ショパン

ノクターン第2番/黒瀬真奈美 with 12人のヴァイオリニスト「恋想曲」

女優、黒瀬真奈美による2ndシングル「恋想曲(れんそうきょく)」は、ショパンのノクターン第2番を使用した楽曲です。

2008年リリース。今回共演している”12人のヴァイオリニスト”というのは、高嶋ちさ子プロデュースのヴァイオリン・アンサンブル・グループだそうです。現在も積極的にコンサート等活動しています。

 

 

ショパンの原曲はこちら。第21番まであるショパンのノクターンの中で、最も著名な曲です。

 

「恋想曲」は、ヴォーカルによるオリジナルの主旋律に、ヴァイオリンによるノクターンの対旋律が合わさります。Aメロとサビは全く違う主旋律ですが、対旋律は同じ主題を使用しておりABA構成とABサビ構成を折衷したような不思議な曲構成となっています。クラシックとポップスのマッシュアップという感じ。それでいて全く違和感が無い。

 

キラキラポップスとストリングスが合わさり、ショパンの優雅なメロディを華やかに奏でます。ヴォーカルは拙い部分もありダンスビートも安易な印象を受けますが、これこそアイドルポップス。弦楽器隊による間奏も美しいです。

 

携帯電話をモチーフにした恋愛を歌う歌詞は、前年リリースのYUIのCHE.R.RYを意識しているのでしょうか。ごくシンプルな言葉運びは等身大にも程がある出来ですが、長電話の末の無言タイムの描写や、電話して欲しい⇒声を聴いたら会いたくなったというシチュエーションは生々しく、する側される側ともにとても共感できるのではないでしょうか。


「恋想曲」がモチーフにしている原曲のノクターンは和訳すると”夜想曲(夜の曲)”となります。したがって「恋想曲」のシチュエーションも夜であると考えられますが、歌詞に時間帯を想起させる言葉は登場しません。あえて歌詞やタイトルには時間に関する描写を入れず、引用している原曲を用いて物語の状況を暗示しています。意外と趣がある。

 

というわけで、歌い手側からすると「恋人に逢いたいけど夜だからせめて電話だけ!出ないから留守電にメッセージ入れた!その後彼からかかってきたけど、声を聴いたらやっぱり逢いたくなっちゃった!でももう夜遅いしそんな事言えない!けどそんな私の気持ちに気付いて欲しい!切ない…けど幸せ♡」という状況でしょう。恋する女性のシンプルな気持ちです。

私はされる方の気持ちがよぅく解りますね…。「疲れて帰ってきたら恋人から留守電。眠い目をこすって長電話。話すことが無くなって無言になったけど、向こうからは切りたくない気持ちがヒシヒシと伝わる。でも直接逢いたいとは言ってこない。これはこちらから今逢いたいと言わなきゃいけないのだろうか。明日も朝早くから仕事なのに…」というシチュエーションですね。こっちも大変なんですよ。

でもそういった状況を何度も繰り返しながら恋人同士の関係って深まっていくものですよね。そんな若い頃を思い出す良い曲です。好きな人を想って眠れない、そんな夜長の思い出に浸りながら聴きましょう。

ABOUT ME
syro
syro
syro:生まれも育ちも長崎市です。二児の子育て中。 趣味はインドア全般。音楽以外ではスマホ収集とトライエースと三島由紀夫と遠藤周作が特に好きです。 好きな作曲家はメンデルスゾーンと葉山拓亮。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。