その他編

スター☆トゥインクルプリキュア EDテーマ『パぺピプ☆ロマンチック』

娘が大好きなプリキュアシリーズ。主題歌は毎回、歴代プリキュアソングの雰囲気を踏襲しながらも新しい試みが成される、力作揃いです。

 

前々作のキラキラ☆プリキュアアラモードではファンク&EDM。前作のHUGっと!プリキュアでは、最近流行りの”実写MVにアニメ風エフェクトを入れる”という演出をアニメMVでやっちゃうという、型破りなエンディングテーマが続いています。

そして2019年スタートの新シリーズスター☆トゥインクルプリキュアのエンディングテーマは

『パぺピプ☆ロマンチック』。パピプペ☆ロマンチックではありません。


 

一聴したとたん、これは…昭和アイドル歌謡??

ドマイナーなメロディとコード進行、キメキメリズムで締めるサビ。

昭和アイドル歌謡を今さらやる、というのは割とよくある事で、一番は何より初期のAKB48。

 

アニメ系で言えば、 ラブライブのキャラソン「微熱からMystery」。

どちらとも良くできた昭和アイドル歌謡オマージュ。

 

しかし今回の『パぺピプ☆ロマンチック』は往年の昭和アイドルオマージュとは一味違います。

①SF風昭和アイドル歌謡

“昭和””アイドル””歌謡曲”どのワードにも全くそぐわない”SF”風のサウンド・エフェクト。そもそもプリキュア×SFという時点で賛否分かれそうなコンセプトなのに、EDテーマまで混ぜるな危険です。いやそういえばピンクレディーがやっているではないか。

フルコーラスのイントロはピンクレディーの”UFO”を強く意識したものとなっています。振付も”UFO”に似たものとなっており、”UFO”オマージュである事が伺えます。

 

②Bメロのリズムが完全に平成アイドル

Bメロのリズムが完全にPPPH(パン、パパン、ヒュー)。アイドルヲタクが聴けば確実に心も体も踊りだす。

 

③サウンドが中途半端に今風

シンセの音色なんかの半端なアップデート感。

 

EDアニメ内にファミコンや携帯電話などのモチーフが登場する事を考慮しても、平成最後のプリキュアとしてちょっと昔を回顧してみようという事なのでしょうか。

 

作曲は田村信二という方。初めて聞く名前…と思ったら桜庭統と一緒にテイルズシリーズのBGMを担当している人でした。なんと。

 

スター☆トゥインクルプリキュアの主題と”パペピプ☆ロマンチック”に込められた意味

アニメ「スタートゥインクル☆プリキュア」の主題(メインテーマ)は、【異文化交流】【多様性社会】【伝統文化の在り方】辺りであると思われます。

SFチックな設定が目立ちますが、異世界の人間は須らく”日本の伝統文化”がモチーフとなっています。

主人公の仲間になる異星人の名前は、羽衣伝説が由来と思われる「”羽衣”ララ」。そして地球侵略を目論む敵キャラは、一つ目小僧や天狗、河童など日本の妖怪がモチーフになっています。敵キャラ達の「伝統を守り、侵略を目論む」という考え方は”保守過激派”になぞらえる事ができます。

一方アニメ本編で、地球の学校に編入する事になる異星人の羽衣ララは、地球の学校に馴染もうとするために無理やり”自分らしさ”を捨てようとします。これは”欧米コンプレックス””行き過ぎたリベラル思想”になぞらえる事ができます。

 

また、本アニメで何度も登場する「イマジネーション」というワード。これは”自分とは文化や考え方、人種が違う相手に対して共感をする努力”と言い換えることができます。異文化を理解共感するためには意識して”想像”する必要があります。ジョン・レノンのimagine(イマジン)と同じです。

 

それらを踏まえて”パペピプ☆ロマンチック”を聴けば、この曲の全体像が見えてきます。

まず“UFO”をオマージュしている理由ですが、アニメ本編では【古き日本の伝統文化=「異星人」】という構図になっています。その象徴として【昭和歌謡である「UFO」】というのはそのコンセプトデザインに合致した曲と言えます。

 

そして『昭和歌謡×平成アイドルソング』という曲調に関してです。地球の学校に編入した羽衣ララですが、最終的には、個性的な喋り方もそのままに自分らしさを生徒たちに認めてもらい、学校に馴染んでいきます。異文化交流の在り方として、【それぞれが伝統的に培ったモノは残しつつ、お互いを認め合う事で新しいカタチの社会が生まれる】というメッセージが込められているものと思われます。

そういったメッセージを端的に表現しているのが『昭和歌謡×平成アイドルソング』であるパペピプ☆ロマンチックであると言えます。

 

そして「見えない壁を作らないで」「想像力から始まる、今・イマジネーション」という歌詞。先述の通り、「異文化交流やあるべき社会というのは、まずは相手の事を想像する事から始まる」というメッセージが込められています。

また、今このタイミングで「壁をつくらないで」というワードをあえて選ぶという事は、そりゃアレの事ですよ。既に「見えない壁」は聳え立っているのです。

 

という事で、これらのメッセージは、まず間違いなく現在の国際情勢を踏まえたものでしょう。自国ファーストに偏りつつある諸国の国内事情、その一方で安易に欧米や他国に倣おうとする行き過ぎたリベラル的思想。

そんな国際情勢の中、人種も文化も違う国家間の在り方に関してメッセージを発信しているとも思われる、”スタートゥインクル☆プリキュア”。絵空事かもしれませんが、子どもたちが理想的な”共存”を自然と実践している事もまた、作品が伝えたいメッセージといえるでしょう。

プリキュアの仲間たちは、異星人に加えて外国人、そして日本の”名家のお嬢様”が揃っている、まさに多国籍パーティです。

 

 

昭和回顧風味でありながら、様々な要素を打ち込んだ挙げ句、プリキュアらしさもしっかり残してある、スター☆トゥインクルプリキュア エンディングテーマの『パぺピプ☆ロマンチック』。作品全体の根底に流れるメインテーマを端的に象徴した楽曲となっています。

この調子だと、物語後半の後期エンディングも目が話せません。

 

余談

ちなみに「羽衣ララ」の名前の由来である羽衣伝説は、「天女が羽衣を無くしたため天に帰れなくなる」という話ですが、アニメ本編で羽衣ララは「地球に来たもののロケットが壊れて帰れなくなった」という設定であり、羽衣伝説をなぞったものとなっています。

 

また顔面に”No”の文字が書かれたマスクを付けて大量に登場する、ザコ敵の「ノットレイダー」ですが、本アニメの主題と照らし合わせると、「顔が見えない(=匿名性の高い)、集団でNoを突きつけ相手を攻める存在」という事で、いわゆる「ネット上で、集団で過激に個人を誹謗中傷する人たち」を象徴しているのではないか、と思われます。

ABOUT ME
syro
1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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