2019年にメジャーデビューした日本のロックバンドSuspended 4th(サスペンデッド・フォース)。
スタンダードなロックサウンドを土台にしながら、シンセベースを効かせたレイヴ感のあるアレンジの曲や、ベースを始め各楽器が主張の強い演奏を聴かせる曲などが並ぶ、音源をじっくり聴いても面白い・かつきっとライブも楽しいであろうバンドです。
そんなSuspended 4thのメジャー1stミニアルバム「GIANTSTAMP」収録の楽曲「97.9hz」。これが超かっこいいんです。
印象的なのはスラップ奏法で暴れるベース。最近はこういった目立つ奏法で強く主張するベースが増えてきました。
例えばゲスの極み乙女。
ロックサウンドにプログレやHIPHOPの要素も加えつつ、更に独特な歌唱のヴォーカルの上に乗っかる不釣り合いに美しいピアノ。
と、とにかくカオスなのにポップな凄いバンドですが、
そんなゲスの極み乙女。の音楽性を更にややこしくさせているのが、土台がファンクなのかジャズなのか昔のロックなのかよく解らないベースの存在。
この「私以外私じゃないの」でもテクニカルなスラップ奏法でアレンジを引っ張ります。歌メロは平易ですが、バンドアンサンブルが面白いのでちっとも退屈しません。
こちらはハマ・オカモトのベースが凄い事になっているももいろクローバーZの「GOUNN」。
骨太なドラムと仏教を想起するアレンジとトンデモベースがぶつかり合う高カロリーの曲。ももクロの曲で私が一番好きな曲でもあります。
そんな最近流行りの攻撃的なスラップベースが印象的なSuspended 4thの「97.9hz」。ベースギターに並んで印象的なのは、ディレイを効かせたギターにディスコ調のリズム。そして静と動のアレンジ。
これらの要素を取り入れた曲調は、凛として時雨の「DISCO FLIGHT」で確立されたと言えます。
凛として時雨は、派手な演奏や曲展開に超個性的なヴォーカルが乗っかるバンドですが、そんな凛として時雨の「DISCO FLIGHT」のカッコ良い部分を抽出して、更にハチャメチャなスラップベースも混ぜたような曲調の「97.9hz」。
結果的にとにかく派手で刺激的、かつノレる名曲に仕上がっています。
リズムもかなりカオスになっています。ドラムは踊れる2ビート及び8ビートメイン、ベースギターはスラップ奏法で16ビート。なのに通常のベースは1拍目にアクセントを持ってきており、それに合わせて1拍目にアタック感のあるアレンジ。各楽器の個性的なプレイも相まって、かなりカオスなバンドサウンドですが、しっかりとブレイクも作っており爆発感もあります。
結果的に「飛び跳ねてノレるけど、勢いや前のめり感も詰め込んでやったぜ」というような楽曲になっています。ライブでは盛り上がる事間違いなしです。ディスコビートに合わせて飛び跳ねながら、1拍目で頭を振るなり拳を突き上げるなりすれば絶対楽しい。
次々と印象的な音を鳴らす楽器隊のおかげで、音源とじっくり向き合っても楽しめるアレンジに仕上がっています。
とはいえとにかくカッコ良い曲。難しい事は考えず、頭を空っぽにして聴くのが吉です。
ちなみにスラップベースのご先祖様と言われているのが、ファンクバンド、スライ・アンドザファミリーストーンのベーシスト、ラリーグラハム。こちらの記事で紹介しています。