今回紹介するのは
ももいろクローバーZ「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」。
MV。SF設定なのに何故か自転車で宇宙を駆け巡ります。
この曲、タイトルからも解るように交響曲をイメージした曲であり、クラシカルなメロディと大規模な混声合唱もフィーチャーされたクラシック寄りの曲でもあります。別バージョンではイングウェイもギターを弾いているとか…。
作曲は前山田健一。この曲に限らずチャイムの音を多用する方ですが、この曲ではチャイムがいい感じにオーケストラ感を出しています。
この曲調でサビのリズムが8ビートというのも斬新です。私ならティンパニか生ドラムを入れたくなりますが、「クラシックとポップス(とロック)との両立」のバランスがよく考えられています。イントロとAメロはバスドラムがずっと3連符で連打されていますが、曲の中盤からはほとんどずっと8ビートです。
曲の「掴み」としてバスドラ連打を入れておいてシンフォニックメタルを演出し、中盤以降はゲストのマーティ・フリードマンのギターと自身の得意なサウンドを前面に出してくる構成となっています。2番の後のコーラスも凄い。
シンフォニックメタルサウンドにアイドルポップスサウンドをそのまま混ぜるという「普通はこんな曲にしない」という具合の高カロリーな曲ですが、結果的にオンリーワンな曲調になっています。
作曲家「前山田健一」と「組曲形式」
ももいろクローバーZを初め、数々の作曲をしている前山田健一氏。独特の作風が魅力の作曲家です。
特徴の一つに、別々の曲をつなぎ合わせたようなパッチワーク的な作風であり、特にBメロやサビ直前で大胆に曲調を変化させるというのがあります。
「無限の愛」はサビ前のCメロで突然3拍子になり、4小節後再び拍子を戻しドラムは裏打ち連打で勢いづけて「モーレツ!」の掛け声と共にサビに突入します。
Cメロ後半は4拍子3小節になっており、拍子が違う前半と音符数をあわせると同時に唐突にサビに突入する効果を持たせています。
デビューシングル「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」。
1番と2番でAメロとBメロの順序が入れ替わるというとんでもない発想の曲です。私はこの曲で初めてこんなの聴きましたが、前例があるんでしょうか。2番だけBメロを飛ばすとかそういうのは結構ありますが…。センスの塊のようなアイディア勝負の作曲をします。
プロデュースしたゆずの「REASON」。
北川悠仁と岩沢厚治がそれぞれ作った曲を合体させるという荒業で作った曲です。「組曲形式」という体裁でのリリースです。
クラシックの組曲というのも、別々の曲をひとまとめにして「組曲」という名をつけます。全体を通して明確なストーリーがあるものもあれば、曲調に統一性があるもの、楽器編成が同じだけどそれぞれの曲の関係性ははっきりしないもの、様々です。
全く別の印象を持つ曲やフレーズをつなぎ合わせて一つの大きな流れをつくるというのは、組曲的でもありクラシック的でもあります。
ちなみに今回紹介した曲のタイトルには「第七楽章」とありますが、他の楽章はありません。
彼女たちの7枚目のシングルなので「第七楽章」のようです。つまりはももいろクローバーZの活動そのものが一つの大きな交響曲であり、前後にリリースされている様々なジャンルの曲を全部合わせて「ももいろクローバーZ」という一つの大きな流れが出来上がる、というコンセプトなのでしょう。
つまり「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」は単体で見ても組曲的な曲であり、また「ももクロ」という大きな組曲の中の1曲でもある、という事です。逆マトリョーシカというかなんというか。
この曲は宇宙的な世界観の曲になっていますが、曲の構造もまた宇宙的であるという事でなのでしょう。(太陽系の外には銀河があり、その外には銀河系という更に大きい体形があり、際限なく広がっていくのです。)
こちらの記事では、同じく前山田健一作曲の「サンタさん」をクラシカルに紹介しています。
前山田健一の作風にももう一歩踏み込んでいます。
またこちらの記事では、ももクロのもう一つのクラシック引用曲を紹介しています。合わせて読んでみてください。
[…] ももいろクローバーZ「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」今回紹介… […]
2番でAメロとBメロがひっくりかえる曲、洋楽だとマリリン・マンソンのThis is the new shitという曲が浮かびます。
メッセージありがとうございます!聞いてみましたが、いい曲ですね!
1番と2番で曲展開を変えているおかげで、サビでのブチ上げのカタルシスが強まる感じがありますね!
さらに展開を定型的にしない事で、アウトロでも「最後にもう一ヤマあるのかも…」という緊張感をもたらしているような気がします。
インダストリアルは好きなのですがマリリンマンソンは聴かず嫌いだったので、良い出会いを感謝です。ありがとうございました。
あとヴォーカルの方の表現力にビックリしました、有名なのは伊達じゃないですね!