バッハ

無伴奏チェロ組曲 第1番/分島花音「真紅のフェータリズム」

作詞作曲に加えて、チェロの演奏も行うシンガーソングライター分島花音(わけしま かのん)
「真紅のフェータリズム」という楽曲で、バッハの『無伴奏チェロ組曲 第1番』を引用しています。

2009年リリース。リンク先で試聴できます。

「真紅のフェータリズム」は1stアルバム『侵食ドルチェ』1曲目のインスト小曲に続くオープニングソングです。

引用しているのは『無伴奏チェロ組曲 第1番』の1曲目である前奏曲(プレリュード)の冒頭のフレーズ

調が違う事もあり原曲とはやや音型を変えていますが、チェロを使用した超有名曲である点と、両者とも作品のオープニングとして使用されている点、そして作曲者のManaは過去にもクラシックのフレーズを何度か引用している点から意図的な引用であると判断しました。

引用の意図としては、やはり原曲の無伴奏チェロ組曲と「真紅のフェータリズム」収録のデビューアルバム『侵食ドルチェ』を重ね合わせ、チェロをフィーチャーしたクラシカルな組曲であるというアルバム全体の世界観を冒頭から印象付けるため、と考えるのが妥当であると思われます。

アルバム全体を通して、シンプルなアルペジオを繰り返すクラシカルな伴奏や弦楽四重奏的で重厚なストリングスアレンジが目立ちます。

アイドルポップス風の曲も合間に挿入されますが、「静と動」「明と暗」「無垢なものと不気味なもの」等、至る所に両価性を示唆するような表現が散りばめられています。

「ゴシック」と「アイドル」、「クラシカル」と「電子音楽」など、アーティストイメージとして一見相反する要素を一つに内包する、というコンセプトがあるものと思われます。楽曲タイトルや歌詞にも相反性を表現しているようなワードが並びます。

それを強調するように、細く高い声のヴォーカルとは対照的に、チェロやシンセベース・キックなど重低音を強調したミックスが施されています。少女がチェロを弾くというスタイルそのものも、ギャップを感じる魅力があります。

 

この頃は元MALICE MIZERのManaがプロデュースを手掛けており、クラシック&ゴシック&インダストリアルという彼の世界観と音楽性が色濃く反映されています。

こちらはそんなクラシカルテクノ色が強いMALICE MIZERの楽曲「Illuminati」。ヴォーカルはソロになる前のGackt。

トッカータとフーガ・オペラ座の怪人/MALICE MIZER「聖なる時 永遠の祈り」Gacktがソロデビュー前に所属していたバンドとして有名なMALICE MIZER(マリスミゼル)。 そんなMALICE MIZE...

 

今回紹介している1stアルバム『侵食ドルチェ』の後にリリースされた2ndAL『少女仕掛けのリブレット 〜LOLITAWORK LIBRETTO〜』は、クラシカル要素は減退し”チェロ×アイドルポップス”を更に推し進めたような作品となっています。
2010年リリース。1~12曲目までが作中作となっており、ラストの13曲目で全体像のネタバレをするという入れ子構造の作品。コテコテの昭和アイドル歌謡×チェロの「読書家姫君」は超新境地の凄い曲。

 

さらにその後はセルフプロデュースにより、シンプルなアニソン&椎名林檎的ジャズ歌謡路線へと進む事となります。
そんな音楽性の変遷が聴ける10周年ベストアルバム。

ABOUT ME
syro
1984年生まれ。生まれも育ちも長崎市です。 2人の子育てが大変なので、夜中にちまちま記事を書き通勤中と昼休みに曲を聴く日々。 趣味はインドア全般。音楽以外では辛麺と洗濯とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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