今回紹介するのはLacroix Despheres(ラクロワ・デスフェール)。日本のヴィジュアル系ロックオペラバンドです。クラシック要素の強い音楽を制作しています。
ド派手なサウンドにのせて、男女ヴォーカルがミュージカルのように二重唱を繰り広げます。曲によっては、途中でセリフやナレーションまで入ったりします。
例えるなら、MARICE MIZERとSound Horizonを合わせてゲームミュージック系オーケストラの要素を強化した感じでしょうか。
この手の耽美系V系バンドはメタル度が高い事が多く個人的にそこがちょっと苦手だったりするのですが、Lacroix Despheresはメタル要素は薄く、とにかくオーケストレーションが派手です。かといって後期マリス程聴き手を置き去りにするような前衛的な感じではなく、普通に聴けます。フルート奏者とオーボエ奏者がメンバーにいるため、所々にピロピロと笛のオブリガードが入り、曲を装飾しています。
ストリングス&金管楽器サウンドは結構誰でもやってますが、この木管楽器隊の存在感が、他のアーティストとの差別化に大きく貢献しています。要所でティンパニが入っているのもポイント高い。
同人音楽系にもこの手のサウンドは多く見かけますが、やはりここまで派手に風呂敷を広げているのはLinked horizonくらいです。リンホラに比べれば、やはり予算やプロダクションの面では劣りますが、管弦楽の華やかさやクラシカルさはLacroix Despheresの方が凄いです。
ちなみに作編曲を担当するヴォーカル&主宰の天野翔さんは、ヴェルディのレクイエムの知名度を一気に押し上げた映画『バトル・ロワイヤル』を初め、様々な映画やアニメの音楽を手掛けている作曲家・天野正道さんの息子だそうです。
Lacroix Despheresは2022年現在、2枚のミニアルバム『The Symphonic Gothic Opera – act1(2008年)』『The Symphonic Gothic Opera – act2(2010年)』と2枚のシングル「鳥籠少女の華麗なる脱出劇(2014年)」「Resurrection Symphony(2021年)」をリリースしています。
シングル2曲はオーケストラ要素が強く、ミニアルバムはバンドサウンドも強めです。アルバムは1stより2ndの方がプロダクションが強化されており、おススメ。メタラーの方は『The Symphonic Gothic Opera – act2』からどうぞ。
個人的に一番好きなのは「鳥籠少女の華麗なる脱出劇」。めくるめくオーケストレーション&転調&変拍子。そして恥ずかしいくらいメロディアス過ぎる旋律。ここまで色々やり過ぎな曲は初めて聴きました。オンリーワンです。
膨大でスリリングなシンフォニックロックサウンドの中を自由自在に動き回るフルート&オーボエの音色が、まるで籠の鳥に形容され館を抜け出す少女を表現しているようです。
ミニアルバムは3部作構想だったようですが…3作目はリリースされないのでしょうか。残念。予算かかってそうだもんなぁ。