THE ALFEE(アルフィー)のクラシックアレンジアルバム第2弾、「THE ALFEE CLASSICS Ⅱ」。
服部克久編曲の、ロイヤル・フィルハーモニー交響楽団による演奏。そしてALFEEのオリジナル曲にクラシックの名曲を融合させたアレンジが特徴のアルバムです。
1996年リリース。リンク先で全曲試聴できます。
曲目
“青色◎”は特によかった曲。
- チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調作品64〜まだ見ぬ君への愛の詩
- ◎ハチャトゥリアン:舞踊組曲「ガイーヌ」より「剣の舞」〜MASQUERADE LOVE
- ◎ムソルグスキー:交響詩「禿山の一夜」〜幻夜祭
- ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61〜 PROMISED LOVE
- ヴェルディ:歌劇「イル・トロヴァトーレ」第2幕よりジプシーの合唱「朝の光がさしてきた」(アンヴィル・コーラス)〜 愛こそ力〜Power for Love〜
- ◎バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調 BWV1067より「ポロネーズ」〜 LOVE
- モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番ハ長調 KV467〜 LIBERTY BELL
- ◎チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 作品74「悲愴」〜雨の肖像
- エルガー:行進曲「威風堂々」(第1番)作品39〜 LOVE NEVER DIES
- オーケストラ・バージョン 倖せのかたち 〜Send My Heart〜
1.チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調作品64〜まだ見ぬ君への愛の詩
オーケストラでチャイコフスキーの原曲を再現したと思ったら、いつの間にかALFEEの曲に変わっている構成の曲。ほとんどアルフィーのオリジナル曲×オーケストラといった感じで、チャイコフスキーはイントロとアウトロで少し登場する程度。
流石のフルオーケストラなだけあって、音が重厚。ただのオーケストラアレンジではなく、ALFEEらしさもしっかり保たれている良いアレンジ。
2.◎ハチャトゥリアン:舞踊組曲「ガイーヌ」より「剣の舞」〜MASQUERADE LOVE
再び冒頭の「剣の舞」からALFEEオリジナルの「MASQUERADE LOVE」になだれ込む構成の曲。
2番までは歌メロはギターで演奏されるインストとなっており、終盤のCメロでようやくヴォーカルが登場する激アツ展開…と思いきや登場するヴォーカルがはっきり言ってあまり上手くない高見沢なのでイマイチ盛り上がりきらないクライマックス。そういえばこの曲は高見沢ヴォーカル曲だった…。
間奏の変拍子や派手なギター&ブラスアレンジも相まってゲーム音楽のような熱さがある。日本ファルコムの曲みたい。
ちなみにサビメロラストはキングクリムゾンの「クリムゾン・キングの宮殿」オマージュと思われる。
3.◎ムソルグスキー:交響詩「禿山の一夜」〜幻夜祭
「禿山の一夜」のメロディと「幻夜祭」のイントロが交互に登場する冒頭のパートは、ALFEEの原曲である「幻夜祭」が超変拍子である事も相まってシンフォニックプログレ感が強くカッコいい。ちなみに「幻夜祭」イントロのリズムは5/16拍子⇒7/16拍子⇒3/8拍子⇒5/8拍子⇒7/16拍子⇒6/8拍子⇒11/16拍子みたいな感じ。すごいぞ。
ヴォーカルは混声合唱となっているが正直迫力はイマイチ。大迫力の「禿山の一夜」と、安保闘争をテーマにしたスケールの大きい曲である「幻夜祭」を融合させるにあたってこういう編成にした意図は解るけど、もう少し合唱に迫力を持たせないと、なんだかバックコーラスだけ収録したカラオケヴァージョンみたいになってる。
それにしてもとにかく原曲の「幻夜祭」自体がプログレフォークの名曲なので、それにオーケストラが加わったというだけでも価値のある曲。
4.ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61〜 PROMISED LOVE
オーケストラ単独でベートーヴェンの原曲は第1楽章を演奏。と思ったら第1主題が終わった所でシレっと「PROMISED LOVE」にいつの間にかスイッチしている曲。後半からバンドサウンドも登場するが、「PROISED LOVE」の歌メロはストリングスとギターで演奏され、ヴォーカルは登場しない。
ベートーヴェンを聴いているつもりがいつの間にかアルフィーになってしまっているアレンジは流石服部克久。プロの仕事。
5.ヴェルディ:歌劇「イル・トロヴァトーレ」第2幕よりジプシーの合唱「朝の光がさしてきた」(アンヴィル・コーラス)〜 愛こそ力〜Power for Love〜
これも冒頭でクラシックを再現した後アルフィーの曲にスイッチする曲調だけど、これはちょっと流れもぶった切りで繋ぎ方がイマイチ。「愛こそ力〜Power for Love〜」も結構原曲そのままなので、なんだかこのアルバムに入れた意味があんまりないような。
ラストに一応「朝の光がさしてきた」の合唱をスムーズに繋いではいる。
6.◎バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調 BWV1067より「ポロネーズ」〜 LOVE
アルフィー原曲の「LOVE」は、ALFEEサウンド×クラシック を試みたオリジナルアルバムのタイトルトラック。という事でやっぱりこの曲をフルオーケストラでアレンジ。
AメロBメロはインストでサビは混声合唱。これもやっぱりカラオケバージョンみたい。サビだけコーラス付きというのもカラオケバージョン感を倍増させている。ALFEE3人のユニゾンを前面に出してバックに混声合唱で良かったんじゃないだろうか。
とはいえドラマティックな「LOVE」のイントロをオーケストラで再現しておりとてもカッコいい。ドマイナーフォークの「LOVE」とバッハの「ポロネーズ」も相性が良い。
7.モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番ハ長調 KV467〜 LIBERTY BELL
冒頭のモーツァルトがちゃんと「LIBERTY BELL」イントロへの弾みとして機能しており、曲の前のインタールードみたいで上手い繋ぎ。プログレ風のキーボードもダサカッコいい。オーケストラ&バンドサウンドのインスト。これもゲーム音楽みたい。しかし最後にモーツァルトに戻る繋ぎは蛇足感ありあり。
8.◎チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 作品74「悲愴」〜雨の肖像
これもドマイナークラシカルフォークの「雨の肖像」とキャッチーなマイナーメロディの「悲愴」の組み合わせが合っている。全体を通してだけどクラシックの選曲が程々に渋めで絶妙。
この曲はフルコーラス通してALFEEがオリジナル通りに歌っており、楽器隊もオリジナルのサウンドにオーケストラが加わる程度のアレンジ。まさしくALFEE×クラシックという感じ。これくらいのバランスが一番良いんじゃないか。
9.エルガー:行進曲「威風堂々」(第1番)作品39〜 LOVE NEVER DIES
オーケストラ&バンドサウンドによるインスト。とてもキャッチーでポジティブなメロディが特徴的な「LOVE NEVER DIES」は威風堂々と雰囲気が似ており、自然に融合している。
1曲通してほぼインストだけれど、サビのコーラスだけが何故かALFEEの原曲通り一部だけ歌声として流れ、本当にカラオケバージョンみたい。なんでこんなアレンジにしたんだ。観客にでも歌わせるのか。
10.オーケストラ・バージョン 倖せのかたち 〜Send My Heart〜
ALFEEのオリジナル曲にオーケストラを加えたシンプルなアレンジ。今まで通りイントロにチョロっとクラシックを混ぜる事なんて簡単にできただろうに、なんでやらないんだろう。
総評
基本的に、クラシック曲はイントロ及びアウトロにオーケストラで再現され、中間部にTHE ALFEEの曲がオーケストラ&バンドサウンドによりアレンジされて演奏されるといった曲構成のアルバムになっています。
ヴォーカルは、ALFEEのオリジナル通りに歌う曲・混声合唱の曲・歌メロは楽器で演奏されるインスト曲などが混在しています。
もっとALFEEのヴォーカルを前面に出した方が個人的には好みでしたが、まぁそういうコンセプトのアルバムなのでしょう。選曲やアレンジから、メンバーのクラシック音楽へのリスペクトを感じます。
全部で3枚リリースされている「THE ALFEE CLASSICS」シリーズですが、選曲やアレンジ、曲数など含めこの「Ⅱ」が一番おススメです。
ちなみにこのアルバムが気に入ったら、次はTHE ALFEEがストリングスを最もふんだんに使用していた時期のベストアルバム「THE BEST 1997~2002~apres Nouvelle Vague~」を聴いてみましょう。
シンフォニック・フォークロックの名曲である「太陽は沈まない」「Brave Love ~Galaxy Express 999」「Nouvelle Vague」「Justice For True Love」が収録されています。
[…] THE ALFEE CLASSICS ⅡTHE ALFEE(アルフィー)のクラシックアレンジアルバム第2… […]