1997年から活動しているデンマークのHIPHOPグループ、Suspekt。
彼らの楽曲「Du Ikk Sej, Din Pik Er Ikk Lang, Vi Skyder Dig」では、ショスタコーヴィチの交響曲第10番を使用しています。
曲の間奏で大々的に引用し、ヴァースでは短2度の上下を繰り返す動機をオーケストラヒットにて再現し、ループさせています。
短2度(半音)の上下を繰り返す事で、力強さと不安感を強調するトラックになっています。曲自体が短調なので尚更です。
Suspektは暗く強烈なスタイルのHIPHOPで知られているそうですが、そんな彼らの音楽性にピッタリのショスタコーヴィチ。
2000年発売のコンピレーションアルバム『TABU Rec’z』収録。
引用しているのは第1楽章。下記動画の11:25~の部分。ゆっくりと始まる第10番の最初の山場。
交響曲第10番は、15曲あるショスタコーヴィチの交響曲の中で5番や7番には知名度で劣りますが、有名な交響曲の一つです。
ショスタコーヴィチの交響曲はどれも長大で複雑ですが、音色の一つ一つを見るととてもカッコよく美しいです。
そんなショスタコーヴィチのカッコよさを凝縮しているのが、交響曲第10番の第2楽章。
ショスタコーヴィチの曲らしく、半音の多用や変拍子等盛り込まれていますが、音の派手さとスピード感で押し切ります。ドラクエのボス戦みたいとか言ったらアレですが、とにかくカッコいい。
Suspektとクラシックの関わりを語る上でもう一つ重要な作品が、2011年の4thアルバム『Elektra』。
デンマークの作曲家、フレデリック・メーグル。そしてチェコ・フィルム・オーケストラとのコラボ作品です。チェコ・フィルム・オーケストラはキャサリン・ジェンキンスの作品にも参加している楽団。
ちなみにアルバムタイトルの「エレクトラ」とは、R・シュトラウスのオペラと同タイトルです。
オーケストラとのコラボ曲は以下の4曲。
BrænderByenNed(Burning Down The City)
Helt Alene(All Alone)feat. Tina Dickow
この曲のトラックは、ケンドリック・ラマーの出世作『good kid, m.A.A.d city』収録の「The Art of Peer Pressure」でサンプリングされています。
Nyt Pas(New Passport)
Parasitter(Parasites)
以下で紹介するのは、そのフレデリック・メーグル個人の作品。いずれもコンパクトにまとまっており、クラシカルだけれど聞きやすい良い曲。
Polyphony – classical and rock music fusion/crossover(ポリフォニー:クラシックとロックの融合)
Cantabile Symphonic Suite: Cortège & Danse Macabre(交響組曲:葬列と死の舞踏)