その他編

SixTONES「NAVIGATOR」の分析・考察 ~二つの「NAVIGATOR」の動機から~

2020年メジャーデビューのジャニーズ6人組アイドルグループSixTONES(ストーンズ)の2ndシングル「Navigator」。ダンスミュージックと弦楽四重奏を融合させたスリリングな楽曲です。

テンポが速く、曲展開も複雑でアレンジも派手なため、「なんかすごい」「なんか良く解んないけどカッコいい」という印象を持つ方も多いと思われます。私も第一印象はそんな感じでした。

歌メロの譜割りも複雑で、激しい跳躍を繰り返す部分も多いです。更にテンポも速い上にハーモニーまであって、これを歌いながら踊るのは相当の体力とスキルを要します。ジャニーズグループの中でも実力派だそうですが、納得の一曲です。

 

今回はそんな「Navigator」を、ちょっとクラシック的な視点から俯瞰する事で、曲の全体像を掴んでみます。

二つの「NAVIGATOR」の動機

クラシックではよく「動機(モチーフ)」という言葉が使われます。「動機」とは、曲の核となる、短いメロディの事です

ベートーヴェンの『運命』の「ジャジャジャジャーン」なんかが有名です。”運命が扉を叩く音”の動機として、曲中に何度も登場します。

時にはリズムやメロディを少し変化させてから登場する事もあります。

 

他にも、ワーグナーのオペラでは、登場人物ごとに動機(ライトモティーフ)が存在し、各キャラクターのテーマソング的な役割を果たしています。

というわけで、その楽曲の「動機」となるメロディを追いかけていくことで、曲の全体像を掴みやすくなったり、曲の解釈に役立ったりします。

そんな「動機」という概念を頭に入れて、SixTONESの「NAVIGATOR」を聴いてみましょう。一見散漫に聴こえる楽曲ですが、何度も登場する印象的なフレーズが浮かび上がってきます。

 

まずはこちらのメロディの動機

イントロで一番初めに提示される、印象的なメロディです。反復跳躍しながら、少しずつ音程が下がっていく、緊張感のある動機です。

 

そしてもう一つ、イントロで提示されるリズムの動機

四つ打ちの合間に、前のめり的な16ビートのリズムが挿入される、これまた緊張感のある力強いリズムです。徐々に鼓動が速くなる音のようにも聞こえます。

 

この「二つの動機」が、曲の様々な所で登場します

 

シンプルに考えれば、この「二つの動機」は曲タイトルの「NAVIGATOR」を表す音と解釈するのが自然ですが、そのためには曲タイトルの「NAVIGATOR」をどう解釈するか、ハッキリさせておく必要があります。

題名の「NAVIGATOR」の意味

まず曲タイトルの「NAVIGATOR」。結論から述べると、「聴き手を新たな道へと誘う者」という意味であり、それはSixTONESメンバーそのものでもあると私は解釈しました。

曲中で「疑えるか 見慣れたNAVIGATOR」「doubt Navigator」という否定的な歌詞が現れます。この時Navigatorは悪い意味で使用されており、類義語として「chaser(=後追い・二番煎じ)」・「Guidance(=誰かが作った手引き・慣例)」等が曲中に登場します。

しかしその一方で、「抜け出せ Route 道なき Navigation」「道無きを誘う」等の歌詞もあり、楽曲自体は「新しい道へ挑戦しようよ」という革新への誘導(=Navigation)が主なテーマとなっています。

 

視点を変えて考えてみます。仮に「NAVIGATOR」が悪い意味だけで使用されているとして、それを曲タイトルにするでしょうか。この楽曲は強いメッセージ性をもっています。一番伝えたいテーマを曲タイトルにするのが普通ではないでしょうか。

以上を考慮すると、この作品における「NAVIGATOR」という単語は、

「①勝手に目的地や生き方を決められてしまう閉塞的な社会」

「②そんな社会から抜け出すよう助言をしてくれる案内人」

の2種類が使い分けられている、というのが個人的に一番スッキリする解釈です。

歌詞では小文字の「Navigator」と大文字の「NAVIGATOR」が使い分けられており、それで区別をしているのかもしれません。

また「NAVIGATOR」を好意的に解釈するもう一つの根拠として、イントロの構成が挙げられます。

イントロ

まず冒頭。弦楽器によりメロディの動機が提示され、「PITCHED UP(到着したor現れた)」というメンバーの台詞とともに、メロディの動機&リズムの動機が合わさり、一体となって提示されます。

 

初めの歌詞「PITCHED UP」について。2通り解釈ができると思われます。

①悪い「NAVIGATOR」による、「到着しました」というセリフ:”袋小路に迷い込んだ閉鎖的な現状”・もしくは”他者や社会に勝手に目的地や終点を決められる状況”を表現しているという解釈

②良い「NAVIGATOR」による「到着したよ」というセリフ:”現状を打破し聴き手を救い出すために、SixTONESメンバーが現れた”という解釈

「PITCHED UP」の台詞から動機の堂々たる登場に続くイントロ構成を考えると、私は②を支持します。

それに、仮に①だとすると、「PITCHED UP」の台詞は機械的な音声でよいと思うのです。それこそ後で登場する「Back back back…」の部分みたいに。そこをあえてメンバーの息遣いまで伝わるような生の声で録音しているというのは、やはりメンバーの台詞として解釈した方が自然ではないでしょうか。

 

という事で、曲タイトルの「NAVIGATOR」というのは、新しい道を指し示す存在であり、=イコールSixTONESのメンバーであると私は解釈します。

そんなイントロ及び曲名の解釈も踏まえて、この楽曲の動機が何を表現したものなのかを考えます。

 

二つの「NAVIGATOR」の動機の持つ意味

先ほどの解釈を前提として、この楽曲の二つの動機が何を意味しているのかを考えます。

一般的に、曲の中核となる音である”動機”は、曲を象徴する意味を持ちます。という事で、やはりこの二つの動機は曲タイトルである「NAVIGATOR」そのものを表していると思われます。

そして、それは先程示した通り、新たな光の道を指し示し誘ってくれる、SixTONESのメンバーです。

ここまでくれば、曲の全体像を掴むのも容易になります。即ち、まず二つの動機が一体となって提示されるイントロは、”SixTONESメンバーの登場”を表していると考えられます。

 

なお、その後の曲展開においても、リズムの動機は「NAVIGATORの登場」を表現していると思われる使われ方が多くみられます。そう考えると、あの「ダンダン、ダンダンダン、ダンダン」という音は救世主が登場する音に聞こえてきませんか?

 

という事で、この二つの動機を追いかけながら、楽曲の輪郭を辿っていきます。

次ページに続きます!

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syro
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1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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