クラシック音楽をモチーフにしたメディアミックス作品『takt op.(タクトオーパス)』。
そのTVアニメ『takt op.Destiny』のEDテーマ及び、スマートフォンゲーム『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』の主題歌となっているのが、中島美嘉の「SYMPHONIA」です。ベートーヴェンの交響曲第5番『運命』を引用しています。
ちなみに作品のヒロインがベートーヴェンの『運命』の名を冠するキャラクター。
引用箇所でとりあえず解るのは、第1楽章の第2主題。有名な第1主題から穏やかに移り変わる部分。
下記動画の2:08~。
「SYMPHONIA」のBメロの伴奏・間奏などに用いられています。イントロの締めも第2主題直前のホルンのフレーズ。
作編曲は中島美嘉には初提供のrionos。アニソンらしく転調が多くはありますが、Bメロなんかはいつもの中島美嘉節がたっぷり詰まっており、彼女のパブリックイメージに寄せたアレンジとなっています。間奏とアウトロのギターは「GLAMOROUS SKY」を提供したラルク風。
こちらは中島美嘉の曲で私が一番好きな「Love addict」と「火の鳥」。それぞれ大沢伸一と冨田恵一による、存在感のあるベースと劇的なストリングスによるオシャレなアレンジ。
「SYMPHONIA」には、そんな彼女らしいサウンドの中に、ベートーヴェンの旋律が垣間見えます。他にも『運命』のフレーズが隠されていたりするのでしょうか。
ヒロインがベートーヴェンの交響曲『運命』をモチーフにしたキャラクターである本作『takt op.(タクトオーパス)』。せっかくなので、あえてこの部分を引用している必然性を想像してみましょう。
激しくヒロイックなイメージが強い『運命』の女性的で意外な一面をヒロイン像と重ね合わせるも良し、穏やかなフレーズが物語のハッピーエンドを暗示しているんじゃないかと捉えるも良しです。
単純に「エンディングテーマに(もしくは中島美嘉に)第1主題は合わないから」かもしれませんが…。
TVアニメの第1話を私も視聴してみました。
地上を蹂躙している敵勢力が”音楽に反応して襲い掛かってくる”という習性を持っているため、作品世界では基本的に音楽を鳴らすことが禁忌となっています。そのため作中でも、敵と戦うシーンと主人公たちの移動中の車内シーンくらいでしかBGMが流れません。
そのためいざという時に流れるオーケストラサウンドや、主人公が奏でるクラシック音楽がとても効果的な演出となっています。
主人公が音楽の力でもってヒロインに肉弾戦をさせるというのが、ハーメルンのバイオリン弾きみたい。