今回紹介するのはファンク・バンド「スライ&ザ・ファミリー・ストーン」の曲「Underdog」。
Amazonで一部視聴ができます。
厳密には「巨人」の引用ではないのですが、マーラーの交響曲第1番「巨人」の第3楽章と同じメロディを使用しています。
マーラーの交響曲第1番「巨人」
交響曲第1番「巨人」はマーラーの1番目の交響曲です。
マーラーと言えば、大編成で大作の交響曲作家、というイメージですが、この第1番「巨人」はマーラーの交響曲の中でも聴きやすいです。
というのも、マーラーは作品を発表するごとに、どんどんオーケストラの編成が大きくなり、また演奏時間も長く、メロディも複雑で掴みどころのない感じになっていきます。
特に「交響曲第8番」は「千人の交響曲」という呼び名がついているほどのスケールの大きい曲です。これはこれで大変魅力的な曲なのですが(私はマーラーの交響曲でこれが一番好きです)。
交響曲第1番「巨人」は恋愛をテーマに作曲されているとも言われており、親しみやすいメロディも多いです。
第1楽章はクラリネットが「カッコウ」の鳴き声を再現する等爽やかで牧歌的な曲。第2楽章はさながらモーツァルトのようなメロディ。第4楽章が一番演奏時間が長い(20分程度)ですが、程よく派手でメロディアス。第1楽章が一番地味という珍しい構成です。第1楽章で諦めず、是非最後まで通して聴いてみて欲しいクラシック曲の一つです。初めの10分はやや退屈ですが、第1楽章の後半から一気に盛り上がります。
初めてマーラーを聴くならやはりこれ。マーラーは人気がある作曲家ですが、編成規模や演奏時間の問題からコンサートでの演奏は大変なようで、この「第1番」はコンサートで演奏される機会も多いです。長調と短調のバランスも良く、きっとどこか気に入る楽章があるはずです。
第3楽章と《フレール・ジャック》《マルティン兄貴》
今回紹介する曲「Underdog」は「巨人」の第3楽章のメロディを引用しています。
といっても、この引用しているメロディはマーラーのオリジナルではありません。
フランスの童謡《フレール・ジャック》もしくは民謡《マルティン兄貴》をマーラーが引用しているのです。
このメロディ、日本人にも大変馴染みのあるメロディです。「グーチョキパーで何作ろう?右手がパーで左手がグーで、かたつむり~」のメロディ。
民謡とクラシック
民謡をクラシック曲に引用、というのは結構よく有る事なのです。ハンガリー民謡をアレンジした、ブラームスのハンガリー舞曲。「きらきら星」もモーツァルトが元ネタ!ではなくフランスの民謡が元であると言われています。
民謡の魅力をオーケストラでアレンジして広めたり、愛国心を自国の民謡をアレンジする事で表現したり…と様々な理由があるようです。
ファンク・バンド「Sly & The Family Stone」
今回紹介する曲「Underdog」は1970年頃に人気を博したアメリカのファンク・バンド「Sly & The Family Stone」のデビューアルバムの1曲目です。
イントロとアウトロに「巨人」と同じメロディが引用され、それに挟まれる形でファンクのかっこいい曲調が展開していきます。お世辞ではなく、50年前の曲とは思えないくらい普通に聴けます。かっこいいです。
「Sly & The Family Stone」は男女混合、また人種混合のバンドでもあり、歌詞も「人間みな平等」といった内容の歌詞をノリの良いサウンドに乗せて軽~く歌います。
この語スライはファンク・アルバムとしては超有名な「暴動」をリリースし、軽~いノリでは無くなっていくのですが…。
ファンクなどのブラックミュージックと人種問題の話をすると、長~い話になりますし、私は特に詳しくもないので割愛しますね。
「暴動」も悪くないんですが、スライを初めて聴くなら是非Underdogも収録されているベストから。
ファンクというのは、独特のノリの良いリズムに乗せて、管楽器やベース・ギター等が独特の音を奏でるのが特徴の音楽ジャンルで、ジェームズ・ブラウンや今回紹介するスライ&ザ・ファミリーストーン、アース・ウィンド&ファイヤー等が有名です。プリンスなんかもファンクの流れです。
日本ではスガシカオなんかがファンク・アーティストとして有名ですが、最近で解りやすくファンクなのは在日ファンク・ENDRECHERI(堂本剛ソロ)辺り。
在日ファンク「爆弾こわい」 どファンク。超かっこいいです。
またアイドルの楽曲にもファンクは多く取り入れられています。
ベーシスト「ラリー・グラハム」とスラップ・ベース
スラップ・ベースというのはベースを弾いたり叩いたりしながら弾く独特の奏法で、今ではベースをする人は誰しも通る奏法です。アタック感の強い独特の音が出ます。
このスラップ・ベースを最初に流行らせたといわれているのが、Sly & The Family Stoneのベーシスト、ラリー・グラハムと言われています。
先ほど紹介したファンクに傾倒しているkinki kidsの堂本剛くんも、ラリー・グラハムが好きすぎてアルバムに参加してもらった過去があります。2ndアルバム「Neo Africa Rainbow Ax」の1曲目です。
ちなみにこの「Neo Africa Rainbow Ax」、ファンクアルバム入門として超おすすめです。程よくポップでしっかりファンクです。サポートの楽器隊も実力派揃いです。Amazonで1円(送料別)で買えるので騙されたと思って買ってみましょう。
ボーナストラック「Blue Berry」が収録されている通常版にしましょう。
しかしこのラリー・グラハムのスラップベース、Sly & The Family Stoneの曲ではあまり堪能できません。ラリー・グラハムのスラップベースを堪能したければ、彼が立ち上げたもう一つのバンド、グラハム・セントラルステーションを聴きましょう。
代表曲の「POW」。ベースの主張が物凄い事になっています。後半のベースソロは必見。
曲のバランスが破綻しているのではないかというレベルでベースが前に出てきますが、コレがかっこいいかっこいい。素直にベースの音色に体を預けましょう。
おすすめアルバムは代表作の「魂の解放- Release Yourself」とバラエティに富んだ楽曲満載の「Mirror」。かっこいいベースが聴きたい人は必聴です。普通に曲も聴きやすい。
「魂の解放- Release Yourself」も「Mirror」も入った5枚組ボックス。今グラハムセントラルステーションを聴くなら間違いなくこれ。安いです。
[…] 交響曲第1番「巨人」/スライ&ザ・ファミリー・ストーン「Underdog」今回紹… […]
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