モーツァルトのレクイエムをカバーしているDark Moorの「DIES IRAE(AMADEUS) 」。
2002年リリースの3rdアルバム「THE GATES OF OBLIVION」のラストの曲です。リンク先で視聴ができます。
Dark Moorはスペインのシンフォニック・パワーメタルバンドです。この「THE GATES OF OBLIVION」は特に同系統のバンドであるRhapsodyを強く意識した作風となっており、Rhapsodyの男性ヴォーカルのハイトーンヴォイスに対抗するために女性ヴォーカルに同様の歌唱法をさせるという荒業を使用しています。
男で真似するのは難しいから女性に、という感じなのでしょうか。結果的には堂々たる歌唱でアルバムのクオリティも十分な出来です。
レクイエム
モーツァルトの「レクイエム」は、モーツァルトが晩年に作曲し始めたものの、作曲半ばで亡くなってしまったため残りをモーツァルトの弟子が補完する事で完成した曲です。モーツァルトが死にゆく自分自身のために作曲した曲、とも言われています。
他人が補筆した効果、というのもあるのかもしれませんが、モーツァルトの曲の中でも異彩を放つ曲です。特に一番有名な「怒りの日(Dies Irae)」はモーツァルト屈指の超劇的メロディです。気迫が伝わってきます。
そもそも「レクイエム」というのは教会等で死者のために歌われるミサ曲の事を差し、モーツァルト以外にも多くの作曲家がレクイエムを作っています。歌詞や構成など、ある程度「お決まり」があります。
有名なヴェルディの「レクイエム」。
「死者を悼む気がない」とか突っ込むのは野暮ってもんです。エンターテイメントに徹した「レクイエム」です。バラエティ番組でもしばしば悪ふざけ的に使われます。
フォーレの「レクイエム」。
モーツァルト・ヴェルディ・フォーレのレクイエムを「3大レクイエム」と呼びますが、フォーレが一番「鎮魂歌」的です。ベッドに横になって聴くと、そのまま天に召してしまいそうになる宗教的幸福感あふれる曲です。大好き。
あとはブラームスの「ドイツ・レクイエム」辺りが有名なレクイエムです。地味すぎず派手すぎずで、これもおすすめ。
私はレクイエムが大好きなのですが、今回紹介したレクイエムが全て収録されているCDボックスです。 棺桶に入れてもらうと決めています。
DIES IRAE(AMADEUS)
Dark Moorの「DIES IRAE(AMADEUS) 」は、モーツァルトの「レクイエム」では序盤~中盤にあたる”続唱”の3曲から引用されています。
「DIES IRAE(AMADEUS) 」の冒頭部分は、レクイエム全体の7曲目にあたる「続唱~判決を受けた呪われたものは~(Confutatis)」から始まり、サビは3曲目にあたる「続唱~怒りの日(Dies irae)」、途中で8曲目の「続唱~涙の日(Lacrimosa)」のメロディが引用されています。
「判決を受けた呪われたものは~(Confutatis)」
「涙の日(Lacrimosa)」
いずれもモーツァルトの「レクイエム」の中でも有名な部分です。
この3曲を引用している部分以外はオリジナルなのですが、「レクイエム」のサビに繋げる独自のメロディ展開がかっこいい!ギターソロも良いです。モーツァルトの「レクイエム」の魔力に引っ張られるように劇的な展開が続きます。取って付けたような「レクイエム」では全くありません。
一旦テンポダウンし、厳かなコーラスの後に再び盛り上がる展開もたまりません。全11分の長い曲ですが、11分の必然性があります。
Dark Moorは他にも多くのクラシックカバー曲を発表しています。以下の記事でも紹介しているので、合わせて見てみて下さい。


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