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感想:フィルハーモニックオーケストラ・長崎 第19回定期演奏会

時津のカナリーホールで開催された”フィルハーモニックオーケストラ・長崎”の定期演奏会に行きました。

2000円で気軽に鑑賞できますが、過去にはバルトークやショスタコーヴィチ・コルサコフ・フンメルなどを演奏しており、長崎では貴重な、マイナー作家や現代音楽に触れることができるオーケストラです。

今回の演題は

・バッハ:管弦楽組曲第2番

・ストラヴィンスキー:組曲 プルチネルラ

・酒井健吉:協奏的交響曲「鬨乃聲」~十三紘筝、尺八と管弦楽の爲の

の3曲でした。

ラストの曲は楽団長が作曲したオリジナルの曲という事で、バッハから始まり、ストラヴィンスキーの新古典主義から現代音楽へと移り変わる、クラシックの大きな時代の流れをそのまま体現できるようなプログラム。

実際バッハの曲は小規模な編成で始まり、2曲目、3曲目と徐々に大編成になっていきます。

主役の楽器も、始めのバッハではフルート&バイオリンが主役でしたが、ストラヴィンスキーでは他の管楽器や低音楽器が活躍し、ラストは和楽器と、バリエーションに富んでいて飽きないプログラムでした。

 

こうやってバロック音楽と新古典主義音楽を並べて聴き比べると、全く雰囲気が違うのが解ります。同じようなメロディでも楽器編成や和音の使い方で大違い。

組曲プルチネルラはバロック音楽的な美しいメロディが登場したかと思うと、その後には音の華やかさで魅せる現代音楽的なフレーズが飛び出したりと、とても楽しい曲調です。今回のプログラムの、バロック音楽と現代音楽の間をつなぐ曲としてこれ以上ないくらい相応しい曲です。

こちらの記事で紹介しています。

ストラヴィンスキー:組曲「プルチネルラ」「火の鳥」「春の祭典」「ペトルーシュカ」など、現代音楽的でありながらも親しみやすいバレエ曲を数多く作曲している、20世紀に活躍したロシア...

 

そして圧巻はラストの「協奏的交響曲「鬨乃聲」~十三紘筝、尺八と管弦楽の爲の」。今回が初演との事で初めて聴く曲なので、どんなものかと思っていましたが、これが凄かった。

 

第1楽章から筝と尺八が印象的で、メロディも馴染みやすく大河ドラマの音楽のような雰囲気があるのですが、和楽器とオーケストラがユニゾンしたり掛け合ったりしながらの超変拍子。5+4拍子だとか11拍子だとかそんな感じのが次々と飛び出します。

第2楽章ショスタコーヴィチの交響曲第15番に和楽器を混ぜたような曲調。掴みどころのないメロディに加えてチューバやティンパニが激しく鳴り響く。ラストの尺八パートの緊張感も凄い。

第3楽章尺八や筝がピアノ&オーケストラと一緒にジャズ風にスウィングする。しかも5拍子とかで。ブラスバンドでやるような曲だけど、楽器編成がおかしいのでなんか時々ゲゲゲの鬼太郎の歌みたいに聞こえる。と思ったら思いっきり現代音楽風になったり再びジャズ調に戻ったり。ジャズなのにティンパニの主張が強く、そこがまた斬新でカッコいい

第4楽章は警告音のような具体音楽と現代音楽風の暗いストリングスが合わさる、ダークなアンビエントにグレツキの悲歌のシンフォニーを合わせたような曲。伝わりませんね、すみません。何せこんな音楽初めてなもので。

第5楽章は第1楽章に回帰したような曲調。ロンド風と言えば聞こえは良いけれど、つまりはキャッチーなメロディのパートと和楽器&オーケストラによるド派手な現代音楽パートに揺さぶられるカオスな楽章ミニマルなプログレ曲のようなフレーズを繰り返し引き倒したり、複雑なリズムの中、ボディを叩いてパーカッシブに演奏したりする筝の人が凄い。多分こんな演奏初めてしたんじゃないだろうか。

 

とにかくめくるめく音とメロディの洪水に圧倒された一時でした。曲が終わった瞬間思わず「おぉ…」と声が漏れた。

アンコールも現代音楽×祭囃子のような凄いテンションの曲。これも酒井健吉さんの曲だそうです。

 

現代音楽の楽しみ方は色々あると思うのですが、私は個人的にテクノやアヴァンギャルドと同じように刺激的な音を楽しむような聴き方をします。なので楽器のバリエーションは多い方が良い。

それにこういったサイトをしているので、もちろん”異種格闘技戦”のような音楽が大好物。という事で和楽器をフィーチャーした現代音楽はとても刺激的で面白かったです。

とにかく筝の演奏者のプロフェッショナルっぷりと尺八パートの緊張感がとても印象的でした。

バロック音楽も生で聞いた方が旋律を模倣している様子なんかが把握しやすくて良いですが、現代音楽こそ、生で聴くべきだと思いました。

 

ABOUT ME
syro
1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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