サン=サーンス

交響詩『死の舞踏』/Yak Ballz「Skywalker’s Here」

アメリカのHIPHOPアーティストYak Ballz。楽曲「Skywalker’s Here」は、サン=サーンスの「死の舞踏」をサンプリングした楽曲です。

2004年のデビューアルバム『My Claim』収録。Jay Zの『The Blueprint』に代表されるような、印象的なサンプリング・ファンクやメロウなR&Bを取り入れたトラックの、王道2000年代HIPHOP。

こちらはアルバムのタイトルトラック。時代劇のようなストリングスをサンプリング。

 

こちらは楽曲「Spy On You」。抒情的なシンセとアコーディオンによるトラック。

 

 

彼の音楽性は時代の流れとともに変遷していきます。2008年の2ndアルバム『Scifentology II』では、やはり当時流行したマッシュアップ/ミクスチャー風のバンドサウンドによるトラックになっています。


 

サン=サーンスの原曲はこちら。夜中に骸骨達が踊りまわる様を表現した楽曲です。ト短調。
引用しているのは0:35~の部分。

この曲のミソはやはり冒頭の30秒間。素敵な掴みです。

12時の時計を表す12回鳴るハープの後に、ヴァイオリンが違和感のある和音を弾きます(属9和音:D, A, E♭)。DとE♭が隣り合わせになっているこの不気味な和音は死神の登場を表しているそうですが、その不気味な和音を繰り返した後に、「ジャンジャン♪」と爽快なキメの和音進行(Ⅴ⇒Ⅰ)で解決されます。

不気味な雰囲気の属9和音ですが、構成音をみるとⅡとⅤを合わせたような和音になっており、仮にⅡやⅤに置き換えると、Ⅱ⇒Ⅴ⇒ⅠもしくはⅤ⇒Ⅴ⇒Ⅰと超王道の進行になります。

微妙に浮遊感や不気味さ・違和感を与えておいて、その後ベタな和音進行で解決し聴き手をスッキリさせます。

「死の舞踏」が不気味さとコミカルさを両立させた雰囲気を醸し出しているのにも、この和音進行が一役買っていると言えるでしょう。このシンプルさと怖さを兼ね備え、何かが始まるような予感を感じさせる和音進行は、なんだか子供向けホラー/ファンタジー映画の音楽のようにも聞こえます。

 

Yak Ballzの「Skywalker’s Here」でも、このⅤ⇒Ⅰのフレーズがサンプリングされていますが、このⅤ⇒Ⅰを繰り返すというのは基本中の基本な和音進行で、HIPHOPのトラックでも大変多く見かけます。

これは同アルバム収録の「Method To Madness」。


一曲を通して、ベースラインがとC♯F♯を行ったり来たりします。これは嬰ヘ短調におけるⅤ⇒Ⅰ進行であり、スッキリ進行を曲中で何度も繰り返しています。これがループするリズムパターンと合わさり、中毒性を生み出しています。

 

 

 

 

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syro
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1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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