モーツァルト

《レクイエム》より「呪われし者どもを罰し」/Dreamslave「Torments」

2011年結成のフランスのオーケストラメタルバンドDreamslave。彼女たちの楽曲「Torments」では、モーツァルトの《レクイエム》の中の一曲、「呪われし者どもを罰し」を引用しています。

2015年リリース後、2019年にメジャーレーベルから再発された1stアルバム『Rest in Phantasy』収録。 「Masquerade」は映画”ブレイド”、「Pirate’s Anthem」は”パイレーツオブカリビアン”からインスピレーションを受けて制作されたそうです。

 

冒頭の2曲はデスボイスと爆走サウンドを従え、サビでは体感速度を下げた合唱になるEpicaスタイル。

3曲目では大胆にエレクトロニクスを導入したインダストリアルメタル。4曲目はオペラ歌唱に抒情的なキーボードを纏う、初期NIGHTWISHスタイル。

更に東洋風のオリエンタルメタルや、ポルカ風フォークメタルも飛び出します。


とてもバリエーションに富んだアルバムになっています。プロダクションもなかなか良く、作曲者及びキーボーディストの器用さが伺えます。

「Torments」の公式動画は1万再生にも満たず、バンドの知名度は未だ低いようですが、個人的にはかなり掘り出し物の作品です。

 

「Torments」がモチーフにしている、《レクイエム》の中の一曲、「呪われたもの (Confutatis)」。「怒りの日」「涙の日」に続いて有名な曲です。キリスト教における最後の審判の時を描写しており、悪人は地獄へ落ち、善人は天国に召される場面を表現しています。


「Torments」は「苦痛」「苦しみ」を意味しており、歌の主人公の精神的な苦しみを、《レクイエム》における地獄の業火に擬えているものと思われます。

このアルバム『Rest in Phantasy』、もう一曲モーツァルトの楽曲をモチーフにした曲があります。こちらの記事で紹介しています。この曲は凄いぞ。

オペラ≪魔笛≫より「夜の女王のアリア」/Dreamslave「Angel Requiem」フランスのオーケストラメタルバンドDreamslave。彼らの楽曲「Angel Requiem」は、モーツァルトのオペラ《魔笛》の中の一...

 

ちなみに《レクイエム》《魔笛》は、いずれもモーツァルトの晩年に制作された、いわば遺作のようなものと言えます。この2曲をモチーフとしているのは意図的なものであると思われます。

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syro:生まれも育ちも長崎市です。二児の子育て中。 趣味はインドア全般。音楽以外ではスマホ収集とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

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