今回紹介するのは、日本の音楽ユニット、ジ・エキセントリック・オペラ(The Eccentric Opera)の1998年リリースのアルバム、「パラディソ(PARADISO)」。クラシック×テクノ×多重コーラスなサウンドが特徴です。
曲目
赤文字がクラシックカバー。◎が特に良かった曲。
1. ◎ボレロ(M.ラヴェル)
古風なブレイクビーツをバックに妖しい呪術的コーラスでボレロを歌う。ボレロをカバーしている時点で、嫌でもボレロのリズムを頭に思い浮かべるのだけれど、ボレロのリズムなんてお構いなしにマイペースにリズムを刻み続けるドラムが何だか中毒性がある。
派手で暴走気味なアレンジも相まってカオスな雰囲気のボレロ。
4. ◎天上の愛 Amore Di Ciero(F.メンデルスゾーン”ヴァイオリン・コンチェルト”)
バイオリン協奏曲ホ短調のメロディを思いっきり引き延ばして、多重コーラス&オペラ歌唱&テクノ&和太鼓でアレンジ。
原曲の面影は殆どない。音の密度が凄いけど透明感も凄い。とにかく圧倒される。
7. ◎愛のフーガ(J.S.バッハ”小フーガト短調”)
「時空転抄ナスカ」というTVアニメの主題歌。小フーガト短調のメロディをコーラスで歌い、バックはGoldieみたいな黎明期ドラムンベース。
バックのドラムンベースのトラックがガチ過ぎる。そこに暴走気味のバイオリンやオルガン、高音コーラスが加わり凄い事になっている。こんな音楽聴いたことない。このアルバムのハイライト。
こちらのリンクから一部試聴できます。
9. 春の祝福 Die Fruhlingsfeier(E.H.グリーグ”ピアノ・コンチェルトNo.1)
ハードコアテクノ風のトラックをバックに妖しいコーラスが原曲のメロディを歌う。これも原曲の面影があんまりない。時々ヤケクソのようにティンパニが鳴り響く。グリーグを現代音楽テクノに蘇らせた曲。
◎12. イヴの唄 La Chanson D Eve(E.エルガー”威風堂々”)
威風堂々の有名な冒頭部分ではなく、中間部を引用している。
スタンダードなドラムンベースサウンドとマリンバの組み合わせがとても心地よい。LTJ Bukemとライヒを合わせたような音。夢の共演やんけ!私の理想の音楽を具現化したような音。聴いてて天国に行ってしまいそう。耳が幸せ。
総評
一言で例えるなら、姫神×菅野よう子。もしくは、ビョーク×梶浦由記 といった感じ。
外国語コーラスのニューエイジサウンドに、ドラムンベースやテクノ等の派手なビートと透明感のあるはっきりしたメロディ。そして民族音楽のエッセンス。
テクノサウンドと大陸系の香りが強いため、謎の異端宗教の曲のようにも聞こえるし、ちょっとSF風で異星の民謡のようにも聞こえてきます。
ちょっと志方あきこのような雰囲気もあるので、アニソン好きにもおススメできます。しっかり作りこまれた古風なダンストラックの出来もとても良く、テクノアルバムとしても十分聴けます。
半数以上がオリジナル曲ですが、雰囲気はクラシックカバー曲と概ね同じです。しかし、やはりクラシックカバー曲の方がメロディが良く聴きやすいです。
オリジナル曲のおススメは、極太ドリルンベース&梶浦由記風サウンドの8曲目「ファウスト」。この曲も凄いぞ。
[…] […]
[…] […]
[…] […]