千葉県出身のアコースティックユニット、かのんぷ♪の楽曲「大丈夫、絶対大丈夫」。パッヘルベルの「カノン」と、ヴィヴァルディの「春」を引用しています。
2019年リリース『LETTER』収録。
かのんぷ♪はギター&ウクレレとヴォーカル&ギターの二人組ユニットです。ユニット名どおり、多くの曲にカノンコードを使用しており親しみやすい楽曲が並びます。
ウクレレ奏者がいることもありハワイアン・ミュージックの要素がありますが、そこにカノン進行の要素が加わる事で、単に明るいだけではなく起伏や抒情性がプラスされ、曲をドラマティックにしています。
聴き手に寄り添う温かみのある音楽を作る時、明け透けに気楽な雰囲気も良いですが、やはり負の側面にも触れた上で前向きに仕上げた方がより共感できる事もあります。
カノン進行の持つドミナント・コードやマイナーコードがそんな聴き手の内面に触れ、より感動させる役割を果たしているのではないでしょうか。
「大丈夫、絶対大丈夫」も無闇な前向きソングではなく、きちんと歌詞のストーリーに起伏を付けられたポジティブソングです。
“雨や嵐が起きても、きっとその後は晴れる”というメッセージを何度も伝える歌詞に続いて、ヴィヴァルディの「春」第一楽章のメロディが登場します。
ヴィヴァルディの協奏曲《四季》は、春夏秋冬全12曲から成ります。その中でも「春」はとりわけ陽気で明るい曲ですが、《四季》の中では何度も雷雨や吹雪などが訪れます。
こちらは夏の嵐を表現した、「夏」第三楽章。
そんな嵐を何度も乗り越えながらも巡る、季節の移り変わりを描いたのが協奏曲集《四季》なのです。
「大丈夫、絶対大丈夫」は、そんな《四季》の季節の流れを、きっと人生に擬えているのでしょう。どんなに嵐が起きても、春は必ず訪れるのです。
カノン進行もまた、不安感のあるコードと安心するコードを何度も繰り返しながら循環する流れになっており、共通する要素があります。
というわけで、楽曲のコンセプト・世界観にしっかりと基づいてクラシック曲が引用されています。