“ゴシック×トランス”をテーマとした楽曲を制作している同人音楽サークルEternal Melody。
ベートーヴェンのピアノソナタ第14番《月光》を引用している楽曲、「Rose Bud -Ⅰ. into the sorrow-」「Rose Bud -Ⅱ. into the fear of desire-」を紹介します。
2016年リリース。Eternal Melodyの作品の中でもクラシック要素が強い作品です。
中でも2曲目の表題曲「ALUCARD」はシンセやオルガン・ストリングス等でクラシカルなフレーズが多く登場する曲です。間奏ではネオクラばりのギターソロも登場します。
また歌詞にも「ワルツの中で響く弦楽の音」「シュトラウスの耽美なメロディ」等クラシックのモチーフが登場します。もしかして他にも何かの曲を引用しているのでしょうか。
クラシカルなコードを弾きながらもポップス的転調を見せるアウトロが新鮮です。
本題に入りますが、『月光』を引用している「Rose Bud -Ⅰ. into the sorrow-」「Rose Bud -Ⅱ. into the fear of desire-」は、
アルバムのラストに配置されている、全2曲から成る組曲です。合わせて12分程度。
一曲目の「Rose Bud -Ⅰ. into the sorrow-」の冒頭のパートで、第一楽章のピアノを引用しています。その後激しいアレンジでイントロが始まりますが、ここの始めのベースラインやAメロのコード進行も第一楽章をモチーフにしたようなラインになっています。これがカッコいい。
ノンストップで続く二曲目「Rose Bud -Ⅱ. into the fear of desire-」の間奏で第三楽章のフレーズが登場します。ラストに再び第一楽章の主題が演奏され、幕を閉じます。
『月光』をとても効果的に使用した、ドラマティックな曲となっています。ベートーヴェンを引用している部分以外も、クラシカルなメロディのシンセが登場します。
この「Rose Bud」に関して言えば、ゴシック×トランスというよりも、シンセドラムとシンセベースを強調し女性ヴォーカルとピアノをフィーチャーしたV系ロックという感じです。
“Eternal Melody”といえば、X JAPANの楽曲をオーケストラアレンジしたアルバムのタイトルが「Eternal Melody」ですが、今回紹介している音楽ユニットのEternal Melodyも、ヴォーカルの雰囲気やシンプルながらもマイナーで儚い歌メロ等、どことなくX JAPANらしさがある気がします。
Eternal Melodyには他にもクラシックを引用している曲があります。「Black Swan」では、イントロと間奏でチャイコフスキーの白鳥の湖の一曲「情景」を引用しています。
2019年リリース。