クラシック編

クニッペル「交響曲第4番《コムソモール戦士の詩》」とポーリュシカ・ポーレのカバー曲

今回紹介するのは、20世紀ソビエト連邦の作曲家、レフ・クニッペル(Lev Konstantinovich Knipper)の楽曲、「交響曲第4番《コムソモール戦士の詩》」です。

 

全部で四楽章から成る、30分程度の楽曲です。こちらは第一楽章。

重厚で勇ましくも、不穏な響き。ロシアクラシックらしさを持ちながらも、
ド派手な管弦楽パートとキャッチーなメロディの声楽パートが代わる代わる現れる、とても面白い曲です。

 

この「交響曲第4番《コムソモール戦士の詩》」で何度も登場する印象的な合唱のメロディ、現在では「ポーリュシカ・ポーレ」という名で有名な曲です。

「ポーリュシカ・ポーレ」とは、この「交響曲第4番《コムソモール戦士の詩》」の合唱パートの部分を抜き出し、当時のソ連の軍歌として歌われるようになったものです。

 

「交響曲第4番《コムソモール戦士の詩》」第一楽章のクライマックスでは、大迫力のオーケストラに乗せて「ポーリュシカ・ポーレ」の大合唱が起こります。

第二楽章以降も「ポーリュシカポーレ」のメロディは所々に顔を出しながら、時には行進曲風に、時には静かにとコロコロ曲調を変えながら進んでいきます。

ラストの第四楽章もミュージカルのような、オーケストラ×掛け合い合唱の超キャッチーなパート。そして最後の最後に再び帰ってくる「ポーリュシュカポーレ」の旋律。それはもうドラマティック。

明快なメロディも相まって、退屈せずにあっという間に聞ける30分間です。

 

そんな「交響曲第4番《コムソモール戦士の詩》」から生まれた、哀愁を帯びながらも勇ましい旋律の「ポーリュシカ・ポーレ」。ロシア民謡を代表する一曲として、様々なアーティストによってカバーされています。

今回はそんな「ポーリュシカ・ポーレ」のカバー曲を紹介していきます。

 

ロック・メタル系カバー

Aeterna「Полюшко-поле」

ロシアのフォークメタルバンド。女性Vo。
ロシアンテイストよりもケルトやアイリッシュトラッドの風合いか強く、クサすぎない&洗練されたバンドサウンドがハイクオリティ。
モダンミクスチャーロックぽいリフも多く、かなりメジャー感の強い音です。
2018年リリースのアルバム『Легенда Начинается』収録。

こちらは公式Youtubeチャンネルにアップされていた、アコースティックバージョン。

 

Aura「Полюшко-поле」

ロシアのシンフォニックメタルバンド。

ポーリュシカ・ポーレはマーチングドラム⇒ギャロップ風リズム⇒裏打ち連打⇒ツーバス⇒倍速テンポとどんどんスピード感が上がっていく、スリリングなシンフォメロスピ。ギターソロやシンセリフ等はChildren of Bodomの「Downfall」から引用されており、民謡代表とメタル代表を融合させている、趣向を凝らした名カバー。

2018年リリースの『От героев былых времён…』収録。多様なシンフォ・フォークメタル曲が並ぶ、3曲入りEP。ドラマティックな展開とキャッチーなサビの2曲目が特にアツいです。

 

Северные Врата「Полюшко-поле」

男性Voのフォークメタルバンド。民謡要素は薄めだけれど、メタリックかつキャッチーなリフが多い。
ポーリシュカポーレは多彩なドラムワークとシンセに加えて、咆哮や掛け声などで最後まで退屈させない良いカバー。
2003年のアルバム『Правь』収録。ドラマティックなシンセとブラストビート的ドラムがかっこいい5曲目・3拍子と5拍子と9拍子をいったり来たりするシンフォ&プログレフォークメタルの6曲目・民族楽器とシンセを纏ってどキャッチーに疾走する7曲目等がおススメ。

Рдяный Вран Зари (Red Raven of Dawn) 「Полюшко-поле」

ロシアのエピック・ペイガンメタルバンド。

スロー~ミドルテンポの雄大で土着宗教音楽のような雰囲気もある、
スピリチュアルなフォークメタル。大半の曲が10分~15分。笛の音色を多用。歌唱はほとんど男声合唱。このヘタウマ合唱がかなりクセあり。

ポーリシュカポーレはアルバム中ではかなりヘヴィで緩急つけたアレンジ。語りを挟みながら8分間じっくり展開していきます。

2018年リリースのアルバム『Избранное』収録。怪しいコーラスが延々10分間続く異端なオーラ満載の1曲目・スタンダードなフォークメタルの前半から、4つ打ちとバスドラ連打を共演させたポップでダンサブルなスピリチュアルメタルに展開していく5曲目(オススメ)・お経のようなコーラス、大仰な打楽器&オルガンに乗せて語りが始まる、謎の宗教感が凄い7曲目等、個性的な楽曲が満載。

ちなみに6曲目は(cyber folk version)とか書いてる。そんなジャンルがあるのか…。聴いてみると、確かにサイバーフォークとしか言いようが無いシロモノ。

 

ППШ「Полюшко-поле」

ロシアのロックバンド。やや古めのスタンダードなロックサウンド。時々ファンクなカッティングの曲や民族楽曲をフィーチャーした曲あり。
「ポーリュシカ・ポーレ」カバーは前半は2ビート基調のシンプルでノリの良いアレンジ、後半はアコギ弾き語り。

2009年のアルバム『Очередь』収録。

 

 

 MystTerra & Велес (Veles)「Полюшко-поле」

こちらはロシアのバンドMystTerraがシングルリリースしたカバーとの事ですが、音源入手は困難のようです。王道フォークメタル。

次ページはポップス・ダンスミュージック系カバー曲を紹介!

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syro:生まれも育ちも長崎市です。二児の子育て中。 趣味はインドア全般。音楽以外ではスマホ収集とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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