽曲で構成される、「Roclassick」シリーズ第2弾。
2014年リリース。
曲目
“青色◎”は特に良かった曲。
1.「Animanimus(ブラームス『ハンガリー舞曲 第5番』)」
2.◎「Swan Song (チャイコフスキー『白鳥の湖』)」
3.「No.9 (ベートーヴェン『交響曲第9番「歓喜の歌」』)」
4.◎「Royalize (サティ『ジムノペディ』)」
5.「Perfect Gray (グリーグ『「ペールギュント」第1組曲』)」
6.「bambino bambina (エルガー『威風堂々』)」
7.「Moonlight (ドビュッシー『月の光』)」
1.「Animanimus(ブラームス『ハンガリー舞曲 第5番』)」
オーケストラサウンドによる壮大なイントロから始まるネオクラギターロック。
前作「Roclassick」では2000年代ロックのようなサウンドだったけれど、今度はワンオクみたいな2010年代風。
間奏及びサビの対旋律で原曲を使用。原曲のリズムやメロディをアレンジして違和感なく仕上げる音作りは相変わらず。オンリーワンの匙加減。
2.◎「Swan Song (チャイコフスキー『白鳥の湖』)」
ベースが暴れる哀愁ロック。その割にオリジナルのサビはマイルドに仕上げておりイマイチ盛り上がらない。「情景」を使用しているイントロ及び間奏、そして最後の最後にオリジナルのサビに「情景」の旋律を重ねる部分に曲のピークを持ってきている。
後半の間奏で突然テンポダウンする所がプログレっぽい。
3.「No.9 (ベートーヴェン『交響曲第9番「歓喜の歌」』)」
しばらく第9要素はほとんど無くオリジナルの曲調で進み、終盤でようやく大々的に引用したパートが登場する。大ネタをラストに思い切り突っ込む構成はカタルシスがある。
この曲を始め3~4分で終わる曲がほとんどなので物足りない感もある。
4.◎「Royalize (サティ『ジムノペディ』)」
ジムノペディをバックにほんのり忍ばせた、11拍子の曲。しかも6→5→5→6のループ。もしかして22拍子?
ジムノペディ第1番ばかりが有名で、シンプルでメロウな作曲家と思われがちだけれど、実はその他の楽曲はかなり難解で現代音楽寄りのサティ。そんなサティの本質に迫ったような曲。
5.「Perfect Gray (グリーグ『「ペールギュント」第1組曲』)」
イントロ及び間奏に「山の魔王の宮殿にて」のメロディを大胆に使用したハードロック。サビでは「朝」のメロディをバイオリンが対旋律で奏でる。
どマイナーでインパクト大の第4曲「山の魔王の宮殿にて」と、どメジャーで爽やかな第1曲「朝」を上手く対比させて活かしている。
6.「bambino bambina (エルガー『威風堂々』)」
カントリー風の曲調から、サビの後半で「威風堂々」が突如登場する。間奏もマーチングドラムを先に出してその後原曲のメロディをコーラスする等、毎回クラシックの使い方に意外性があって面白い。
カントリーのようなポルカのような曲調でギターとバイオリンが出てくるもんだから、コルピクラーニみたいな雰囲気になってしまっている。
ライブで踊って盛り上がれるような曲作りを目指した結果、「朝まで飲もうぜ」「酒場で格闘ドンジャラホイ」に寄っちゃったのだろうか。
知らない方は↓こちらが「酒場で格闘ドンジャラホイ」↓
7.「Moonlight (ドビュッシー『月の光』)」
ラストらしいミドルテンポの直球ロックバラード。
「月の光」はリズムやメロディを少し変え親しみやすくアレンジして、ピアノ演奏でイントロや歌メロのバックに使用。
ドビュッシーの「月の光」はインストでアレンジされる事は多くても、歌モノに仕上げるのは難しいのか、とても少ない(というか初めて聴いたかも?)。そういう意味では、とても貴重な楽曲。
総評
クラシック×ロックがコンセプトではあるけれど、時代に合わせた音作りをしており、前作及び次回作との差別化は図れている。
短調曲を引用していてもサビは爽やかな曲が多く、マイナー系疾走感よりもメジャー系解放感、という感じの作風。
哀愁メロディやスピード感を求める人は「Roclassick」「Roclassick ~the Last~」の方が良いかも。