今回紹介するのはイタリアのプログレッシブ・ロックバンド”ニュー・トロルズ“の1曲「Una Notte Sul Monte Calvo」です。
1973年リリースのアルバム「アトミック・システム」収録。
Atomic System
New Trollsというと、何と言ってもクラシック&ロックの金字塔、「コンチェルト・グロッソ」シリーズが超有名です。その他のアルバムは正直、あまり聴く機会が無いのですが…。
「コンチェルト・グロッソ」に比べるとやはりクラシック要素というのはあまり無いのですが、この「アトミック・システム」、イタリアンプログレとして普通に名盤です。
イタリアらしい情熱的なメロディと解り易くキャッチーな変拍子、木管楽器や女性コーラスも登場するアンサンブル編成な1曲目「La Nuova Predica Di Padre O’Brien」が白眉モノの1曲です。6分台という長さも丁度良い。
その他にも、ピアノとシンセが目立つストレートなロック曲…と思いきや中盤から変態プログレと化するも結局ラストは大団円の「Tornare A Credere」、ポップとプログレを両立させている「Ibernazione」、壮大なフォークロックバラードで締めるラストの「Butterfly」と名曲揃いです。
ピアノとシンセが同時に登場するため鍵盤のウェイトが多く、また女性コーラスも加わるためイタリアンプログレなのに暑苦しくありません。しかしそれでいて雄々しく勇ましいのがとても新鮮です。
MUSEO ROSENBACHとELPとOpus Avantraを合わせたような曲調で、まさにプログレのキャッチーな要素を良いとこ取りした作風です。
そして忘れてはならない「Una Notte Sul Monte Calvo」。3分半の短い曲の中に「はげ山の一夜」をギュッと濃縮しています。オーケストラ編成の原曲に対し、ジャズ風のドラムをフィーチャーする事で原曲のキャッチーさを更に高めています。
また原曲ではオーケストラで成されていた掛け合いをバンドアンサンブルで行っているため即興音楽的な臨場感があります。中盤のジャジーなパートにスイッチする部分もかっこいい…。
シンセを駆使したオーケストレーションもオリジナリティが出ていて凄いです。カバーという違和感は全くなく、これが原曲なんじゃないかと思わされるほど完璧なカバーです。
ムソルグスキーは展覧会の絵もはげ山の一夜も他の音楽家による編曲版が有名であり、個性的な作風でありながらもアレンジのしがいがある作曲家なんですね。
原曲のムソルグスキー「はげ山の一夜」視聴はこちら。
ディズニー映画「ファンタジア」でも使用された曲です。
「はげ山の一夜」をカバーしたプログレ曲をもう1曲こちらの記事で紹介しています。
また個人的に絶対おすすめの「はげ山の一夜」合唱バージョンも紹介しています。是非ご一読ください。
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