クラシックカバーアルバム全曲レビュー

Various Artists『オデスト キャラソン1』

スマホRPG『ORDINAL STRATA –オーディナル ストラータ』のテーマソング及びキャラクターソング集。

全曲の作詞作曲編曲をToshl(X JAPAN)が手掛けている。作家名義として“龍玄とし”という名前も使用している。
2018年リリース。リンク先で全曲試聴できます。

 

曲目リスト(青色◎は特に良かった曲)

1.CRYSTAL MEMORIES by Toshl
2.◎時の海へ by Toshl
3.魂の戦士 アスセナ by 龍玄とし& 三田征依
4.奇跡のプレスト by 龍玄とし& 小瀧俊治/ショパン:幻想即興曲
5.運命のサティ by Cutt/ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』第1楽章
6.◎永遠のロダン by龍玄とし& 川平和幸/サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
7.◎泡沫の魔術師 ネロ by 持田ひかり/チャイコフスキー『白鳥の湖』より「情景」
8.◎時の神 レスティア by 小出侑季/バッハ:G線上のアリア
9.◎乙女WARRIORS by 乙女WARRIORS
10.マスカレイド (ピアノ弾き語りVer.)by 龍玄とし

 

1.CRYSTAL MEMORIES by Toshl

オーケストラとコーラスを従えた壮大なバラード。音符少なめのシンプルな歌メロはX JAPANのバラードに近い。でもバンドサウンドは皆無なのでXというよりYOSHIKI CLASSICALみたいな感じ。YOSHIKIがいないのにYOSHIKI CLASSICALみたいとはこれ如何に。

 

2.◎時の海へ by Toshl

泣きのギターと手数の多いドラムが目立つ疾走スピードメタル。突然伴奏がピアノのみになるファンタジックな緩徐パートから間奏のギターソロに入る所が激エモ。

一方エモーショナルなサウンドの中で、ピアノは単調で情緒が無く浮いている。打ち込み?勿体ないなぁ…。

 

3.魂の戦士 アスセナ by 龍玄とし & 三田征依

HRナンバー。合いの手を入れるギターフレーズなんかかなりX JAPANを意識しているけれど、昭和歌謡&フォークみたいなメロディがちょっとクサ過ぎる。YOSHIKI風というよりはALFEE高見沢風って感じ。ていうかそのまま高見沢のソロアルバムに入ってそう。「魂の戦士ぃ~傷ついた戦士ぃ~」の所とかそのまま。

それにしても、キャラソンなのにキャラクターを飲み込まんばかりのToshlのコーラスは何なんだろうか。龍玄としとToshlの使い分けも良くわからない。

 

4.奇跡のプレスト by 龍玄とし & 小瀧俊治/ショパン:幻想即興曲

幻想即興曲のメロディを大々的に使用したピアノ×ヴォーカルの曲。
Toshlのライブのサポートメンバーでもあるらしい、ピアニスト小瀧俊治とのコラボ。つまりまたもや実質Toshlの独壇場。

それにせっかくピアニストをフィーチャーした楽曲なのに、肝心のピアノはテンポゆっくりだし何だかタッチもリズムも緩急がなくて単調過ぎる気がする。Toshlに面目を立てるために手加減してない??

 

5.運命のサティ by Cutt/ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』第1楽章

ギターが運命のメロディをアレンジしながら引き倒すシンフォハードロック。
無闇に手数が多いドラムは何だか悪目立ちしている。

そしてせっかくアルバム初のToshl以外の単独歌唱なのに、ヴォーカルのCUTTなる人物はToshlフォロワーといった感じの歌い方で、これもうToshlでいいんじゃ…。
2番はヴォーカルが消え去りインストとなる曲構成もかなり謎。

 

6.◎永遠のロダン by 龍玄とし & 川平和幸/サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン

幻想即興曲とは打って変わってバックのヴァイオリンが個性的なプレイで主張してくる。ツインヴォーカルによるハーモニーにヴァイオリンが呼応する、ソリスト3人の協奏曲のような曲。原曲をたっぷり使った大胆な曲展開も超カッコいい。ヴォーカルにパワーがあるから、バックもこれくらい派手にやっても負けてない。

これは凄い良い。今までたくさん聴いてきたクラシックカバーの中でも屈指の出来。アルバムのハイライト。

 

7.◎泡沫の魔術師 ネロ by 持田ひかり/チャイコフスキー『白鳥の湖』より「情景」

情景のメロディを引用した、ミュージカル調のシンフォメロスピ。ヴォーカルも宝塚風で結構いい感じ。

 

8.◎時の神 レスティア by 小出侑季/バッハ:G線上のアリア

美しいクラシックのメロディと素直な声の女性ヴォーカル。に、あからさまに不釣り合いなダウンチューニングギター。うねるギターソロとかちょっと笑ってしまう。でも、それが結果的にエモい。

 

9.◎乙女WARRIORS by 乙女WARRIORS

昭和アイドル歌謡にハードロックと合いの手系キャラソンと和風の雰囲気を混ぜ込んだカオス曲。終盤も終盤でようやくキャラソンらしいキャラソンが登場。突然現れるクラシカルなピアノがカッコいい。

 

10.マスカレイド (ピアノ弾き語りVer.)by 龍玄とし

ピアノバラード。いつも苦しそうだったXの頃と違って、歌いやすそうで何より。羽生結弦選手のアイスショーでコラボしたのがこの曲らしい。

 

総評

序盤にXのパチモンみたいな曲が続いたのでどうなる事かと不安だったけれど、後半は大胆なクラシックの引用と多彩なゲストヴォーカルを従えた独特なセンスのアニソン風シンフォニックスピードメタルが続き、Xの面影は消え去った。

クサメタル好きXファンは満足するかもしれないけど、年を重ねてセンスも大人になったXリスナーにはアニソンメロスピ群は厳しいかも。かといってキャラソン集として聴くにしても、有名声優なんて一人も出てこない。実質Toshlのソロアルバム状態。

とはいえToshlの歌声による、クラシカルなスピードメタル曲が並ぶ本作。ぶっちゃけX JAPANの再結成はほぼ絶望的だし、もし再結成したとしても年齢的な問題や身体的な問題からスピードナンバーはほぼ望めないので、X難民がこの作品を聴いて溜飲を下げるのも悪くないのではないでしょうか。

 

個人的にX JAPANは無理なハイトーンで全くToshlの良さを活かせてなかったと思うので、のびのびと歌い本来の実力を発揮するToshlの歌声が存分に楽しめる点で大変価値のある作品。ただやっぱりXと比較してしまうと、ピアノとドラムが思いっきり物足りない。

ちなみに『キャラソン1』と銘打っているけれど、2はリリースされておらずゲームは既にサービス終了しているらしい。もう一枚聴きたかった。とても残念。

ABOUT ME
syro
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1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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