オルフ

カルミナ・ブラーナ/ももいろクローバーZ「Neo STARGATE」

 

ももいろクローバーZが2013年にリリースした2ndアルバム「5TH DIMENSION」。

前作のキャッチーでバカバカしいアニソン調の曲メインの作風から一転、シリアスでスピリチュアルかつ今風の音を取り入れた作風へと大胆にシフトチェンジしました。

当時は賛否両論でしたが、そんなアルバムを象徴する1曲目「Neo STARGATE」で、オルフの「カルミナ・ブラーナ」の1曲目である「O Fortuna(おお、運命の女神よ)」を使用しています。

 

原曲の「O Fortuna」視聴はこちら。

 

 

 

カール・オルフとカルミナ・ブラーナ

カール・オルフは20世紀のドイツの作曲家です。カンタータやオペラなど、歌唱曲を多く発表しています。

また音楽教育に力を入れていた作曲家でもあり、現在は「リトミック」という音楽やリズムに合わせて体を動かす幼児教育が盛んですが、オルフも同様の音楽教育を発明していました(オルフ・システム等と呼びます)。

 

カンタータ「カルミナ・ブラーナ」はオルフの代表作です。他の楽曲はやや難解だったりとっつきづらい曲もありますが、「カルミナ・ブラーナ」は力強いド直球の作品です。

また大規模な混声合唱&少年合唱団に加えて3人のソリスト(ソプラノ・テノール・バリトン)とこれまた大編成のオーケストラと大所帯でスケールの大きい曲です。

 

 

冒頭の「O Fortuna(おお、運命の女神よ)」ばかりが有名な「カルミナ・ブラーナ」ですが、他の部分もとても解りやすく派手でカッコいいです。「O Fortuna」に続く2曲目「運命の女神の痛手を」からして、管弦楽とティンパニの掛け合いが超カッコいいです。せめてここまでは聴いて欲しい!

ちょうど2曲をまとめた動画がありました。 後半が「Fortune plango vulnera(運命の女神の痛手を)」です。

 

 

2曲に渡る序曲から続く、第1部”初春”では、春の訪れを快活に歌う「見よ、今は楽しい」、11拍子のリズムなのに軽快な「踊り」からの盛大な合唱に展開する「森は花咲き繁る」、解りやすくロンド形式に展開する「円舞曲」等明るい曲が並びます。

 

超メロディアスなバリトン独唱の「胸のうちは、抑えようもない」から始まる第2部”酒場”では、俗的なメロディや酔っぱらいがオペラ風に歌うパート等バラエティに富んだ曲が並びます。男性のみで歌われる第2部。


ちなみにこの楽曲をサンプリングしたHIPHOP曲もあります。こちら。

《カルミナ・ブラーナ》より「Estuans interius (怒りに心収まらず)」/ Jedi Mind Tricks「Heavy Metal Kings」アメリカのHIPHOPグループ、Jedi Mind Tricks(ジェダイ マインド トリックス)。 「Heavy Metal K...

 

第3部”愛の誘い”は穏やかで美しい独唱の曲が続きますが、歌詞はど直球に”愛”です。「僕はすっかり花盛り」「愛がムクムク増大」「男の子が女の子とともに小部屋にいたら幸せな結合が」等名言も続出します。

 

その後、厳かな合唱が帰ってくる「白い花とヘレナ」から再び冒頭への「おお、運命の女神よ」へと回帰し、カンタータ「カルミナ・ブラーナ」は幕を閉じます。

 

「カルミナ・ブラーナ」はカンタータ特有の雰囲気はありますが、普通に音楽として聴けます。全部で1時間という演奏時間も長すぎず短すぎずで、教会音楽の入門としても良いです。こんな歌詞が教会で歌われて良いのかと甚だ疑問ですが…。

 

 

 

5TH DIMENSION

ももいろクローバーZのアルバム「5TH DIMENSION」では冒頭に「O Fortuna」が原曲そのままに再現された後、1曲目のオリジナル曲「Neo STARGATE」が始まるのですが、オープニングの小曲にも関わらずCDでトラックが分かれていません。つまり「O Fortuna」を飛ばして1曲目の「Neo STARGATE」から聴くことはできないのです。

 

普通アルバムのオープニングに2,3分の合唱曲等が入る場合はそれだけを1トラックとする物ですが、それが成されていないのです。

製作者の強い意図を感じます。これはつまり「絶対飛ばさずに聴けよ!」という事でしょう。

 

 

ももクロファンの方々は、是非引用部分である”O Fortuna(おお、運命の女神よ)”の歌詞を読んでみましょう。ももいろクローバーZの強い決意表明が現れている、本アルバムの冒頭に相応しい曲である事が解ります。

ももクロのネタとしてしばしば使われる”プロレスのパロディ”でプロレスの入場風の演出にしただけ、とも取れなくもないですが…。

 

「Neo STARGATE」MV。

ですが「カルミナ・ブラーナ」の部分はカットされています。1曲単体で聴くならまだしも、アルバムは通しで聴けよ!という事なのでしょう。是非CDで実際に聴いてみましょう。アルバム全編に渡って製作者の強い拘りが感じられる意欲作です。

 

「Neo STARGATE」は合唱クラシック&ドリルンベースといった雰囲気のAメロからEDMメインの曲調へと展開して行きます。 2番のAメロはアレンジは踏襲しながら歌メロだけをガラリと変える不思議な構成です。

「カルミナ・ブラーナ」の影響もあり曲全体を通して無闇に壮大な曲に仕上がっています。

 

 

 

当サイトでは、ももクロの他にもカルミナ・ブラーナをサンプリングした曲を紹介しています。

カルミナ・ブラーナ/ENIGMA「Screen Behind the Mirror」ドイツの音楽ユニット"エニグマ"。グレゴリオ聖歌とダンスミュージックを融合した独自のサウンドが多くのフォロワーを生み出しました。 ...

合わせて聴けば、「カルミナ・ブラーナ」及び「Neo STARGATE」への理解と興味が一層深まるはずです。ぜひご一読下さい。

ABOUT ME
syro
1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。