日本のメタルバンド、UnluckyMorpheus(アンラッキー・モルフェウス)。楽曲「Carry on singing to the sky」で、シューベルトの交響曲第8番《未完成》・ベートーヴェンのピアノソナタ第14番《月光》・パガニーニの《24の奇想曲》第24番を引用しています。
2020年リリースのアルバム『Unfinished』のラストを飾る一曲です。
冒頭のイントロで登場するシリアスなシンセのフレーズが、シューベルトの交響曲第8番《未完成》第1楽章からの引用。
間奏のギターソロにベートーヴェンのピアノソナタ第14番《月光》第1楽章。そしてその後のバイオリンソロにパガニーニの《24の奇想曲》第24番がそれぞれ引用されています。
※追記:読者様より、ギターソロの月光と24の奇想曲の間のパートでヴィヴァルディの協奏曲集《四季》冬第1楽章のフレーズが演奏されているとの指摘がありました。
クラシック曲の引用の経緯に関してはこちらのインタビューで触れられています。
ブラジルのメタルバンドViper及びANGRAのヴォーカルであったアンドレ・マトスの死に影響を受けた楽曲であるとの事です。そのためUnlucky Morpheusの「Carry on singing to the sky」は、ANGRAリスペクトの王道クラシカル・パワーメタルになっています。
曲タイトル及びアルバムタイトルも、シューベルトの交響曲《未完成》を引用したANGRAの楽曲「Unfinished Allegro」「Carry On」から取っているものと思われます。またANGRAは同じアルバムの表題曲「Angels Cry」では間奏に24の奇想曲を引用しています。
ベートーヴェンの《月光》を引用している楽曲はこちら。ViperとAndre matosソロの2バージョンあります。
Unlucky Morpheusはヴォーカルの天外冬黄と、作曲及びギター&グロウルを務める紫煉を中心としたバンドです。オリジナルアルバムの他、東方アレンジやアニソンのメタルアレンジなど同人カバー作品も積極的に制作しています。
天外冬黄の前身バンドLIGHTBRINGER(アニソン風プログレハード)や紫煉の他バンドの妖精帝国及び電気式華憐音楽集団(ロリータ・インダストリアルゴシックメタル)に比べて、より本格派のスピードメタルサウンドとなっています。
こちらは2ndアルバム『CHANGE OF GENERATION』収録の「Knight of Sword」。どマイナー旋律にテクニカルなバンドサウンド&バイオリンを乗せた、歌謡メタルの一つの到達点と言える一曲。
こちらは1曲目の楽譜を逆から演奏すると2曲目になるというトリッキーなEP、「CADAVER」「REVADAC」。
ドビュッシーの楽曲名を冠した、印象派ポップバンドのパスピエも先日回文構造の楽曲を発表していました。
クラシカルアートポップスを冠する音楽ユニットlove solfegeも、バッハの《音楽の捧げもの》から着想を得ていると思われる、逆行カノンという同じようなアイデアの作品を発表しています。
それぞれ全く音楽性の異なるアーティストですが、やはりクラシックがベースにあるアーティストは得てして楽譜や構成美への拘りを持っているものなのですね。
《24の奇想曲》第24番の前にギターソロの裏でバイオリンヴィヴァルディの冬が演奏されています。ですのでこの曲ではクラシック4曲使われています。
この曲パガニーニの直前のギターソロ時にバイオリンはヴィヴァルディの冬も弾いています。
ご指摘ありがとうございます!確かに冬の第1楽章っぽいフレーズですね!追加させていただきます。ありがとうございました!