イギリスのロックバンドMUSE。2010年リリースの5thアルバム「The Resistance」はグラミー賞の最優秀ロックアルバム賞を受賞しました。
そんな「The Resistance」に収録されている曲「United States of Eurasia」はショパンの「ノクターン第2番」を大胆に引用した曲となっています。
ここで視聴できます。まるで現代のQueen。 中東テイストな間奏も新鮮味があります。
5thアルバム「The Resistance」はバンド初のセルフ・プロデュース作品であり、作り手の意欲が伝わってくる、コンセプティブなアルバムです。冷戦時代が舞台となっており、「恐怖政治と監視社会への抵抗」がテーマになっています。
全11曲から成るアルバムですが、ラスト3曲は「エクソジェネシス(脱出創世記)交響曲」と銘打ち、全3部から成る壮大な曲です。
UKロック・バンド「MUSE」
MUSEはいわゆる「UKロック」の範疇に入るバンドで、「Survival」はロンドンオリンピックの公式ソングにも起用された、イギリスの国民的バンドです。
UKロックの中でもクラシックを意識したサウンドを特徴としており、叙情的なピアノやストリングスが、おしゃれでありながらも派手でキャッチーなサウンドを作り出しています。コーラスワークや雰囲気などQueen的とも言えます。
またR&Bサウンドやダンスミュージックなど他ジャンルを混ぜた曲もあり、多彩な曲調で聴いていて退屈しないバンドです。
最新アルバム「シミュレーション・セオリー」の曲「Algorithm」のMV。
テクノ風インストからクラシカルなピアノのアルペジオが登場し、スリリングなストリングスがループする、映画音楽風の壮大な曲です。
「古臭い」と紙一重のシンセや大仰なオーケストラサウンドなど、ともすれば「ダサく」なってしまう音をオシャレに聴かせるのは流石イギリスのバンドです。格調高さがあります。
「United States of Eurasia」と「ノクターン第2番」
ショパンの「ノクターン第2番」は穏やかで優しい旋律がとても落ち着く、美しいピアノ曲です。誰しも耳にしたことがあるはず。
ちなみに平原綾香がカバーしたシングル曲は「ノクターン第20番」のカバーであり別物です。当時平原綾香の「ノクターン」を聴いて、ノクターンってこんなのだっけ?と思った記憶があります。でも個人的には2番より20番の方が好み。
MUSEの「United States of Eurasia」は、冒頭からピアノをバックに「ノクターン第2番」をアレンジしたメロディを歌ったと思いきや突然爆発するようにコーラスが登場し、息をつく暇もなく中東風のストリングスが入ってくる劇的な展開の曲です。
その後流麗なストリングスを従えたバンドサウンドになりますが、バンドサウンドのパートはわずか2分程度で、その後「ノクターン第2番」がそのままピアノソロで2分間ほど流れます。
「ノクターン第2番」を踏襲したような曲の後に原曲をそのまま再現するという、何とも珍しい構成の曲です。激しいバンドサウンドの後にゆったりとしたピアノ独奏が流れるため、何とも言えない余韻があります。
「ノクターン第2番」単体で聴くよりも、メロディの美しさがより映えるように思えます。原曲の良さを増幅させている、素晴らしいカバーです。
またアルバムではシームレスに壮大な次の曲に繋がっていき、組曲調の展開となっています。是非前後の曲も合わせて聴いてみましょう。
ちなみにこのアルバム「Resistance」、もう1曲クラシックをカバーしている曲があります。こちらの記事で紹介しています。私はこっちの曲の方がお気に入りです。是非合わせてお読み下さい。

[…] ノクターン第2番/MUSE「United States of Eurasia」イギリスのロックバンドMUSE。201… […]
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